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エルフってのは面倒くせえな?

ドワーフ主観のエルフ像ですんで(; ・`д・´)

 良くある創作ものの様にこの世界でもドワーフとエルフの仲は良くねえな。

 とはいっても、大抵の相手は見下すエルフの連中が上手く付き合ってる種族なんてのは聞いたことがねえし、強面コミュ障と言っていいドワーフはそもそも同族以外とはあまり上手く付き合えねえし……個人レベルなら仲良くしてたりすることも珍しくはねえぞ?

 

 ただ、まあ、なんだ。

 俺個人としてはよ、エルフってのは細っち過ぎてよ、簡単に骨とかポキっといっちまいそうでなぁ……おっかねえんで近寄らなかったんだわ。


 エルフが痩せているとは言っても病人とかみたいな骨が浮き出る様な痩せ方じゃねえよ?

 じゃなくて、子供がそのまんま骨ばったりせずに背丈が伸びた様な細さなんだよ。

 俺らドワーフは見ての通りだろ?

 こう、ぶつかったりしただけで怪我させちまいそうだろ?

 なもんだから、見かけることはあっても近寄ることは無かったんだ。


 だから知らなかったんだよ、こいつらがこんなに面倒臭えヤツなんだってよ!

 

「いいですか! 聞いてますか!? 貴方はもっとこのタヌキさんを大事に扱うべきです! 可愛いモフモフは愛でる存在なのですよ? ぞんざいに荷物の様に扱っていいものじゃないんです!」


 ほぼ同じ内容でこれで12回目。

 最初こそ「我が意を得たり!」って顔してたタヌキも今じゃすっかりとゲンナリしてる。


 こいつらよ、寿命が長えもんだからよ、変な気の長さがあってよ、同じこと何べん繰り返して言っても飽きねえんだよ!

 

 エルフが「賢い」とされている理由も良く分かった。


「はいはい、分かりました、あなたが正しいです」って扱っとかないとよ、繰り返し繰り返し何べんだろうと何時間だろうと同じことを言ってきてよ、面倒臭えからだよ!


 特に自分の譲れないもの、普通のエルフなら故郷だの、森の平穏だのなんだろうがよ、それが絡むと頑迷を通り越して書き換え不可の絶対に変わらない精神状態になっちまうようでよ!

 でもって、この目の前に居るエルフみてえに「モフモフ好き」とかだとよ、周りから残念なものを見る目で見られて余計意固地になりやがるんだよ。


 酒場で食事を取っていた(酒が飲める状況で酒を飲まねえなんて、ドワーフじゃなくて単なるヒゲダルマだろ!)俺とタヌキ。

 こいつタヌキの癖にけっこういける口でよ、「なかなかやるじゃねえか!」って見直して、ちょっと長居したのがいけなかったのか?

 気がついたら、この残念エルフが近付いてきていて、耳タコ状態だよ!

 ホント、下手に殴ろうもんなら壊れちまいそうなエルフじゃなきゃ、ぶん殴ってるトコだぞ!?

 ドワーフの気の長さは仕事がらみだけで、後はどっちかっていうと短気なんだからよ!


 暴力的だ?

 生まれてからぶん殴られることなく育ったドワーフなんていねえぞ?

「親父にも殴られたことないのに!」なんてのは親父が小さい内に死んじまったヤツしかいねえぞ、ドワーフの場合。

 流石に首の据わらない赤ん坊や物心もついてない乳児を殴ったら、周囲から寄って集ってタコ殴りにされるからな!


 お袋ですら殴る。

 俺も殴られた。


 ってか平手を使うドワーフって、ドワーフ以外の連中との付き合いが長かった元・冒険者とか、町で働いてたとかいうヤツしかいねえんだわ。

 ドワーフは基本、ゲンコツだ。

 まあ、ドワーフが頑丈なせいもあるがな?


 それはいいとして、本当面倒臭えなぁ……お、いいこと思いついたぞ!

