おじさん、異世界で無双する
異世界に来て1週間は経過した。
神と名乗るヤツにこの世界に飛ばされ、強い能力あげるから頑張ってとか訳のわからない事を言われて俺は一言も喋る事無くこの世界に来た。
鑑定とアイテムボックス、魔物をテイムできる能力、結界魔法。この4つを貰ったのだが、説明書とか無いからどういう風に使えばいいのか分からないでいると、また神と名乗るヤツからテレパシーの様なモノで説明された。また一言も話す事が出来なかった。
対象に向かい、鑑定と心の中で唱えると、対象物の詳細がゲーム画面の様なスクロールで出てくる。
鑑定にはレベルがあり、今の段階ではその辺に落ちてる石や、その辺に生えてる草なんかは『石』『草』としか出てこなかった。使えねー。
アイテムボックス。持ち主の魔力量に応じて異空間にアイテムなどを収納出来る魔法で、試してみたが、その辺に落ちてる石1つしか入らなかった。使えねー。
魔物のテイム。魔物にダメージを与え、契約魔術を発動すると、自分の配下に加える事が出来る能力。しかし、その辺に居たスライムに試してみたがダメージを与える事が出来ずにテイム出来ないでいた。使えねー。
結界魔法。持ち主の魔力量に応じて、物理結界と魔法結界を張る能力。が、木にぶつかっただけで結界が砕けた。使えねー。
というか、スライムにすらダメージを与えられない今の俺は、すぐにゲームオーバーになるんじゃ?
などと思っていたが、どういうわけか最初に出会ったスライム以外の魔物との出会いが無くて生き残っていた。
ひたすら鑑定を使っていたからか、レベルが3になり、その辺に生えてるキノコなどが食べれるのかどうかを鑑定できる様になった。
そして、この1週間で分かった事がある。
魔力は空になるまで使うと倦怠感が襲って来て、熱中症になった様に身体がダルくなるが、時間が経てば回復していく。そして、魔力量の総量が上がっている。これを繰り返して行くうちに、自動魔力回復と火、水、風、土の初級魔法を獲得出来た。
また、頭の中に神と名乗るヤツが言いたい事だけを言って来るからその時に習得出来た。
もう一方的に言ってくるので、俺は諦めていた。
自分で生成した水を飲んでも、あまり効果が無い事が分かった。なので、土魔法と火魔法を応用して、容器を作り、その中に川の水を入れる。そのまま飲むと身体に悪そうなので、一度火魔法で温めて微生物をぶち飛ばして飲んでいる。
どの魔法もかなり便利だ。
しかし、いくら歩いてもこの身体全然疲れないな。
その分、日が暮れて来ると急に眠たくなって来るんだけど。魔物を倒してないからか、レベルは1のままだが魔力量と気力というステータスがずっと上がっていっている。結界魔法も、木に10回程度ぶつかったら砕ける様になっていた。少しずつ成長していくのがちょっと楽しくなってきた。
川の中には魚がいる。釣竿が無いから釣り上げられないが、水で壊れない土魔法で魚を追い詰め、風魔法で水の中に居る魚の首を飛ばす。スラッシュという。風の刃を飛ばす事の出来る魔法で、包丁代わりになるから助かっている。
鑑定レベルが4になった。その辺に落ちてる『石』が『シュトラ大陸の石』と地名が出る様になった。
大陸の名前を見ても分からないので、胸の内に留めておこう。
魔物が現れた。柴犬くらいの大きさのオオカミだ。
オオカミは俺を敵と認識したのか、吠えながら俺に向かって来る。結界魔法の強度を試したいので、攻撃を食らう事にする。オオカミの牙が俺に襲いかかる。しかし、結界魔法で弾かれた。ヒビが入っているが、まだ数回は持ちそうだ。後は、風魔法のスラッシュだと貫通してオーバーキルになるかもしれないから、土魔法のストーンバレットをオオカミに放つ。小石程度の石をぶつける魔法だ。そのまま、オオカミに当たり、オオカミはフラフラしている。鑑定をしてみると、残り体力が半分以下になっていた。ここで、テイムをしてみる。契約魔術を発動させる。紫色の魔法陣がオオカミの足元に現れる。
ピロンッ!と気が抜ける様な音が聞こえてくる。どうやら、成功した様だ。
『シュトラウルフ』
シュトラ地方に生息するオオカミ。好戦的で気性が荒い。テイムすると、魔力のステータスに+1の補正が追加される。後、初のテイム成功で、魔物と意思の疎通を取れる様になった。お手としてみると、理解出来たのか俺の手に自分の手を置いて来た。なんだコイツ、可愛い。モフモフしてて撫で心地も良い。俺はしばらくモフモフしていた。
テイムした魔物は、どうやらずっとそのまま一緒に行動するらしい。魔力が減って行く事も無い。だが、倒されたらどうなるのだろうか?…気になるが、試すわけにもいかないので保留とする。
オオカミの魔物…改め、モフモフしているからモフコと名付けた。付いてないから多分メスだろう。
後は、オスのオオカミをテイムしたい。モフコと交尾して、その子供は俺の支配下に置かれるのか試してみたい。モフコにオスのウルフが居ないか聞くと、こっちこっちと言わんばかりに俺の服を引っ張る。連れて行かれた先に、ウルフの群れがいた。
「あ、バカ!」
モフコは群れに突撃していく。止めようとしたが、遅かった様でモフコと意思疎通出来なかった。仕方ない、俺も参戦しようと思いモフコの後に続くと、群れのウルフはモフコに擦り寄っていた。どうやら、戦わずに済まそうだ。
ん?何かモフコのステータスが気になるなと思って鑑定してみると、新たなスキルを獲得していた。
シュトラウルフ限定だが、王女になったそうで、シュトラウルフはモフコに手出し出来ないみたいだ。つまり、その主である俺には手を出せなくなったんだとか。その場に居た9匹のシュトラウルフをテイムしていく。1番強そうなオスにモフオと名付け、モフコとモフオに土魔法と風魔法で応用した薄いリストバンドの様なものを付ける。…見分けが付かないからだ。
全てのシュトラウルフを連れて歩くのは抵抗があった為、モフコとモフオを俺の共とし、残りは集団でこの辺りの食料などを散策に出した。
それにしても。この世界に来てかなり歩いていると思うが、全く人の気配がしない。魔力を薄く広げると、サーチという魔法を使う事が出来る。自分以外の生命を探知する魔法だが、魔物や小動物の反応しかない。
もしかして、俺の行き先が間違っているのか?
