召喚失敗
床に描かれた大きな六芒魔法陣。
その頂点で長々と詠唱を続ける六人の魔導師。
勇者召喚に成功しなければ、この国は滅亡する。
情けない他人頼みだが、もはや他に打つ手がないのだ。
徐々に輝きを増し、異世界へとつながろうとする……!
高橋大輔は土砂降りの中、帰路についていた。台風が直撃し、最も風雨が強くなる時間に。
先程から雷光が煌めき、雷鳴は鳴り止むことを知らない。
稲光がまた光り、高橋大輔の足元に六芒星が浮かび上がる。
その刹那、物凄い突風が高橋大輔を襲った。
「なん……だ…と……?」
光の消えた魔法陣には鞄と血の付いた看板が転がっていた。
肝心の勇者の姿は無い。
「まさか、失敗したのか……?」
召喚の詠唱をしていた魔導師たちの命はもう無い。
やり直す、ということはできないのだッ!
滅亡! 滅亡! 滅亡! 滅亡! 滅亡!
国王は狂気の笑みを浮かべて叫ぶ。