「うむ、分かった、じゃ、こいつの世話係に臨時で任命しよう! 思う存分モフり……じゃ無かったお世話してやってくれや!」

「ま、待つのだゲッタよ! 我を見捨てるのか!?」

「いや、俺はぐっすり眠れていい気持ち、こいつは気の済むまでお世話出来て嬉しい、両者が得するいい意見だろ?」

「ドワーフにしては良く分かってますね! 分かりました引き受けましょう!」

「な、なんか目付きが怖いのだ! た、助けてくれ!」


「じゃ、お休み~」

「お休みなさい」

「お、おい!」


 おかげでぐっすり眠れた。

 エルフもなんかツヤツヤしてた。

 でもってタヌキは目が死んで、なんか虚ろだった。

 静かでいいなっ!


 朝食を取りながら(それでもエルフはタヌキを手元から離さなかったな)話をし、俺らの旅の目的を、メシの匂いでなんとか復活したタヌキが説明すると「それはエルフとしても見過ごせない話ですね!」とモフる手を止めずにエルフは俺たちについて来ると言い出した。


 タヌキは目で「Noと言え!」と言ってるが、俺としては面倒なタヌキの世話を押し付けられる相手が居るのは有り難い。

 このエルフの場合、タヌキの世話さえさせていれば、俺にとっては面倒な相手では無いと分かった点もプラスだ。

 一人旅を続けているらしいことから、少なくとも自力で災難を避ける程度は出来るだろう。


 いやよ、一応、タヌキに気を使った部分もあるんだぜ?

 俺らドワーフってよ、俺も含めてイビキが五月蠅えんだよ、マジで!

 ホント、殺意抱かれても仕方ねえわってレベル。

 その辺どうしようか、と思ってたトコだったんでよ、変なエルフではあるが悪人では無さそうだしな? と考えたわけだ。


「別にいいんじゃねえか? あんま人数多過ぎても困るが、一人二人くらい増えたってよ」

「いや、しかしだな、我は「ありがとうございます! いやあ、ドワーフの方でも話せば通じ合えるんですね!」我の意見は……」


 こうしてなんとも華の無い(誰がいつ、エルフが「女」だと言った!?)パーティーとなった俺たちは、次の目的地をどこにすべきか、そこまではどういったルートを取るか、などといったことを相変わらずビビられながら冒険者ギルドで検討を重ねた。

 いやよ、資料とか情報とかだとよ、ここ以上の場所ねえんだよ、この町。


 ちなみにタヌキはだっこ紐でエルフが抱っこしている。

「こ、これは実に素晴らしいものですね!」と喜んでタヌキ付きのだっこ紐をエルフは装着していた。

 俺より背丈はあるんでデカいタヌキの尻尾も問題無い。

 細っちい割に意外と力はあるようで、ふらつきも疲れもしてなかったな、このエルフは。

 まあ、モフモフテンションで変なパワー出してたのかもしれねえけどな。


「ここから近いダンジョンは4箇所、その内2箇所は非常に若いダンジョンですんで無意味でしょう」

「かと言って人気の高えダンジョンもなぁ、一回入るのに何時間も並んでとか冗談じゃねえぞ?」

「となると候補は一つですね」

 真面目に話してんのにタヌキが静かだな。

 

