蓮の花十輪 師弟対決前編~多数の視点変更でお送りします~
ふぅ~できた~!
今回は前編です。
予定では、前編と後編に分けて書くつもりです。
この話でレンカの父親の名前も書きます。
設定解説でレンカの父親のことをふれますが、「蓮の葉」の方の設定解説は、この話の次を出したら更新します。
それではどうぞ!
ビュゥゥゥウ~
強風が吹き荒れる。
ここはそんな場所ではないんだけどな~。
心なしか空も曇ってるし……。
「さて……始めようか。レンカ」
ビュゥゥゥウ!
さらに強い風が吹き荒れる。師匠が持つ武装は2つ。弓とメイスだ。弓なのはエルフの特徴だろう。メイスなのは……俺の師匠なのだから言わずもがなだな。
「本気でやるんすか?」
ちなみに俺の武装はメイスと槍。マジックメイスとパイルダムランスだ。
殲滅戦以外では使わない槍も師匠が相手なら別だ。
国一個分を相手にするつもりでやらないといけない。
まぁ、仮に国を相手にするなら逃げるけどさ。
「当然。なにせやるからには」
「徹底的かつ、迅速で大胆に、ですよね」
「よく覚えてるね」
「これでも一応、弟子なんで。それに」
「それに?」
ふぅー。勝てるかわからない。でも、まぁ……。
「それに……こんな展開に着いていけないなら……、あんたの弟子を名乗れない」
「よろしい」
先手必勝!
「吶喊!」
パイルダムランスが悲鳴のような音を鳴らし、ギミックが発動する。
太刀打ちの魔術機構が変化し、魔力噴出口が現れる。そこから魔力を噴出し、猛スピードで接近する!
「アスタルーク式滅弓戦術 2式 ウィンドスパロウ」
アスタルーク式の弓は鳥などの空を飛ぶものの形を作る。これは矢を天に撃つと、燕の形をした風が、矢が天から地に落ちるまで敵に飛来する技だ。アスタルーク式は、模範、偶像、顕現の三つがあり、どれもが威力がある。
2式は偶像にあたる。バンブーブレイクが竹の生え方を表現する方法なのは模範だからだ。
しかも師匠の矢はかなり上がる。つまり燕が増え続けるってことだ。
あと、上の段と下の段があり、それは型に囚われないもの。魔術ですら及ばない領域。
「負けるつもりはねぇ!アスタルーク式槍牙戦術 上の段2陣 一角獣の氷撃!」
これは、水を纏い貫通力を上げ、氷で出来たユニコーンを左右に二体伴い突撃する技。2陣の為、偶像だがそれでも幻想生物を象った技だ。師匠のウィンドスパロウにも対抗できる。
「いいね。でもまだまだだ」
アスタルーク式は魔術5属性の火以外の属性を司っている。まぁ、かつては魔法という、魔術の上の物があったそうだが今では使ってる人は一部を除いてあまりいない。その一部ってのは人外の連中なのだ。つまり……。
「第五級魔法 サイクロンカッター」
目に見えるほどの密度の風が集まり、俺を切り裂こうと迫る。ユニコーン達にぶつかり、消えるがユニコーン達にもダメージが入り、罅が入る。やはり、属性の優劣で負けるか……。
だか、こんなことで止まれるか!!
「おらっ!」
ガインッ!
固いもの通しがぶつかる音が聞こえ、俺の槍と師匠のメイスがぶつかる。
「第五級魔法 サイクロンアロー」
くっ!また魔法か!
師匠の弓の弦が引いてもいないのに独りでに引き絞られる。
パシュッ!
風の矢が飛ぶ。
俺は突きの体勢から薙払う。
「アスタルーク式槍牙戦術 2の陣 ホースランニング」
これは、水の馬を偶像することで、目の前を馬が走り抜ける。すかさず離れ、師匠から距離を取る。
バシャーン!
「ふむ、なかなかいい槍捌きだったけど、僕には届かないね」
「まだまだ!アスタルーク式槍牙戦術 3の陣 オックスダッシュ!」
こいつは巨大な雄牛を作り出し突撃する技。だがこれでも敗れられるだろう。近くに居たらヤバい。だからこの槍のもう一つのギミックを使う。
「突攻!」
パイルダムランスの石附に魔力噴出口が現れ、太刀打ちの噴出口と同じように魔力が出て、太刀打ちの噴出口からも魔力が出る。
俺は突撃する。
「ほほぅ、また突撃かい。しかも3の陣か。ならば第四魔法 サモントレント。アスタルーク式滅弓戦術 2式 ウィンドホーク」
トレントという木のモンスターが雄牛を捕らえる。
雄牛が煙を上げ、消えるが、そこから槍が飛び出す。しかし風の鷹が槍とぶつかる。このままだと槍もろとも貫かれる。
が、そんなの承知済み。
近くに居たらヤバいっていったろ?
「〖竜の瞳に集まりし力。今こそ捕食の力を解放せよ〗竜撃 捕食咆哮」
俺は駄竜の咆哮。あの森を開いた忌まわしき力を使う。師匠にはあれくらいがちょうどいい!