経験を積めるし、今のところ楽しいから苦ではない。むしろ楽しい事の方が多い。だから、まだ人肌寂しいとかは無い。
異世界に来て1ヶ月が経った。
あれから、スライムや蜘蛛の魔物をテイムしたりしていた。スライムはその辺の石や草などを主食にしていて、とにかく何でも飲み込む。俺の持ち物も呑み込もうとしていたので、教えるとそれからは俺の持ち物を呑み込まなくなった。
蜘蛛の魔物は、系をはいてくれる。それを束にして、布団や布にしていた。一気に生活基準が上がった気がする。後は落ち着ける場所に着けるといいんだが、立地が悪い場所や森林地帯がずっと続いているのでしばらく野宿が続きそうだ。
モフコとモフオに子供が出来た。生まれた時から俺の支配下にあり、実験は成功だ。モフコとモフオの元のステータスが高かったのか、生まれた子…モフミ(メス)のステータスの初期値が親より高かった。強力な遺伝子を組み合わせると、子も強力になるのだろうか?これからも研究していこう。
それにしても、いい加減調味料が欲しい。
塩や砂糖、みりんや醤油。日本食が懐かしい。
とりあえず、塩は早急に作りたい所だ。岩塩になる結晶とか海とかあれば作れるんだけど、今のところありそうにない。それに、調味料がないから肉をどれだけ上手く処理して焼いても、獣臭が凄い。最近ではキノコ類しか食べない様にしている。ゲロしそうになる。
いや、酒が飲みたい!アルコールを体内にしばらく入れてないから、禁断症状が出そうだ。元居た世界ではタバコも吸っていたが、気にしないで居ると全然吸いたいと思わない。が、酒は別だ。浴びる様に飲みたい。どこかにないのだろうか…。
異世界に来て1ヶ月と半月が経った。
マッピングしながら歩いている為、移動は遅い方だ。大陸がデカいのか、分からないが全然海や人里に向かってる気がしない。
異世界に来た頃と比べて、最近では魔力切れを起こさなくなっていた。自動魔力回復、最初は効果が1時間で10回復するだったのが、最近では10分で100回復する様になっている。使用する魔法によって魔力を使う様になっているが、中級魔法までなら魔力量1で使える様になっていた。
何故か。多分だが、昨日テイムした大きなキノコみたいな見た目のマッシュボンデッドの影響だろう。
コイツは戦闘力は皆無だが、相手に幻覚を見せる事が出来る魔物で、自分には体力回復や魔力の使用量を大幅にダウンさせる効果が備わっている。
マッシュボンデッドを30匹くらいテイムしたらこうなった。テイム出来る限界値に到達したので、これ以上マッシュボンデッドをテイムする事は出来ない。残念だ。
「あいうえおかきくけこ」
最近、言葉にして話してないせいか会話の仕方を忘れそうになる。魔物達とは思念伝達で言葉にしなくても意思疎通が出来るからだ。
…ステーキ、唐揚げ、天ぷら、寿司、ラーメン、カレー、パスタ、うどん、そば、ピザ、焼き鳥、ソーセージ、チキンの照り焼き、焼き魚…。日本で食べていた食事が恋しい。それに、何と言ってもビールだ。ビールを頭から被りたい。ビールの風呂に入りたい。…無いものねだりが激しくて、最近ではたまに頭のネジが飛ぶ。
異世界に来て半年が経った。
ようやく、大陸の切れ目に辿り着いた。海が見える。これで、塩を確保出来る。それに、味が薄い川の魚から、海の濃厚な味を含んだ魚を食べられる。
それに、海に着く前に、お宝を発見した。麦畑だ。
これで、ビールと米が作れる!現代科学を少し理解していれば、後は魔法様の力であっという間に完成よ。それに、近くには大豆やらもあって、これで調味料を確保出来る。文明レベルが1から一気に5くらいに進化した。テンションが上がる。
鑑定レベルも10になり、カンストしている。今の俺に分からない事はないと思う。
アイテムボックスも、多分だけど今見えている海全部入ると思う。それくらい、魔力量が以前とは桁違いになっている。
魔力量が多いからか、最近では魔物の襲われる事がなくなった。俺の連れている魔物達が多いからか、サーチに引っかかってもすぐさま俺から離れていく。
結界魔法も、今俺が連れている200匹の魔物達全員に攻撃させても砕けない。自動魔力回復の供給が、尋常じゃないスピードだからだ。上級魔法を放っても、すぐに回復する為最近では魔力の総量が上がらなくなってきた。
なんだか、どんどんチートみたいな存在になっているが、気にしないでおこう。
鳶の様な見た目をしているシュトラウイグル。コイツらを20匹程テイムして、この大陸のマッピングを進めていた。それで分かったが、やはりというかこの大陸には人里は無い。魔物だらけの大陸のようだ。俺が進んで来た方は、比較的弱い部類の魔物が生息しているみたいで、反対側にはドラゴンや巨人のような見た目の魔物が多数生息しているのを確認した。ここで色々準備をしたら、そっちに向かってみようかな。
魔物をテイムしていくと、その魔物の特性を俺自身も使える様になる。例えば、鳥の魔物だったら空を飛べる様になったり、ウルフだと鼻が良くなったり。なので、今の俺がテイムしている魔物は、スライム、ウルフ、蜘蛛、マッシュボンデッド、ウイグル、ピーニア(川魚の見た目をした魔物)だから、何でも飲み込めるし、鼻も効いて、身体から系を出せて、自動で体力と魔力を回復して、空を飛べて、水の中でも呼吸が出来るという人外の領域に足を入れている。自分で言うのもなんだけど、ここまで来たら人外だな。
空を飛んでみると、最初は上手く飛行出来ないから感覚が掴めず地面に落下してたりしたが、最近では上手くコントロール出来るようになっていた。
風魔法を応用すると、風の抵抗を弱めて速く飛べたりも出来る。
これで、今まで歩いて来た半年分の距離をものの15分で行ける様になった。そのうち、光の速度とかで飛びそうだな俺…。
しかし、ウイグル以外の魔物は俺について来れない為、安全な場所に十分な食料を置いてそこで待って貰う事にした。シュトラ大陸を制覇したら、次は人里のある大陸を旅して回りたい。
異世界に来て一年が経った。
ついに、シュトラ大陸を制覇する事が出来た。大陸の東側には、最古から存在しているドラゴンや巨人が居て、力を証明したらテイムすることに成功した。
金銀の財宝や希少な鉱石、レアなアイテムなどを所持しており、それらを俺にくれたので貰っておく事にした。
そして、俺はシュトラ大陸を離れる事にする。留守を最古のドラゴンと巨人に任せる。戦闘はしなかったが、多分今の俺でも無事では済まないと思うくらいの力量を秘めているだろう。
コイツらは知能が高いのか、会話をする事も出来たのでこの世界の事について詳しく聞いてみたが、何百年もシュトラ大陸から出ていないから今の世界がどうなっているかは分からない様だ。
