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Scene2.『守護天使』

 レッド目掛けて一発の銃撃が放たれた。

「……」

 レッドの目にはその軌道が見えた。しかし秒速200kmを超えるそれを彼は避けることなどできなかった。

 いや、彼の能力をもってすれば相手が銃を向けた瞬間を見て動くことも可能かもしれない。だが相手は特殊能力を持たない人間でありながら、その俊敏で華麗な動作は手品師マジシャンのように鮮やかだったのだ。そのためレッドが捕らえたのはすでに発砲した後となった。見えてしまうことが余計に恐怖を誘う――はずだったが、彼は怯えることなくそれを受ける。

「キャア……!?」

 通行人の女性が悲鳴をあげた。銃弾が彼女の横を通過したのだ。

 周囲にいた人々がその悲鳴に驚愕し、辺りは騒然となる。やがてその事態に気付いた人々が彼らから離れるように散らばっていく。後から、最初に叫んだ女性も慌てて転びそうになりながら逃げて行った。

「ふふ……」

 レッドは目を細めずに笑った。慄然と歓喜を揺さぶる興奮が込み上げる。彼の左側面に掛かった髪は切断され、小さな束が石畳の上に向かってはらはらと舞い落ちる。そしてその髪が落ちた左頬から朱の横線が滲み出し、うっすらと細い筋状になって垂れ落ちた。その間、銃激を放った男性は素早く乗り付けていた車にブラッドを引き連れて押し込み、急発進させて逃走した。


 現場に残されたレッドは一人佇む。


 ――相変わらずの腕前だね、ウイングス。君の遺伝子と僕の遺伝子を合わせたら最強の狙撃者スナイパーが誕生するだろうな。

 やっぱり君が欲しいよ。いや、欲しがっているのは僕よりも


 “パパ”かな――?


「ふふ……」

 レッドは街灯の下に落ちた塊を拾いあげると、指で摘んだそれを見て微笑した。

 38special――その鉛の塊を街灯柱に出来た僅かな窪みに当てる。するとそれは、ぴたりとそこに嵌まった。


 ――この動く人間が散らばった街道で、瞬時の判断で発砲した銃の弾道を人の間隙を通し、狙撃者には掠り傷だけを負わせて牽制し、さらにはその流れ弾をこの細い棒に当てるとは。


「ふふ……見事だ」

 レッドは渇望に血をたぎらせた。



 ウイングス、やっぱり君は最高だ。僕が求めているものを全て持っている。

 その才能も美貌も延々と眺めていたい。


 だが、僕は最低な気分になったよ。

 そんな君までもが、あの“ブラッド”に横取りされてしまうとは…… 



 レッドの口角が片方だけ上がった。その茶色い瞳に憎悪の念が浮かび上がる。



 ――いいだろう。それなら二人まとめて始末してやる。





 レッドは踵を返し、雑踏に紛れて町のどこかへと消えた。


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