「おう、タヌキ! お前の目的のための話し合いだぞ? なんか言ったらどうだ?」

「わ、我は……ええい! そんなにモフるな! ストレスでハゲたらどうする!?」

「そりゃ、指差して笑うだろ?」

「ハゲてない所をモフりますが?」

「お、お前らは! なんでドワーフとエルフの癖にそんなに息が合ってるんだ!?」

「いや、俺は誰でも彼でも敵対するほど暇じゃねえよ?」

「無闇に敵意を振りまくのは賢いエルフの有り方ではありませんね?」

「く……まあ、いい! 目的地が決まれば次はそこまでの道筋だな。我は馬車を利用するのがいいと思うぞ?」

「馬車ですか? 馬に色々と付けるのはエルフの流儀ではないのですが、まあ、奢りだというのであれば好意は素直に受けましょう!」

「お前ぇも結構ズ太いな? まあ、タヌキが払ってくれるだろ、俺の分もな!」

「何故だ! ええい、わ、我は……」

 タヌキがうつむいて黙ってしまった。

 うーむ、いじり過ぎたか……。


「あーあ、いじけちまったぞ、タヌキが」

「しょぼんとしている姿も愛らしいですが、元気をなくし過ぎても困りますね」

「しゃあねえ、とりあえず景気づけに酒でも飲みに行くか!」

「そうですね、お酒でも入れば元気になるかもしれません」

「「タヌキ(さん)のおごりで(な)!」」

「ええーい、いい加減にせんかっ!」

 元気が出たようだな、やっぱ酒はいいよな?



 という訳で、一週間の滞在予定だった宿を早めに切り上げ、翌日の馬車で俺たちは目的地である『徒労の迷宮』の側にある町へ向かう乗合馬車の乗客となった。

 客は俺らに加えて商人っぽいおっさんと、護衛を兼ねて乗車料金を割り引きしてもらって乗ってるっぽい冒険者たちと、これまた見事にむさ苦しい面子である。


 まあ、大抵の旅はこんなもんだろう。

 若い女の子の一人旅なんぞ、自殺行為でしかないからな。

 悪意でも持ってない限り、勧めたり許したりするもんじゃない。


 ほとんどの人間は生まれた場所から移動することなく一生を終えるんだよ、この世界じゃ。

 冒険者なんてのは堅気の世界じゃねえんだ。

 前世でネタになってた「自己責任」てもんの塊が冒険者って生き方だ。

 生きるのも死ぬのも、自分の財産や仲間を守るのも、全部自分の力でやらなくちゃいけない。

 まあ、だから必然的にいい意味でも悪い意味でもバカが多くなるんだがな?


 俺らの同行者となったエルフも広い意味では冒険者に入るらしいんだが、どっちかって言うと気ままにフラフラするのが主目的な風来坊とか旅人とかって感じに近いみてえだな?

 カバみたいなトロール相手にギター弾いてたヤツみてえで、ちょっと良さげだが、実際にやるとなると面倒だろうなぁ。


「そういや、俺も冒険者の範疇に入っちまってたんだっけか?」

「おや? 四隅銀メッキってことはDランクですか、私と一緒ですね」

「コヤツは冒険者としての経験は全く無いぞ? そう言えば、エルフ、お前はなんて名前なのだ! 同行しておきながらまともに自己紹介もされていないぞ!?」

 そう言えばそうだな?

 でも、別に不便だとかないぞ?


「そちらはゲッタさんとタヌキさんですよね」

「違うわっ! 我こそ偉大なる賢者ムジーナだ! エルフならその名前は聞いたことくらいあるだろう!?」

「いやー私は魔法の方はさっぱりでして、あ、そうそう、私の名前でしたねフルエとでも名乗っておきましょう!」

「思いっきり偽名だよな、それ!? エルフを逆から読んだだけじゃねえか!?」

「いや、エルフの厳しい掟で本当の名前は明らかにしてはいけないのです(キリッ!)」

「いや、我はそんな話は聞いたことが無いぞ?」

「まあまあ、私の名前なんてこの世で一、二を争うくらいどうでもいいことじゃないですか」

「確かに!!」

「なんで、ゲッタは納得してるんだ! ええい、ただでさえ3人というのは2人と1人になり易いのだ、次の町か迷宮で仲間を増やすぞ!」

「おお、頑張れ!」

「モフモフな獣人の方がいいですねぇ」


 まあ、俺にしてもくだらねえ話だとは思うよ?

 でも馬車の旅って基本暇なんだよ!

 だから、そんな呆れた目で見るなよ、同乗者のおっさん!



エルフ好きな方、ごめんなさい<m(__)m>

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