他の大陸にも、最古のドラゴンと巨人の友人?仲間?が居るらしく、ソイツらに会ったらここに来る様に伝言を貰ったのでそうすると告げて、俺は他大陸に空から向かう。
とりあえず、1番近くの大陸に降りてのんびりマッピングしていこうかな。
ーステータスー
レベル150
力 500
魔力 3000
防御力 500
素早さ 500
属性 火、水、風、土、闇、光
スキル ・自動体力魔力回復(超)・結界魔法・鑑定レベル10・アイテムボックス・ステータス増加・魔物のテイム
使える魔法
火、水、風、土は上級魔法
闇、光は初級魔法
テイムしている魔物
・シュトラスライム
魔物の大陸に生息するスライム。ステータスが高く、物理攻撃が効きづらい。レベルが高い個体だと、遠くから酸の様な液体を飛ばして来たりする。危険度B
・シュトラウルフ
魔物の大陸に生息するウルフ。好戦的で気性が荒く、牙には毒や痺れなどの効果がある。レベルが上がると群れで襲って来るので対処困難。
危険度A -
・シュトラスパイダー
魔物の大陸に生息する蜘蛛。系で相手を絡め取り、身動きを取れなくする。レベルが上がると図体が大きくなり、クイーンスパイダーやキングスパイダーに進化すると災害級クラスの怪物になる。
シュトラスパイダー危険度C+
クイーンスパイダー危険度A+
キングスパイダー危険度S
・シュトラマッシュボンデッド
魔物の大陸に生息するキノコ。危険度はそこまで高くないが、レベルが上がると幻覚の度合いが高まって、最悪死ぬ事すらある。
危険度C+
・シュトラウイグル
魔物の大陸に生息する鳥。獰猛で、尖った爪で相手を攻撃する。レベルが上がると、高速の速度で相手の急所に攻撃する
危険度A -
・シュトラピーニア
魔物の大陸に生息する魚。川に居る微生物などを餌にしているが、レベルが上がると肉食な魔物になる。川に居ると食べられる。
危険度B+
・最古のドラゴン(赤)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級のドラゴン。赤い身体から放たれるマグマの様なブレス、巨大な身体からの尻尾攻撃。どれもが災害級の厄災である。
危険度
SSS
・最古の巨人(白)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級の巨人。山の様にデカい図体から繰り出される攻撃は、地を裂き天を割ると言われている。温厚だが、攻撃されると怒り狂う。
危険度
SSS
ー
空を飛んでシュトラ大陸から出た俺。
近くの大陸に降りると、港町だろうか?この世界に来て初めての人里であった。
空から見ると小さい町にみえたが、近付くと結構広い町だった。空からいきなり現れると住民を混乱させるかもしれないから、港町から少し離れた所に着地し、歩いて向かう事にする。
…そう言えば、ほぼ裸体の様な服装だけど大丈夫かな?
「止まれ!そこの変態中年男!!」
やっぱし。案の定というか、門に近づいたら門兵が慌てた様子で槍を持ちながら俺に近づいて来た。
俺は、抵抗の意思が無いと両手をあげる。
そういえば、言語は日本語、なのか?何にせよ、通じて良かった。
「何故裸なのだ貴様!」
「いえ、ちゃんと下は隠してますよ?」
「そういう問題ではない!服はどうしたのだ!?」
「それが…道中に盗賊に襲われて…ヒャッハー!命が欲しければ有金と服を全部置いていけー!と言われて…」
「…そうだったのか…」
嘘だけど。他に理由が思いつかなかったから盗賊に襲われた事にしたが、ちゃんと盗賊とか居るのね。
他に並んでいた人から哀れみの目を向けられたが、気にしないでおこう。…気にしてないんだからね!
「…あの、通行税とかは…?」
「…いい。本来なら銀貨1枚だが、ここは俺が立て替えておく」
「優しいおじさん…ありがとう…」
「おじさんじゃねぇ!こう見えて21歳だ!!」
「(俺より老けて見える様な…いやいや、親切にしてくれてるいるんだ。ここは大人の対応を)ありがとうお兄さん」
「俺はナインハルト。いいか、立て替えておくんだから金を稼げたら返しに来いよ?」
「ナインハルトさん、ありがとう…俺は…」
そういえば、自分の名前を決めてなかった。
前世の田中義和って名前を使ってもいいんだが、せっかくだからこの世界では自分でカッコいい名前を名乗る事にするか。
「俺の名はケビンだ」
「ケビンか。とりあえず、服を着ていけ。…よし、通ってよし!」
ナインハルトに服を貰った。ありがたい。
町の中に入ると、かなり活気があった。
この1年、魔物ばかりと会話していたから人ばかり居て何だか涙が出そうになる。出ないけど。
とりあえず、この世界の食レベルがどれほどなのか気になるから出店巡りでもしようかな。
「嘘だろ…ここまで文明レベル低いのか…」
港に向かうと、出店がズラリと並んでいる。そこに置かれた食べ物を見てみると、味の薄そうな肉や美味しくなさそうな野菜などがあった。どう見ても文明レベルが2くらいだ。魔法があるから停滞しているのか?
気を取り直して。とりあえず、ダサくてもいいから服を買い揃えよう。
「いらっしゃいませ」
服屋に入ると、それなりの服がズラリと並んでいた。食はレベルが低かったが、服はなかなかセンスがいいな。文明レベルを3に上げておこうか。
それにしても、服とかまともに選んだ事がないから何を買えばいいのやら…。店員さんに服を選んで貰い、アイテムボックスから金と銀貨を取り出す。最古のドラゴンと巨人から貰っておいて良かった。
合計で銀貨20枚で済んだ。金銭感覚がまだ掴めないので、色々見て回るか。
それから。金が出来たとナインハルトに返しに行くと「はやっ!」となかなか良いツッコミを貰い、話していると仲良くなったので夜に酒場で酒を呑む事になった。それまで、俺は金銭感覚を掴む為に出店や店などを見て回った。
夜。賑わう酒場。ナインハルトと合流し、酒を頼んで行く。他愛ない話をしながら、この世界の事について上手く聞いていた。
異世界の名は『リンベルト』
4つの大陸に分かれていて、ここは西の大陸『ヌーボア』北の大陸は『アーゼンハイド』東の大陸は『メギーナ』そして南の大陸『シュトラ』となっている。
他にもギルドやら異世界での定番メニューが色々あるらしく、俺は「へぇー」と相槌を打ちながらナインハルトの説明を聞いていた。
「よっし!気分も高まった事だし娼館にでも行くか?」
「ナインハルト、あんま無理するな。フラフラしているじゃないか」
「大丈夫らいりょーぶ。俺は無敵のナインハルト殿下だぞぉ」
「酔っ払いは寝てろ」
俺は闇初級魔法「スリープ」でナインハルトを強制的に寝かした。童貞の俺に娼館はまだ早い。け、決してビビっているとかそんなんじゃないんだからね!
