蓮の花七輪 竜装纏う~途中三人称に変わってお送りします~
第7話です!
レンカ君の新たの力が解放される!
ご期待ください!
「◆◆」「◇◇」を活用していきます。
この羅列は三人称に切り替わる時です。
今後はこれを活用していきます。
『……誰じゃ、おぬしは』
「……何言っての?」
『人の話を最後まで聞かず眠らせる奴なんぞ知らんな』
「うっせーよ駄竜!!てめーは人じゃなくドラゴンだろうが!」
『ほー?人種差別か?おぬしは人種差別するゲスな主人公だったのか?』
「ギャグ多めの無双系小説の主人公だ!……って何言ってんだろ俺たち……」
『……わしも知らん』
……とりあえず今はレッサーウルフだ。
レッサーウルフは突然腕が漆黒に変わった俺を見てひるんでいる。ならば今しかチャンスはない。
「とりあえずこの間みたいな強力な攻撃じゃなくて、身体を強化するものってないのか?」
『えー、それじゃとつまらんだろ?』
「それは主にお前だけだろ?」
『そうとも言う』
「ふざけんな!俺にも色々あんだよ!!」
『仕方ないのぉ~』
なんで渋々なんだよこの駄竜。
ん?頭の中に詠唱が。
「これは?」
『とりあえずやってみろ。安心せい、この間みたいな咆哮ではない。むしろ防御力を強化した上、身体能力も強化されとる。つまり防御力をそのまま攻撃にまわすこともできる』
「わかった。使ってみよう。……本当にこの間みたいにならないよな?」
『はよせんか愚か者!』
「愚か者!?なんでそうなんの!?」
『はよせんか!』
「……あぁ。〖儚き願いにて我は纏う。我、魔に仇なす者を喰らう者也〗竜装 捕食之鎧」
グシャグシャ!!ドバーッ!
待て待て、これヤバいんじゃない?だって腕がさ。
「溶けてるー!!なんで!?なんで!?」
『うるさいのぅ』
「当然のリアクションだ──ぐぁ!」
溶けた腕が液体となり俺の身体を包んで行く。
バキバキ!ゴキンッ!バキンッ!
そして鳴ってはいけない音が身体中から聞こえる。
その時、俺の視界が真っ暗になった。
◆◆
もしこれを見たなら、人々はこう言うだろう。
黒い球……と。
対峙する6体のレッサーウルフは動けないでいた。
本能的にわかっているのだ。逃げられないと。これは圧倒的強者の気配だと。
もしレッサーウルフ達が喋れたなら、こういうだろう。
「こんなの化け物だ」と
グシャ!
そんな音がなり、黒い球から両の腕が左右から飛び出す。
そしてその腕は球の正面をつかみ、破った。
硬質な印象を受ける球をまるで何の抵抗もないように。
そこから現れたのは漆黒の鎧を纏うレンカだった。
その鎧は禍々しくも神々しいまでに研ぎ澄まされ、存在するだけで全ての生き物を帆振るようだった。
両の肩当てには太い棘が二本ついており、足先はまさしく竜の足を表してるようだ。
手は指そのものが爪となったように鋭く、全てを切り裂くことができるようだった。
顔を覆うのは地球の西洋甲冑のものだ。
ただ唯一普通の鎧と違うのは尾がある事だろう。
しかしそれはただ尾ではない。蛇腹模様を刻み、尾のように動くが剣のように切り裂く。これを尾とするなら切り裂く現象を説明出来ず、剣とするなら尾のように動くことが説明できない。そんな矛盾を孕んだもの。
そして鎧を纏うレンカの手にはいつの間にか武器が握られていた。それは槍と呼ぶには無骨で短く、メイスと呼ぶには鋭く、大剣と呼ぶには柄が長すぎた。
大剣のようなソードメイス。その無慈悲なままに全てを破壊し、喰らう武器。
鎧と同じ漆黒で、金色の竜の装飾が施されたマントを翻し、進み出した。
◇◇
「さて、やるか」
俺が出したと思えない程、低い声で“俺”が呟いた。多分この姿では、俺は俺であって俺ではない。
まぁ、いいか。
食事の時間だ。さぁ、安心して喰われろ。
◆◆
数分後、レッサーウルフは消えていた。
辺りには血の匂いが漂い、寄ってきたレッサーウルフなどの下級の魔物達が餌食となっていた。
◇◇
「凄まじい力だったな~」
『貴様の要望通りになったであろう?』
「あぁ。でも疲れた」
『それはそうだろう』
この駄竜……何故疲れると言う事を当たり前のように言ってるんだよ。
「お前……こうなる事知ってただろ?」
『当然だな』
「ふざけんなよ駄竜!!」
駄竜とじゃれあってると、よく聞く声が聞こえた。咄嗟に詠唱して元に戻した。
「レンカー!!」
「シャル!?」
「一旦あの子を置いて戻ってきたんだよ」
「バカ!こういう時は逃げろ!」
「……だってレンカの事が心配だったから」
うっ!その上目使いで言われるのはキツいな。
「わかったわかった。でも大丈夫だったろ?」
「でも……」
「まぁ、心配してくれたって事だろ?ありがとう……な」
俺はポリポリと後頭部を掻いた。
「さ、帰るか」
「あ、待ってよ!」
「……待ってた」
と、シクランの街に戻ってきて早々にそう言って来た女の子。その子は先ほど俺とシャルが助けた女の子だ。
歳は俺とシャルと同じくらいだろうか。
腰まで伸びた灰色の髪、白く人形を思わせるような肌。これは間違いなく美少女の部類に入るだろう。でも彼女は俺達と決定的な違いがある。
それは森人族だと言うこと。
エルフはある一定の年齢に達すると、老化が止まる。不老長寿がエルフをエルフたらしめている。
まぁ、長寿って言っても250年しか生きれない。いや、十分か。
つまり何が言いたいかと言うと、もしかしたら年上かもしれない。年上エルフ。うっ……トラウマが……!
「……アスタルーク。……やっぱり私を助けてくれた。……一緒に来て」
「ち、ちょっと待って!」
「……何?」
……うん、上目使いも良いけど、かわいい女の子が首を傾げる姿も反則だと思います。
……いやいや、待て待て。とりあえず名前を聞かなきゃ。
「とりあえず名前を聞いてもいいかな?」
「……名前?……私の名前はね、──って言うの」
その名前を聞いた瞬間、俺に衝撃が走った。
なにせ……。
あ、それはまた次回に!
……だから次回ってなんだよ!本当どうしたんだよ俺!!
設定解説
竜装 捕食之鎧
禍々しい印象を受ける黒竜の鎧。大剣の形状を持つソードメイスを武装している。
斬りつけた相手を切った範囲喰らう武器。
詳細はまた次の機会に説明します。