「ほぉ~、人間の手の状態からブラードの頭に切り替えたのか。ん?魔力が集まってる?」
あれが囮なのはバレてるか。だが……遅い!
「くらえ!」
ドガァァァン!
魔力の咆哮が師匠に当たる。今のうちにもう一つの力だ。
「〖儚き願いにて我は纏う。我、魔に仇なす者を喰らう者也〗 竜装 捕食之鎧」
グシャグシャ!バキッ!ドシャー!
溶けた腕が俺の体を包む。この前のように狼狽えない。相手は師匠だ。その一瞬が命取りになる。
そして視界が暗くなった。
◆◇
レンカがブラードの力を使い、僕に咆哮を放ってきた。結構な威力だね。腕がもげたけど無詠唱で使った再生魔法で元通りになった。
でも、あれはマズいね。再生魔法はかなり魔力を消費する。いくら魔力が無尽蔵に近いと言っても今の状態だとマズい。
グシャ!
黒い球を突き破って両腕が出てきた。それは球の正面をぶち破り、出てきたのは黒い禍々しくも神々しい印象を与える鎧を纏ったレンカ。
「さて、こちらも準備ができた。いくぞ」
レンカが出したとは思えない程低い声だね。うん、ブラードの声が混ざってる。つまりブラードが人間体になったと考えるべきか。
目を逸らした覚えはないけどいつの間にか持ってた大剣のような無骨なメイスを持って迫ってくる。
メイスにはメイスだね。
ドガァァァン!!
メイス同士がぶつかり合った。
◆◇
私は今、レンカと、その師匠であるロイド様の戦いを見ている。
最初の槍と弓を用いた戦いは、最早芸術と言えるほど、激しく、美しい演舞だった。そしてロイド様には驚かされた。まさか失われた技術である、魔法を使ったから。
レンカは驚いてなかったし、多分知ってたんだろう。
ロイド様優勢だと思われたその戦いが均衡したのは、レンカが竜の腕という物を使った時だった。
凄まじい魔力の光線を放ったレンカは、何かを呟いた。すると、腕が溶けて黒い球を作った。そして、球を破って出てきたのは黒い鎧を着たレンカ。
いるだけで威圧感がすごかった。
そして大剣みたいな武器でロイド様に切りかかる。
ドガァァァン!!
すごい音を響かせた。
離れたところで見ている私にも風圧が来た。そんな惨状を作った2人は、次の攻防へと移った。
こんな所でしか見てられないなんて……私まだまだだな。
「……やっぱりアスタルークの戦いはすごい」
「うわっ!」
「……人を〖ヴィス〗みたいな扱いしないで」
びっくりした~。カフィーアちゃんがいつの間にか私の隣にいた。でもその扱いって……まさかロイド様のこと?
「……〖リルバーン〗もすごい。やっぱり彼の息子」
「彼?」
「……〖ヴィス〗の親友で、ブラードとも戦友。そして〖リルバーン〗のお父さん」
「レンカのお父さん?」
リルバーンっていうのはレンカの真名らしい。ここに来る途中でレンカに聞いた。
「……〖バーンルーク〗。それが真名。名前は確か……レン」
「え!?レンって人魔対戦の英雄じゃない!」
人魔大戦。昔起こった魔族と人間の戦い。そこでロイド様と共に、7つの竜を率いて戦った人族の男。レン・アスタルーク。まさか英雄の息子だったなんて。
もしかして……。
「あの鎧って……」
「……うん、多分無意識で〖リルバーン〗が使ってるんだと思う。お父さんの鎧。……でもそこに竜の力が入ったからあそこまで形状が変わってしまったんだと思う」
やっぱり……。昔話で見た気がしてたけど。
レンカ……。英雄の子で当代最強の弟子なんだ。
「……追いつけない?」
「え?」
「……追いつけないって思った?」
「……うん」
「……大丈夫」
そういうと、無表情だった顔に笑顔が生まれる。
「……今から追いつくなんて無理。でも支えることなら出来る。レンカだって人間。……いつか倒れそうになる。その時には支えればいい」
なんか。その言葉が胸にストンと落ちた。
「うん!」
だから今は見守ろう。レンカの戦いを。
──かつて当代最強と言われた男がいた。その男は語った。
「あの親子には、やはり勝てないね」と。
開けた荒野がさらに開け、森の魔物や、その周囲の魔物達が恐れ、しばらく出て来なくなったという戦い。
これが後に語られる「魔の7日間」の始まりである──
──「リルの名を持つ者 伝説の守護傭兵團」より抜粋──
いかがでしたか?
ちゃんとシリアスできてますかね?
次回もこんな雰囲気で書いて行きます。
師弟対決が終わりましたら、通常通りのギャグ展開多めのものになります。しばしお待ちください。
それでは設定解説です!
設定解説
人魔大戦
レンカが生まれる24年前に起きた、人族と魔族の戦いです。この大戦で、双方の総人口の4割が死に、大陸の半分が魔族の物となりました。
レン・アスタルーク
レンカの父親。ブラードやロイドと共に、人魔大戦を戦い抜いて、大陸全土を支配しようとした魔族を追い払い、大陸半分にまで追い詰めた英雄。
ちなみにレンカはこのことをしりません。