宿舎にナインハルトを捨てて、俺は近くの宿屋に泊まる事にした。やはりというべきか、風呂は無かった。久しぶりに風呂に入りたいものだ…。
翌日。
今日は何をしようかなと考えながら起きた。
この町でやりたい事も無いし、別の町に移動しようかな…などと考えながら宿屋から出ると、何やら騒がしい。
「冒険者を呼べ!!急げ!!」
「…なにかあったのかい?」
「近くの森から凶悪な魔物がこの町に向かっているとか」
「なるほど」
面白そうなイベント発生か。
俺は、ギルドの方に足を伸ばした。どうせなら、ギルド登録を済ませておこうかな。町に入る時の通行税を取られなくなるし。
ギルドに着くと、かなり殺気立っていた。
「くそっ!こんな時にAランクの紅の風の連中が居ないとは…」「居ないヤツらの事を言ったってしょうがねぇだろ!俺らでどうにかしないと!」「はぁ…短い人生だった」
「皆、聞けい!!サイクロプスが10匹。この町に向かって来ている!危険度B+のクエストだが、全員でかかれば問題は無い!アイツらの弱点は目だ!遠くから魔法や弓で目を狙い、接近戦のヤツらは足を止める事だけを考えるんだ!いいな、無理はせずやるんだぞ!」
ギルドマスターだろうか。貫禄のある男の声で、やる気全開になっている冒険者各員。だけど、鑑定してみたがおそらくここに居る連中ではサイクロプスは止められないだろう。それに、ナインハルトも参加するようだし、善意を受けたならその恩返しをしないとな。
俺は一足先に、サイクロプスの元へと向かう。
サーチをしてみると、確かにサイクロプスはこちらに向かって進んできていた。
町からはまだ誰も出て来てはいない。
どうしたものか、目立って討伐するべきか、黙って倒して立ち去るべきか。目立った場合は、ギルド登録の時にそれなりのランクからスタートできそうだ。だけど、ランクが上がると個別にクエストを受けてくれのすっぺたの言われて面倒事に巻き込まれそうだ。黙って討伐した場合。誰の仕業なのか手配されたりしそうだが、メリットとデメリットを考えたら今のうちに倒しておくほうが良さそうだ。
俺は空に飛び、空から風中級魔法エアロウインドをサイクロプスに向けて放つ。威力が上がっていたからか、エアロウインドはサイクロプス10匹を貫通し、そのままの勢いで森を半壊させ消えて行った。
やっば。こうなりゃ逃げるが勝ちってね!
「サ、サイクロプスの反応が消えた…?」「一体誰が…!」「…何にせよ、生きてる!誰だか知らないけど助かったぜ!」
「…あの男は一体…」
ー
ふう。それにしても、鑑定でサイクロプスを見てみたが危険度はD+だったんだが、ギルドの測定基準がいまいち分からないな。森に実っていた『ポント』というリンゴの様な果物を齧りながら次の町に向かっていた。この果物、甘くて旨いな。
ん?サーチに反応がある。港町から俺をつけて来たのか?…気になるな。
気配察知を遮断する闇魔法『インビジブル』
透明になり、サーチに引っ掛からなくなる魔法。音は出るので、しばらく待っていると、青髪の女の子が先ほどまで俺が立っていた場所に来た。
「あれ、おかしいな…ここまではサーチに引っかかっていたのに」
「こんな所までどうしたんだいお嬢さん」
「ッ!」
「おっと、急に声をかけてごめんよ。とりあえず、その手に持ってる物騒なものを引っ込めてもらっていいかな?」
「…ごめんなさい。驚いて」
「いいよいいよ。それで、君は?」
「これは失礼。私はヌーボア王国の騎士団長をしているメアリーと申す。先ほどの貴殿の戦闘を目の当たりにしていてもたってもいられなくて後をつけたんだ」
「これはご丁寧に。俺の名前はケビン」
あちゃー。さっきのサイクロプスを見られていたのか。いや、おそらくサーチでサイクロプスの気配を感じていて、反応が無くなってその近くに居た俺の気配を追ってここまで来たっていうのが正解かな。
さて、どうするか。。誤魔化しても無駄の様なので、濁しながら答えるか。
「先ほどのサイクロプスは、誰かがダメージを与えていたようで一撃で倒す事が出来ました。俺は旅をしている魔法使いなのです」
「ほほう。魔法使いなのだな。いや、ダメージをおっているからといって、危険度B+の魔物を一瞬で倒したのだ。相当の力の持ち主なのだろう」
「いえいえ。それでは、俺はこれで…」
「待ってくれ」
「まだ何か?」
「ケビン殿。すまぬが我が国に協力してはくれぬか?」
「いえ、結構です」
「そこをなんとか!!私の力ではどうしようもないのだ!!」
「いえいえ、結構です。面倒事は嫌いなので」
「うう…私を自由に出来ると言ってもダメか!?」
メアリーさんは、鎧を身に纏っているがとてつもない美人だ。そんな彼女を自由に出来ると…いかんいかん!危うく口車に乗せられそうだった。
「…話だけなら聞きましょう」
はい。俺は童貞クソティンポ野郎です。
「実は…」
ヌーボア王国。水を司る国で、農作物が豊かな国。貧富の差もそれほどなく、大陸の中で1番住みやすいとされている。しかし、近年国の内情が悪化し、農作物の収穫量が激減していて、このままでは食糧難になるそうだ。原因は、ヌーボア王国から少し離れた山。そこの源泉地に最近現れたとされるドラゴンの仕業だった。文献でもそのドラゴンについて載っていないらしく、討伐隊を組んだが一瞬で凍らされたらしい。…多分、最古のドラゴンで間違いないだろう。
「…もう、私が頼れるのはケビン殿だけなのだ。どうにか引き受けて貰えないだろうか?」
「分かりました。やってみましょう」
「本当か!ありがとう!ありがとう…」
で。やってきたヌーボア王国。のんびり歩いて来たかったが、俺のこの先のスローライフの為だ。メアリーさんを抱き抱え、空を飛んで来た。
初めての事だったのか、俺から抱えられた時は暴れていたが、今では大人しくなっている。
