第17話 会見
次の日
手始めに半蔵門にあるダイヤモンドホテルで
“火垂るの墓”“となりのトトロ”の合同記者会見発表が行われた
(;´・ω・` ) .。oO(取材陣が250人以上いる……)
役者やタレント、声優がいないのにすごいな……
そんな中で宮崎さんはインタビューを受けていた
「トトロとはどのような映画なのですか?」
彡(゜)(゜)「えートトロというのは……」
この映画の主人公のひとり5歳のメイが、彼らに命名してしまった名前です。
本当の名前は誰も知りません。
ずーっと昔、この国にほとんど人が居なかった頃から、彼らはこの国の森の中に棲んでいました。寿命も千年以上あるらしいのです。
大きいトトロは2メートル以上にもなります。
フワフワの毛につつまれた大きなミミズクかムジナか熊、このいきものは妖怪といえるかもしれませんが、人を脅かすことはせず、のんびり、気ままに生きてきました。
森の中の洞や、古い木のウロに棲み、人の目には見えないのですが
どうしたわけか、この映画の主人公、サツキとメイの小さな姉妹には見えてしまいました。
騒がしいのが嫌いで、人間につきあった例など一度もなかったトトロ達でしたが、サツキとメイには心を開いてくれます。
「なるほど、次の映画は墓とバケモノなんですね」
(;´・ω・` ) .。oO(いやいや、全然わかってないじゃん………)
「それではどのような想いで映画を作ってますか?」
彡(゜)(゜)「日本が舞台の楽しい素敵な映画を作りたいと思っています」
となりのトトロの目指すものは、幸せな心温まる映画です。
楽しい、清々した心で家路をたどれる映画。
恋人達はいとおしさを募らせ、親達はしみじみと子供時代を想い出し
子供達はトトロに会いたくて、神社の裏の探検や樹を登り始める
そんな映画を作りたいです。
つい最近まで「日本が世界に誇れるものは?」との問いに大人も子供も「自然と四季の美しさ」と答えていたのに、今は誰も口にしなくなりました。
日本に住み、紛れもなく日本人である自分達が、出来るだけ日本を避けてアニメーションをつくりつづけています。
この国はそんなにみすぼらしく、夢のないところになってしまったのでしょうか。
国際化時代にあって、もっともナショナルなものこそインターナショナルのものになり得ると知りながら、なぜ日本を舞台にして楽しい素敵な映画をつくろうとしないのか。
この素朴な問いに応えるには、新しい切口と新鮮な発見を必要とします。
しかも、懐古や郷愁ではない快活なはつらつとしたエンターテインメント作品でなければなりません。
忘れていたもの、気づかなかったもの、なくしてしまったと思い込んでしまったもの
でも、それは今もあるのだと信じて
彡(゜)(゜)「となりのトトロを心底作りたいと思っています」
(;´・ω・` ) .。oO(宮崎さんがなにか言ってら……)
ボクの頭の中は不安でいっぱいだった
この会見が終わったら宮崎駿の影武者をやらされる……
どうしよう……逃げるか?
なんて考えていたら会見は終わりを迎えていた
次の目的地に向かうため用意されていたタクシーにのった
彡(゜)(゜)「持ってきとるな?」
(;´・ω・` )「はい……」
日本武道館
着いてみるとあれよあれよという間に舞台へと通された
映画の関係者たちは宮崎駿の性格を見抜いており逃げるスキを与えなかったのだ
そのせいでボクも逃げることはできなかった……
授与式は無事に終わり、受賞者全員の記念撮影が行われた
パシャ!
( •灬•)(ヽ’ん`)彡(゜)(゜)(;´・ω・` ) .。oO(なんでボクがこの面子と……)
原社長、高畑監督、宮崎監督、場違いなボクの写真は
雑誌アニメーション6月号に掲載されることになった
帰りのタクシーの中
( ;´-ω-` ) .。oO(長い一日がやっと終わった……)
彡(゜)(゜)「これでトトロだけや」
心身ともに疲れ切っているボクをよそに
宮崎さんはポツリと決意の言葉を口にした
(;´・ω・` ) .。oO(誰のせいでこんな目にあったんだよ!)
(;´・ω・` )つ「結局つかわなかったですね、お面は返します」
彡(^)(^)「それはヒロカツくんに贈呈や」
彡(^)(^)「今日の記念や!」




