第1話 Arcano Duskへようこそ-転生の不死鳥-
──プレイヤーネームは“リア”。
アバターは赤のベースの長髪に水色のインナーカラー、インナーカラーと同色に近い淡い水色の羽根をあしらった控えめなヘアピンを1アクセントに設定。
白をベースに深紅の刺繍が施されたなんちゃって制服風コーデ。
少年漫画の元気っ子女友達のような風貌だ──
まずは登録者500 万人キャンペーンやらの無料パックをざっくりと開封。
先行公開で惚れ込んだ“とっておきの1枚”のために、手持ちカードで“とりあえず”のデッキを組み上げる。
チュートリアルを簡略化しますか?
──PVは擦り切れるほど見たし、今までの他ゲームの経験でなんとかなるでしょ、それに──
──ちょっと分からないくらいが楽しいしっ!
簡略化し、勝利条件のみの提示となります。
①プレイヤーは2枚の魔力障壁によって守られている。
②魔力障壁は1枚につき2ダメージ分の耐久度を持ち、破壊されるとポケット(手札)へと加わる。
③相手の障壁を全て破壊し、先に1ダメージを与えたプレイヤーの勝利。
──それではこれより“セレブレーショントーナメント”のマッチングを開始します。──
さてと、一戦目の対戦相手の名前は“モリノ”さん。
アバターは……、剃り込みグラサンに控えめなエメラルド?のピアス。ぱっと見強面のおしゃれお兄さんだ、うん、ちょっと緊張。
The Datacore awakens!
1stPlayer Turn1
「ポケットをコアチャージ、“旧文明の照らし鳥”をアウェイク(プレイ)!」
3コア/パワー2/“飛翔”
──コア:カードをアウェイク(使用)するためのコスト。
初期コア数は2、ターンごとにポケット(手札)からチャージ可能。
──カードゲームとしてはとっても“よくあるやつ”だ──
2ndPlayer Turn1
「ポケットをコアチャージ、“旧文明の守護ゴーレム”をアウェイク」
3コア/パワー2/“警護”
「さらに、ポケットから1枚を“インタラプト”してターンエンド」
──インタラプト:伏せカード。
“ログカード”1枚を伏せると、次ターンから1コア少なく割り込み使用出来る戦略ゾーン。
Turn1 Score
リア 障壁2枚 コア3枚 ポケット2枚
モリノ 障壁2枚 コア3枚 ポケット2枚
──警護持ちエレメントがいる限り、障壁に攻撃出来ない、でも、“旧文明の照らし鳥”は──
1stPlayer Turn2
「ポケットをコアチャージ、飛翔カードは警護カードに阻まれないよ! “旧文明の照らし鳥”でアタック!」
モリノ 障壁2枚→1枚
──やったやった、先制点だっ! 楽しい楽しいっ!
せっかく先制出来たのに、次のターンでゴーレムに反撃されても面白くないもん、ここは押せ押せでっ!──
「さらに手札から“火吹き鳥の吐息”をアウェイク!」
3コア/エレメント1体に2ダメージ。“リフレクト”
──インタラプトアウェイク!──
「悪いが“旧文明のゴーレム”を失う訳にはいかなくてね、インタラプトアウェイク(割り込みプレイ)!“森林恵みの加護”」
1コア/ターン中エレメント1体のパワーを+2。
これはちょっとまずいかも。
“3コア”の火吹鳥の吐息をコア消費なしで防がれてしまった。
枚数的には1:1の交換だけれども、この差は明確な“テンポロス”だったよね。
私の手札は“とっておきの1枚”、でもこの子を使うには5コア必要、次のターンまで待たないと。
2ndPlayer Turn2
「“森”は変化に敏感だ、顔に出てるぞ」
「……私、そんなに変な顔してましたか?」
「神妙な顔をしている、“旧文明のゴーレム”が破壊出来なかったことがそんなにショックか? はたまた何か別の狙いがあるか?」
「いずれにせよ、まずは“旧文明のゴーレム”で障壁を攻撃」
リア 障壁2枚→1枚
──リフレクトアウェイク!──
「っ! 障壁から“火吹き鳥の吐息”をリフレクトアウェイク!」
3コア/エレメント1体に2ダメージ。“リフレクト”
Result:“旧文明のゴーレム”破壊
リフレクト持ちのカードは障壁から手札に加わったとき、コアを消費せずにプレイ出来る。
悪い流れを断ち切りたいこのタイミングで掴めた逆転への一手だ。