「空、空を…」
空を飛んだのが衝撃だったのか、生まれたての子鹿の様に足をプルプルさせていた。それより、鎧を外した身体が今も俺の手に残っていて…いかんいかん。
「メアリーさん。後は俺に任せてくれ。何とかする」
「!いや、私も一緒に…!」
「ハッキリ言うけど、足手纏いだ。何とかしたらその時は…よろしくね?」
それだけ言って、俺は山の源泉地へと向かう。
メアリーさんが顔を赤くして何か言っていたみたいだけど、それは後のお楽しみにしよう。
空を飛ぶと、本当にあっという間についてしまう。
山の源泉地に到着した俺。メアリーさんの言う通り、最古のドラゴン(赤)と同じ様な見た目の青色のドラゴンがそこに居た。
『む…お主、人間なのか?』
「ああそうだ。お前がそこに居るから国の皆が困っている。退けてくれないか?」
『断る!我はここが気に入ったのだ。人間がどうなろうと我の知った事ではない!』
「なるほど。つまり、俺と戦うと?」
『人間風情が!調子に…!?』
「魔力解放」
ーシュトラ大陸を出る時。最古のドラゴン(赤)に言われたっけ。俺の魔力は巨大過ぎて、抑えないとプレッシャーで押し潰されそうになると。なので、俺は魔力を10分の1に抑えていた。それを解放する。
あら?しばらく魔力量が増えてなかったのに、なんか増えているような…まあいいか。
ー
『貴様!本当に人間なのか!?』
「酷いな。一応人間だけど」
問答無用。俺は土の上級魔法をドラゴンにぶつける。その勢いでドラゴンは体制を崩し、連続で上級魔法を撃ち込む。隙を与えない様に連続で放つ。
『むう…!これほどの威力をポンポンと…!』
「まだ余裕そうだな?これはどうだ!」
それから。しばらく続けていると、ドラゴンは降参してきた。
『魔力が全然衰えないとは…我の完敗だ。好きにするといい』
「分かってくれて良かったよ。それより、俺はテイマーなんだけど、良かったら配下に加わってくれない?」
『良いだろう』
「…よし。あ、そうだ。最古のドラゴン(赤)から伝言があったんだ」
『なんと!あやつ、まだ生きておったのか!』
「シュトラ大陸の東の所に居るから、そこに行くと会えるよ」
『おお懐かしい。では、我はそこでマスターの帰りを待つとするかのう』
「マスター?」
『貴方様の事じゃよ。我ら最古のドラゴンを従える程の実力。それでいて、器の大きさ。まさに我を従える主に相応しい呼び名』
「はは。まあ何でもいいや。とりあえず、後の事はやっておくからまたね」
最古のドラゴン(青)は、翼を広げ南の大陸シュトラに飛び去って行った。
そして、俺はメアリーさんの元へと飛んで戻った。
「ケビン殿!!!ドラゴンが飛び去って行くのが見えましたがもしかして!?」
「はい。話したら分かってくれたのでどこかに行ってくれました」
「なんと…。あれほどのドラゴンを退けられる力…。感服致しました。…あの、それで、その…」
モジモジし出すメアリーさん。これから、俺に何をされるのか分かっているのか恥ずかしそうにしている。
「メアリーさん。今は国の皆に知らせてあげないと」
「…良いのか?」
「はい。その後でたっぷり可愛がってあげますね」
「なっ…!」
メアリーさんは駆け足で国の中に入って行った。それを見届けた俺は、この場から離れる。
ここで立ち去る俺…うん、かっこいい!
ー
「それはまことか!メアリーよ!」
「はっ!ケビンと名乗る魔法使いがドラゴンを退けてくれました」
「なんと…。あれほどのドラゴンを退ける力…。それで、その方は?」
「…はい、入り口で待っていると思います」
「よし、手厚く出迎えるのだ!英雄の誕生じゃ!皆の者!宴の用意じゃ!」
「…これから、私はケビン殿と…」
「し、失礼します!入り口に向かいましたが、誰も居らず…こんな手紙が!」
「何!?読んでみよ」
「はっ!『メアリーさん。勝手に居なくなってごめん。俺は旅をする魔法使い。自由気ままに旅をして、世界を見て回りたいんだ。権力争いに巻き込まれたりするのは面倒だから、これで失礼するよ!また会う日があればその時は…よろしくね!』…なんと」
「ははは。権力争いときたか。むう。是非我が国の賢者として迎えたかったが嫌われてしまったのう」
「…ケビン殿」
ー
ヌーボア大陸を離れ、北の大陸にやって来た。
ヌーボア大陸の村や町を見て回っていたが、俺の事が大陸中に出回っていたようで身動きが取りづらくなっていたからだ。
それにしても、噂になるの早過ぎないか?何かあるのだろうか?
「それにしても…寒い!」
ヌーボア大陸はいい感じの気候だったのに、北の大陸『アーゼンハイド』に来てから吹雪が凄まじい。
火と風の魔法の応用で、自分の周りだけ適温を保つ。あー快適快適。それより、そろそろ風呂に入りたいな。水と風と光の応用魔法『クリーン』で、身体の汚れとか落としているけど、やはり風呂に浸かりたい。どうにか土魔法で出来ないか試してみたが、ちゃんとした風呂に浸かりたい気持ちが勝ってしまい断念していた。
アーゼンハイドのとある町。
とりあえず近くにあったので入る事にする。ギルド登録を済ませてないので、通行税銀貨1枚を支払う。
色々巻き込まれて、未だに登録出来てないからギルド登録もしないとな。
町の中は静まり返っていた。人っこ1人歩いておらず、静寂が漂っていた。
出店も無く、店屋も閉まっている。仕方ないので、宿屋に向かう。
「すいませーん。一泊したいんですけどー」
「え、お客様!?こんな山奥に珍しい!」
「それより、町中に誰もいなかったんですけど」
「それが…この吹雪のせいで誰も外に出なくなって…もう1週間も続いてるんです」
「そんなに…。原因は分からないんですか?」
「冒険者の皆さんや、領主様が調べているみたいですが分からないそうで…」
「なるほど」
…どうやら、ここも何かのトラブルに巻き込まれているようだ。
