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SOS 183 白雪4

 シロは気絶したフリをしながら

周囲の様子を伺った。店員も店主も

見た目とは裏腹に真面目カタギな連中らしく

シロとピースを介抱するため、二階にある

宿泊施設へと丁寧に運び込んだ。


 呼吸と脈拍の安定を確認すると、

近くに水差しを置いて退出する。


 こういう飲み屋は大抵が宿泊施設と

併設されている。

 そういう使い方をされる事が多いからだ。


 シロは寝具に寝かされているが、ピースは

近くの椅子にもたれかかるようにして

やや適当な放置をされている。


 女性優先の教育をされているらしかった。


 周囲に誰も居ないことを確認して、

シロはゆっくりと起き上がる。


 視線の先にいるのは、ピース・パロット。

カルマリ冒険者ギルド所属の職員であり、

今回の対象者とは既知の間柄にあるはずだ。

 まあ、親しくは無いだろうが、

使用人をしている二人については

少なくとも何か知っている筈だ。


 シロがピースに近づこうと、

寝具からゆっくりと抜け出す。

 音も出さず、慎重に。


「……やっぱり、気絶は演技かー、

強いねー、お姫様」


 ピースが片目をパチリと開く。

 その瞳に混濁した翳りは無く、

素面だということが分かる。


「……そういうあんたも、普通じゃないわね」

「イヤイヤ、俺だって、飲んでないもん。

飲んだフリだもん」

「……へえ、気付かなかったけど、

手品? それとも――」

「ちっちっちー?

そっから先は、聞かない約束でよろしくっす」

「……まあ、いいけど。

どういうつもり?」


 シロは相手の出方を見る。

 どうすれば殺せるか、それだけを

考えることにする。


「えー? か弱い女の子を助けただけっすよ?

絡まれて面倒そうだったし?」

「ふーん。……身体目当てじゃなくって?」

「いや、そりゃ、食べて良いなら

もちろん食べるっすよ。

男を何だと思ってるんすか?」

「何であたしが怒られんのよ……。

で、どうするの? あんたは」


 ピースはシロを見て、少し考える。

警戒しているほどでは無いだろうが、

隙だらけと言うほどではない。

 妙な男だった。


「うーん………、お姫様は誰かを探してるんすよね?

いや、誰かっつーか、なんつーか。

必要なモノを探してるって感じ?」

「……何でそう思うのよ……?」


 シロは右手に力を込める。

いつでも殺せるように、油断を振り払う。


「いや、勘で? 何となく。

ただ、それを手伝おうかなーって思っただけっすよ」

「えっと……だから、何で?」

「仲良くなってエロいことしたいっす」

「……別に酔い潰して襲えばいいんじゃ?」

「同意の無い性交渉はしないっす。

俺を何だと思ってるんすか」

「だから何で怒られんのよ……」


 シロはイマイチこの男が掴みきれないが

情報が欲しいのも確かだった。

 確信が持てないが、情報源として

使ってみることにする。


 殺意を収め、シロは考えを巡らせる。


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