表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

地球で最後の男

作者: 藻ノ かたり

  ある日突然大規模な天変地異が起こり、地球は死の星となった。何の因果かオレだけが生き残ってしまい、今ここにいる。


  勿論、まだ生きているものがいないかと荒廃した大地を探し回ったが、動くものは何一つありはしなかった。よく散歩した公園、商店街、そして懐かしい我が家も今では瓦礫と化し、昔の面影は微塵もない。


  絶望にくれた日もあったが、生存本能というのだろうか、オレは心を奮い立たせ何とか生き延びてきた。


  現在オレは地下商店街の倉庫として作られたであろう施設に寝泊まりしている。自らを脅かす存在すら既にないのだから、本来は屋根さえあればどこで寝ようがよい。しかい悲しいかな滅亡前の習慣を変えるというのは難しいらしい。そのため部屋のドアも閉めて過ごす事が多く、時々物音がするとビクリと起き上がる。


 今日も何とか食べ物を見つけた後、ねぐらへ戻りうつらうつらしていると、突然ドアを叩く音がした。最初はまた風か何かのイタズラだろうと思っていたのだが、どうやら違うらしい。何故ならドアを叩いている主は人の言葉を喋ったからだ。


「おい、ドアの中に誰かいるのか。居るのなら返事をしてくれ。私は生存者だ。入れてくれ」


  オレは戸惑った。オレが地球最後の生き残りのはずだ。どこかの小説のように"それは地球最後の女でした"などという事はあり得ない。何故ならその声は明らかに男の声であり、ドアを叩く力強い音も女性のものとは思えない。


  オレは警戒して後ずさる。生き残りが自分だけだと思い、何の逃げ道も用意してこなかった事をオレは後悔した。


「おい、開けるぞ。いいな」


  ドアの外の声がそう告げるとゆっくりと扉が開く音がした。入ってきたのは屈強な三十代の男。そして部屋の隅にいるオレを見つけてこう言った。


「おぉ、なんてかわいい猫なんだ。お前も生き残ったのか。これからは私の家族として一緒に暮らしていこう」


  オレは少し迷いつつも、尻尾を立てながらその男の足下にすりよった。


ま、ありがちですけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