「うまい!」
異世界に来て、初めて美味しいと感じた料理だった。牛のステーキと野菜のスープ。肉厚が凄くてかみごたえもあり、焼き加減が絶妙で歯で噛み切ると舌の上でアイスが溶ける様に無くなっていく。旨味成分が脳天に響く様に感じる。野菜スープも、出汁が良いのかめちゃくちゃ上手く感じた。
「めちゃくちゃ美味しい!どうやってここまでの料理を!」
「はっはっは。良い食べっぷりだな」
「貴方がこの料理を作ったんですか?」
「おうよ!」
「めちゃくちゃ気に入りました。あの、よければ旅先で見つけた調味料がありまして…」
「おお!?ほう…これは…ほうほう。ふーむ」
「しばらくここに滞在させてください」
「なるほどなるほど…。いや、それは厳しいかもな。もうじき食料も底をつく。そうなると…」
「…なんだと。分かりました。俺がこの原因をつきとめます」
「!アンタは一体…」
「俺は魔法使いです。何とか原因究明しましょう」
俺のはそう言って宿屋を出る。調味料があっても料理の腕がなければあれほどの美味を感じ得ない。
それを食べらなくなると言うんだ。何が何でもこの吹雪を止めなくては。
と言ったものの。ヌーボア大陸の時の様に、明確な敵が分かっていれば解決が早いんだけど、全くの手掛かり無しだと動きようがないな。
ギルドに行ってみるか…。
「何かわかったか!?」「ああ!北の洞窟に怪しいヤツらが居たんだ!どうやらソイツらが原因みたいだ!」
ほうほう。北の洞窟。怪しいヤツら。
よし。さっそく向かうとしますか。
サーチをしながら歩いて向かう事にする。サーチをしながら吹雪をガードしながらは、流石の俺でもコントロールが効かない為、仕方なく歩いて向かっている。
しばらく歩いていると、サーチに沢山の人が引っ掛かる。灯りがついている。恐らく、あそこだろう。
俺はどんどん近づいて行く。
「オラ!もっと吹雪かせろ!!」「オラオラ!」
オラオラ言ってる男共。手には棒を持ち、振り下ろして下で蹲っている何かが居た。
鑑定してみると、『雪女』という魔物だった。
雪女は、滅多に人の前には現れない魔物で、出会うと幸運になるとされている。しかし、ダメージを与えると吹雪を巻き起こし、2週間もすれば氷漬けにしてしまうんだとか。俺は雪女を助ける為に、男共を制圧していく。
洞窟の中にも雪女が大量に居て、男共は乱暴を働いていたので成敗しておいた。雪女を助けると、数匹が絶命しかけていたので光魔法で回復をする。
すると、雪女がワラワラと俺に近寄って来る。
…黒髪で白い服着ているからちょっと怖いんですけど。。
『あ、ありがとうございます』
「良いって良いって。それより、他の子は大丈夫?」
『はい。仲間も無事、貴方のおかげで助かりました』
「何があったの?」
『1週間前。彼らが私達の住処であるこの場所に来て、連れ去ろうとしたりしたから抵抗していたのです』
「なるほどな。コイツら、俺が町に突き出しておくよ」
『ありがとうございます!なんとお礼を言ったら良いか…』
「お礼はいいから、この吹雪を止めてくれる?」
『あ、はい!えーい!』
気が抜けそうな声で叫ぶ雪女達。その光景はシュールで、掛け声が止むと吹雪も次第に弱まってきていた。
「また襲われたらいけないから、俺の配下にならないか?こう見えてテイマーなんだ。何かあればすぐに俺が察知出来るから」
『良いのですか?』
「いいよいいよ。しばらく、ここに滞在するし。何かあったら思念伝達してくれ」
『はい!分かりました!』
雪女達をテイムして、男共を縄で括り付け空を飛び町に戻る。
町に戻ると、吹雪は完全に止まっていて人々が家の外から出て来ていた。
宿屋の親父さんと娘が、俺に向かって手を振っていた。
「兵士の皆さん。原因はコイツらでした」
「!!コイツらは…指名手配中のごろつき共です!ご協力感謝します!」
「いえいえ」
これで、またあの旨い料理を食べられる!それに、調味料を渡したからもっと旨い料理を作ってくれるかも!!
改めて気が付いたが、どうやらこの町には温泉が湧いているようだ。俺は嬉しさのあまり飛び跳ねた。良い年したオッサンでも、嬉しい時は飛び跳ねるもんさ。鯉のように。
この町に来て3ヶ月が経った。
ギルド登録を済ませ、俺はCランクに昇格していた。ぼちぼちクエストをこなしながら、宿屋の旨い料理を食べ温泉に入る日々。実に良い暮らしだ。
町の人とも仲良くなり、宿屋で毎日の様に宴会をしている。
そんな時、俺宛てに1通の手紙が届いた。
どうやらヌーボア王国の国王からだった。
この世界のギルドは、登録者の共有を行なっていて、ギルドに備わるアイテム転移魔法陣によって、活躍している冒険者の名前とかが報告されるんだとか。それで、俺の名がヌーボア王国にも届いたらしく知られてしまった。手紙の内容は、ドラゴンの件のお礼をしたいとの事だった。
面倒だが、無視を続けるとこの町にも迷惑が掛かるかもしれないから俺はヌーボア王国に行くことにした。空を飛んでいけば15分だ。
ヌーボア王国に到着する。門に着き、王からの手紙を門兵に見せると慌てた様子で「お待ち下さい!すぐ準備をします!」と言って走っていってしまった。
待つ事30分。
先ほどの門兵が息を切らしながらこちらに走っていた。鎧を着たままで大変だったろうに。
ゼェーゼェー言いながら「こ、こちらへ」と案内される俺。門兵が気の毒だったので、体力が徐々に回復する魔法を掛けておいた。ご苦労様。
門兵に城まで案内される。代わりの門兵になり、俺は後をついていく。
中は立派な装飾やらがされていた。長い廊下を抜けると、謁見の間に着いたようだった。
門兵が扉を開ける。中にはズラリと人が並んでおり、玉座には王冠を被った王様が座っていた。
礼儀作法とか知らないけど、とりあえず膝をついておけばいいのかな?
