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死の予測 ~流れ着いた先は敗戦寸前の国でした~  作者: リザイン
第1章 漂流、そしていきなり戦場
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1-6 ユンウィルという街

歩き始めて数時間。

 途中、キャラバンで移動している集落にて食べ物と馬を購入すると、馬の背にのって移動し始める。

 馬は一番安くて長距離に向いているポールフリーという乗用馬を購入した。

 それにより路銀を半分程使ってしまったもののこれでグンと進むスピードが上がるだろう。

 並足で馬を進ませていたが、やがて街が見えてくると速歩で馬を走らせる。

 レイナの地図を解読するのは難解だったがどうにか着きそうだ。

 


 そしてちょうど日が暮れてきた頃、街の門の前に到着する。

 ユンウィルという街のようだ。


「おーい、早く来い! もうすぐ門をしめるぞ~!」


 門番からそんな声が聞こえてきたため急いで門の中へと入った。

 間もなくして鈍い音を立てながら、錆び付いた大きな門がしまる。

 門限に間に合ったことに安堵すると、馬から降りる。


 「とりあえず、宿に行ってもいいが……その前に飯だな」


 近くにある一番安い宿(しかも馬も預けることができる)でチェックインしたあと、飯を食べに外へと出た。

 もう外も真っ暗だというのに、人通りは随分と賑やかだった。バザーは既に閉まってるところも多いものの、商人たちが珍しそうな宝石を見せながら客達に一生懸命セールストークをしていたり、店の前で客引きをしている店員がいたりと、まだまだ人通りの衰える気配はない。

 それだけ街が繁栄しているという証明である。

 ハルトは色々な場所へ視線をさまよわせながら、何処で食べるか店定めをしていた。

 


 やがて、「Barシェイド」というお店の中に入って椅子に腰掛けると、いくつか料理を注文した。

 そして運ばれてきたパスタやサラダに舌鼓を打ちながら、次の予定について考えることに。

 ここでしばらく生活しなければならないだろうが、そのためにはお金がいる。まずは、仕事を探さなければいけない。

 しかし、見たところ治安も良さそうなこの街に傭兵の仕事なんてあるのだろうか……ハルトが疑問に思っていると、

 

「お客さん、随分とまぁ珍しい服装をしているんだねェ」


 そう言って話しかけてきたのはマスターだった。

 グラスを布で拭きながらも視線はハルトの方をむいている。


(しかし、そんなに珍しいかなこの服……

 まあ国も違えば、着ている服の傾向もそりゃ当然違うんだろうけど)


「ああ、商いをしている人が持っていてさ。要らないからって譲ってもらったんだ」


「はぁ……なるほどねぇ。見たところ、1人のようだけれど、旅人かい?」


「ああ、そうだ。けど明日からここで仕事を探そうと思ってね」


「へぇ、そりゃいいことだ。どんな仕事だぃ?」


「傭兵、もしくは旅の途中までの護衛ってところだな」


「へぇ、あんさん強いのかい?」


「まぁ、それなりには」


 傭兵はともかく、腕に自信のあるやつじゃないと護衛なんて仕事はできない。


「けれど、傭兵ならいま其の辺のどこでも募集してるんじゃないかねぇ」


「そりゃいいことを聞いた。けど、どうしてそんなに募集してるんだ?」


 傭兵なんて、そんなに募集は多くないと思っていたハルト。

 少なくともこの平和そうな街では。

 マスターは、客に提供するドリンクを作りながら、


「なんかルベライトととの国境沿いの方では今大量の傭兵を集っているっていう噂だよ」


「国境沿い……?」


 レイナは辺境伯だから国境付近を警備しているはずである。

 つまり、この傭兵の募集はレイナがかけている可能性が高い。


「何かあったのか?」


「うーん、私も客からの情報しか知らないんで、信憑性には欠けるけどね、噂では戦争が起こるんじゃないかって言われてるよ」


「せ、戦争!?」


 随分とまぁ物騒なものである。。

 けれど、もしもその情報が本当だとしたら、大変なことだ。

 レイナは国境沿いにいる。国境付近を落とされてしまえば国にとって相当な重荷を抱えることになる。つまり、重要な拠点なのだ。敵としても真っ先に落としたい場所だろう。


「……」

 

 ハルトは一瞬戻ることを考えた。、 

 しかし、今からもし戻ったとして、今更レイナになんて言えばいいのか。

 それにもし本当にただの根も葉もない噂だとすれば、せっかくレイナから貰ったお金も無駄に使ってしまうことになる。そう簡単に戻れるはずがない。

 しかし、ハルトは少し心配になっていた。


 ――と、その時。


「マ、マママスター!!」


 突如、店の従業員だろうか――額に汗を浮かべながらマスターに詰め寄っていた。


「何事だ?」


「そ、そそ外に……あ、あああ」


「落ち着いて喋れ」


 足を震わせて怯えるようにして言った従業員の頭にチョップするマスター。


「す、すみません。ですが、あ、あの外に、その……アレイスター=ユーウェン様がいらっしゃいます」


 従業員がそう言うと、マスターの目の色が変わった。


「すぐに入れて差し上げろ。くれぐれも機嫌を損ねてはならないぞ」


「は、はいわかりましたぁ!」


 と、言うと従業員は急いで外へと出ていった。

 ハルトはその様子を不思議に思いながら、こういった。


「どうしたんだ? あんな青ざめた顔をして」


「あんさん、悪いことは言わない。早く帰ったほうがいい。会計はつけといていいから」


 いや、初見の客にそれをやるなんてどんだけ甘いんだよ……。


「ちゃんと払っていくよ」


 と言ってしっかり会計を済まようとすると、1人の男が中へと入ってきた。

 ピシッとした服で身を固め、腰には剣をぶら下げている。

 手にはいくつか指輪をしており、どれも高価そうだ。

 パッと見は20代後半といったところだが、もしかしたら30はいっているのかもしれない。 

 少し長髪の、キリッとした目つきが特徴の男だった。

 そして続いてもう一人鎧に身を包んだ男と、女が中へと入ってきた。

 兜までつけているので、その男の素顔はわからない。しかし、女の方は、なんというか少しだけ露出度の高い服を着ている。

 その割には胸はあまりふくよかではなく、なんというか、残念な気分にさせられる。

 しかし、少し化粧をしているものの、思わず2度見してしまう程可愛い。

 髪は後ろで一つにくくっており、その黒い髪はきちんと手入れが届いているのかとても綺麗だった。

 その表情は自信に満ち溢れ、強気さがうかがえる。

 マスターはその3人の元へ行くと、少し長髪の男――に深く一礼した。



  

 

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