門兵に案内され、ここで立っていてと言われたので言われた通りにする。そして、俺の目の前にはメアリーさんが居た。恥ずかしそうな、恨めしそうな顔でこちらを睨んでいる様だった。背筋が凍る様な悪寒だ。
そして、メアリーさんが片膝を付くと、ギャラリーも同じ様にしていたので俺も真似をする。
「此度は良く赴いてくれた。魔法使い殿。表を上げてくれ」
「は、ははー」
なんかのドラマか何かでこんな感じでやっていた気がするから試しにやってみる。
「ほほほ。魔法使い殿はなかなかユニークな御仁の様だな」
「とんでもございません王様」
「そう堅くならないでくれ。魔法使い殿はこの国の救世主なのだから」
「もったいなきお言葉です」
「ふむ。ーそれでは、この度の魔法使いケビン殿に対して、金貨を3000枚贈呈し、ヌーボア名誉称号を与える事にする!」
「「「ケビン殿万歳!!魔法使いケビン万歳!!」」」
なにそれ、練習したの?って思う様な素晴らしいハマり具合のギャラリーの方々。ヌーボア名誉称号って何だろって考えていると、これにて謁見は終わりとの事だったので立ち去ろうとする。
メアリーさんから呼び止められる。
「ケビン殿!今度は逃しませんよ!!私について来てくだされ!」
メアリーさんに引き摺られる俺。信用無いの?って言ってみたがダメだった。
その後。別の部屋でメアリーさんと待っていると、王様と数人の偉そうな人が入って来た。
「おお、待たせてすまぬケビン殿」
「いえ、ダイジョウブデス」
「ほほほ。本当にユニークな方じゃな。それより…ケビン殿」
「何でしょうか」
「この国で賢者をやってみぬか?」
「いいえ。俺はどこの馬の骨とも知れぬ一介の旅人。とてもじゃありませんが務まりません」
「むう。やはりダメか。どうしてもダメか?」
「…本音を言います。俺は、この世界を旅して周りたいのです。まだ見ぬ景色、まだ見ぬ魔物。ありとあらゆる物をこの目に収めて、のんびり余生を過ごしたいと考えています。なので、申し訳ありませんがお断りさせてください」
「なるほどのう。それだけの力を持ってしても、まだ世界に興味を持てるというのか。あっぱれあっぱれ」
「それより、追加でケビン殿に報酬を渡そうと思ってな」
「何でしょうか?」
「騎士団長のメアリーをケビン殿の旅に同行させてはくれまいか?」
「…え?」
「…」
「どうやらケビン殿に惚れ込んでおるようで。どうしても付いて行きたいそうなのじゃ。ダメか?」
「分かりました。メアリーさんの同行を許可します」
「良かったのメアリー」
「はい。お父様」
「…お父様!?」
「何じゃ。言っておらんかったのか?」
「だって…急に居なくなるんだもん」
「メ、メアリーさん?」
「ほほほ。今夜は宴じゃ!!ケビン殿、今度はちゃんと参席してもらうぞ!」
「…はい」
宴。
国をあげての宴で、ドラマやアニメで観た様なパレードが行われていた。俺とメアリーさんは目立つ所に座っていて、まるで結婚式の様な感じがするけど気にしないでおこう。俺は目の前の酒を浴びる様に飲み、宴を楽しんでいた。決して、現実逃避とかじゃないからね!
その夜。
飲み疲れた俺は、王城の客室に泊まる事になった。
空を飛んで逃げようとするが、メアリーさんがずっと俺の腕を掴んで離さないので渋々と言った感じだ。
「…」
「…」
そして、寝室までついて来るメアリーさん。
「あの、メアリーさん?」
「…」
「そろそろ離してくれません?」
「いやです。離したら、またケビン様が逃げてしまいます」
「逃げませんから。ほら」
手を広げ、ベッドに倒れ込む。逃げない意思を見せる。それより、早く出ていって欲しい。話し方も騎士団長の時の堅苦しい話し方が抜けていて、お姫様って感じの話し方だし、なんか幼く感じる。
「…」
そして、何故か俺の腕に収まるメアリーさん。
ドレス姿が乱れ、胸の谷間がチラチラと俺の視界に入る。童貞の俺にはかなり刺激が強い。
「あの、メアリーさん。俺も男なんだ。だから、その…」
「分かっています。私は今日、ケビン様と添い遂げる覚悟を決めてきています」
「なっ!」
「…私では、ダメでしょうか?」
「…ごめんメアリーさん。俺、そういう経験が無いから…」
「私もです。…初めて出会った時からケビン様の事をお慕いしておりました」
「メアリー」
はい。色々と最高でした。
翌朝。
一皮剥けた俺。太陽の光が眩しくて、まるで世界が俺中心に回っているようだ。ベッドに眠るお姫様。その寝顔は可愛らしく、愛らしい。頬に触れると、少し声を出すメアリーさん。
「あっ…おはようございますケビン様」
「おはようメアリーさん。良い朝だね」
「そうですね。ケビン様、私の事はメアリーと呼んでくれませんか?」
「…分かりました。メアリー」
「ありがとうございますケビン様」
コンコン。扉をノックされ、返事をする。メイド達が入って来て、俺とメアリーを交互に見ると顔を赤くさせていた。
それから。
旅の支度が出来たので、王様に挨拶をしに行くと「昨夜はお楽しみでしたね」とか言われて恥ずかしくなって王城を後にした。
俺はメアリーを抱き抱え、アーゼンハイドの拠点にしている町に空で飛んでいった。
ゆっくり飛んでいたからか、メアリーは目を輝かせながら俺の首に手を回し、景色が堪能していたみたいだった。俺はメアリーの胸を掴んでいたので、俺も堪能させてもらいました。
アーゼンハイドの町に到着する。
メアリーは初めて来たらしく、はしゃいでいた。
なんかこう見ると、俺と歳が離れている様な…
「メアリーさん、失礼ですが何歳なのですか?」
「まあケビン様。女性に年齢を聞くものじゃありませんよ」
「…そうですけど、気になって」
「21歳です」
「あ、良かった。成人してたんですね。未成年かと思ってたからホッとしました」
「ミセイネン?とは何です?」
「いえ、こちらの話です」
騎士団長の時は堅苦しい話し方で鎧とか着ていたから美人に思えたが、お姫様のメアリーは美少女って感じがして未成年かと思ってしまった。日本人としての性だな。
「ケビンさん!おかえりなさ…そちらの女性は?」
「ただいまメルちゃん。あーこちらは…」
「…ケビン様は私の旦那様です!!!」
「「「旦那様!?」」」「なんだよケビン、結婚していたのか」「こんな美人な奥さんがいて羨ましい限りだよ」「えー。私が大きくなったらケビンさんと結婚したかったのに」
「お!戻ったのかケビン!飯食べて行くだろ?」
「はい!ここの料理が恋しくてすぐ帰ってきました!」
「奥さんも連れて来るとはこの色男め」
「…店主まで、勘弁してくださいよ」
というか、俺って旦那様なのか。…まあ、あんな事しちゃったし、責任は取らないとな。
「…メアリー。俺の嫁としてこれからもよろしくお願いしますね」
「はいっ!」
異世界に来て3年が経った。
あれから、メアリーと結婚したり、メアリーに子供が生まれたりしていた。
子供は双子で、男の子と女の子である。
男の子にレックス、女の子にタバサと付けたかったがメアリーに却下されてしまった。
男の子はアラン。女の子はミーナと名付けた。
王様に、王を引き継いでくれぬかと言われたが、俺はアランを王様にすると王に伝えた。パピィ、俺は自由に暮らしたいんです。
あれから、アーゼンハイドの町で過ごしていたが、結婚する事になったのでヌーボア大陸の南の田舎の領地に来ていた俺とメアリー。
人口100人程度の小さな領地だったが、俺の名声を聞いたのか人がどんどん増え、今では5000人規模の町にまで発展していた。アーゼンハイドの店主とメルちゃんもこっちに来てくれて、専属料理長となっている。ありがたい。
屋敷には風呂もあり、俺はのんびりスローライフを送っていた。
そして、俺は魔物をテイムする事が出来るとメアリーに教えたらかなり驚いていた。
領地の皆も、俺が魔物をテイム出来る事を知っており、シュトラ大陸からテイムしている魔物達をこの領地に運んで来た。
最初は驚かれたが、今では町人と仲良く魔物達も暮らしている。いつの間にか、魔物達は進化したりしていて最初見た時は俺自身も驚いた。
流石に最古のドラゴンや巨人は大きすぎる為、呼んでない。
アランとミーナは、2歳になり俺の事をパパと呼んでくる。それが可愛くて、俺は子供達にデレデレだ。
夜。最古のドラゴンから思念伝達が飛んで来た。
『主よ、お忙しい所すみませぬ』
『ほんとだよ、最中に送って来るとか空気読んでくれ』
『…しかし、緊急の要件です』
『ふう。どうした?』
『西の大陸メギーナで最古のドラゴン(黄)と(緑)が衝突しそうで我らでは止めに入れん。すまぬが、止めてきてはくれまいか?』
『はためいわくな…分かったよ。行ってくる』
「メアリーごめん。ちょっとメギーナ大陸まで行ってくる」
「どうかしたんですか?」
「最古のドラゴンが今にも衝突しそうになってるみたいで」
「まあ…!それは大変!すぐ行かないと!」
「メアリーはお留守番。アランとミーナを連れて行く訳には行かないだろ?」
「…分かりました。無事に帰って来てくださいねケビン様」
「大丈夫。俺、最強だから」
屋敷から出る。魔力量も桁外れに上がり、もはや敵なしと言えるほどの総量だ。夜の営みを邪魔された怒りで、俺は魔力を全開放する。サーチに引っかかっていた魔物達の気配が凄い勢いで消えていく。
空を飛ぶ速度も上がり、光の速さ…までは行かないが、メギーナ大陸まで10分程度だろうか。
初めて行く大陸だからマッピングしたくてウズウズするが、今はそんな場合ではない。
着いた。(赤)の言う通り、ドラゴン二頭が睨めっこしていた。俺はその間に割り込んだ。
『なんじゃ貴様!どこから現れた!』
『ま、待て!こやつ、尋常じゃない魔力量じゃ!』
「お前らが(黄)と(緑)だな?(赤)から連絡があって飛んできた」
『なんと!(赤)のヤツまだ生きておったのか!』
『懐かしいのう…』
「それで、喧嘩するってんなら先に俺が相手になるけど?どうする?」
『『むう』』
「この大陸じゃ被害がデカいからやるならシュトラ大陸でやってくれ。そこに(赤)と(青)も居るから」
『あの気性の荒い(青)まで…』
『分かった。言う通りにしよう』
「あ、そうだ。お前ら俺の配下にならないか?」
『心得た。これからよろしく頼む』
『ワシも承知した』
「よし、じゃ送るぞ」
『『?』』
新たに覚えたスキル、転移の魔法。
これは、テイムした魔物を瞬時に好きな所に転移させることが出来る魔法。
ーステータスー
ケビン
レベル300
力 1000
魔力 50000
防御力 1000
素早さ 1000
属性 火、水、風、土、闇、光
スキル ・自動体力魔力回復(超)・結界魔法・鑑定レベル10・アイテムボックス・ステータス増加・魔物のテイム
使える魔法
火、水、風、土は上級魔法
闇、光は初級魔法
テイムしている魔物
・シュトラスライムα
魔物の大陸に生息するスライム。ステータスが高く、物理攻撃が効きづらい。進化を得て、魔法耐性と上がっている。
危険度S
・シュトラウルフα
魔物の大陸に生息するウルフ。好戦的で気性が荒く、牙には毒や痺れなどの効果がある。進化を得て、凶暴な力を手に入れた。
危険度S
・シュトラスパイダーα
魔物の大陸に生息する蜘蛛。系で相手を絡め取り、身動きを取れなくする。レベルが上がると図体が大きくなり、クイーンスパイダーやキングスパイダーに進化すると災害級クラスの怪物になる。
シュトラスパイダーα危険度S
クイーンスパイダー危険度A+
キングスパイダー危険度S
・シュトラマッシュボンデッドβ
魔物の大陸に生息するキノコ。危険度はそこまで高くないが、レベルが上がると幻覚の度合いが高まって、最悪死ぬ事すらある。進化を得て、危険度が跳ね上がった。
危険度A+
・シュトラウイグルα
魔物の大陸に生息する鳥。獰猛で、尖った爪で相手を攻撃する。レベルが上がると、高速の速度で相手の急所に攻撃する。進化を得て危険度が上がった。
危険度SS
・シュトラピーニアα
魔物の大陸に生息する魚。川に居る微生物などを餌にしているが、レベルが上がると肉食な魔物になる。川に居ると食べられる。進化を得て危険度が上がった
危険度SS
・雪女
アーゼンハイド地方に生息する黒髪で白い服を着た魔物。雪が降る地域にしか生息せず、普段は温厚で害が無い存在。ダメージを与えられると吹雪を巻き起こす
危険度D+
・最古のドラゴン(赤)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級のドラゴン。赤い身体から放たれるマグマの様なブレス、巨大な身体からの尻尾攻撃。どれもが災害級の厄災である。
危険度
SSS
・最古の巨人(白)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級の巨人。山の様にデカい図体から繰り出される攻撃は、地を裂き天を割ると言われている。温厚だが、攻撃されると怒り狂う。
危険度
SSS
・最古のドラゴン(青)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級のドラゴン。
青い身体から放たれるブレスは一瞬で凍らせる事ができる
危険度
SSS
・最古のドラゴン(黄)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級のドラゴン。
黄色い身体から放たれるブレスは強力な電気を放つ。
危険度
SSS
・最古のドラゴン(緑)
魔物の大陸に生息する遥か昔から存在する伝説級のドラゴン。
緑色の身体から放たれるブレスは辺り一面を腐食させる効果を持つ。あらゆる状態異常を撒き散らかす、最古のドラゴンの中で1番の力の持ち主
危険度
Z
ー人物紹介ー
神と名乗るヤツ…稀にケビンに一方的に話しかけてくる存在。
ナインハルト…ヌーボア大陸の港町に務めていた門兵。今はケビンの領地の門兵をやっている
メアリー…ヌーボア王国の第一王女兼元騎士団長。今は二児のママでケビンの正妻
メル…宿屋の看板娘。今はケビンの館で働いている。
店主…元アーゼンハイドの町の宿屋の店主。超一流のコックで、今はケビンの館の料理長である。
アラン…ケビンとメアリーの子供
ミーナ…ケビンとメアリーの子供