「1枚程度のリフレクトは想定内だ。ポケットをコアチャージ、そして“ダミーコア”をアウェイク!」
「ダミーコアっ!?」
「なんだ、知らないのか?」
「2ndプレイヤーが使用出来る一度きりの使い切りの追加コアだ。今どきカードゲームで後手救済要素なんて珍しくもないだろ」
──だぁああっ! たしかに他のゲームでも見た要素だけど、チュートリアル飛ばしちゃったし、失念してたぁあああっ!──
「計5コアで“森林大樹の管理人シルヴァリス”をアウェイク、やっかいなその飛翔持ちをコアへ送ってもらおうか」
5コア/パワー3/“警護”
登場時、相手のパワー3以下のエレメント1枚までをコアに置く。
緑の契約:汝契約の時あらず
Result:“旧文明の照らし鳥”コア化
Turn2 Score
リア 障壁1枚 コア5枚 ポケット1枚
モリノ 障壁1枚 コア4枚 ポケット1枚
1stPlayer Turn3
──私のエレメントは0、対してモリノさんにはパワー3で警護持ちの“森林大樹の管理人シルヴァリス”、でもっ──
「──シルヴァリスがモリノさんのとっておきですか?」
「……、そいつはどうかな……?」
「なら、私の“とっておきの1枚”も見てくださいっ! お願いっ、力を貸して“不死鳥エテルナ”アウェイクっ!!!」
5コア/パワー2/“飛翔.迅速”
赤の契約:汝契約の時あらず
青空を落とし込んだような澄み切った青い瞳。
羽毛はひまわり色で、体は温かな暖炉の火のような赤色の魔力光に包まれている。
「スキル2つ持ちのネームドエレメントか……」
「迅速持ちエレメントは登場時から力を貸してくれるよ、エテルナで最後の障壁を攻撃!」
モリノ 障壁1枚→0枚
「最後の1枚になったポケットをインタラプトして、ターン終了」
2ndPlayer Turn3
「ポケットをコアチャージ、……“不死鳥エテルナ”は確かに強力なカードだが、パワーならシルヴァリスの方が上だ」
「なら、攻撃してみてはどうですか?」
──問題は相手のインタラプトカード、おそらくはバフか、エレメントにダメージを与えるカード、で、あれば──
「ポケットから“森林恵みの加護”アウェイク!」
1コア/ターン中エレメント1体のパワーを+2。
「これで“大樹管理のシルヴァリス”のパワーは5! 2点程度のダメージやバフではエテルナを守れまい、シルヴァリスでエテルナに攻撃!」
Result:“不死鳥エテルナ”破壊
「ぐっ、ごめんねエテルナ、今は眠って」
「さらに“旧文明のゴーレム”アウェイク」
3コア/パワー2/“警護”
Turn3 Score
リア 障壁1枚 コア5枚 ポケット0枚
モリノ 障壁0枚 コア5枚 ポケット0枚
1stPlayer Turn4
──このカードっ!、“今引き”のこのカードがあれば逆転出来るかもしれないけどコアが6必要、あと1ターン耐えないと──
──インタラプトアウェイク!──
「モリノさんの読みは合ってます。 でもインタラプトカードがない今ならちゃんと、ゴーレムを丸焦げに出来ますよね」
「“火吹き鳥の吐息”インタラプトアウェイク」
3コア/エレメント1体に2ダメージ。“リフレクト”
Result:“旧文明のゴーレム”破壊
2ndPlayer Turn4
「良いカードを引いた、“森林の賢狼”アウェイク」
コア5/パワー3/他の“森林カード”は警護を無視でき、パワー+1。
「これで次にお前が警護カードを引いたとして、確実にとどめをさせる。 シルヴァリスで最後の障壁に攻撃」
リア:障壁枚数1→0
Turn4 Score
リア 障壁0枚 コア5枚 ポケット2枚
モリノ 障壁0枚 コア5枚 ポケット0枚
1stPlayer Turn5
「エレメントは0、一方こちらエレメントが2体。もうきついんじゃないか?」
「“私たちの翼”は、まだ折れてませんっ! ポケットをコアチャージ、そして“転生”アウェイク!!!」
6コア/自分の捨て札のエレメント1枚を登場させる。
「舞い戻れ、“不死鳥エテルナ”!」
5コア/パワー2/“飛翔.迅速”
赤の契約:汝契約の時あらず
「くっ、捨て札からエレメントを場に戻せる強力ログカード……っ!」
「迅速ですぐに動けて、飛翔で警護を乗り越えるよ! エテルナで相手プレイヤーにリーサル!(とどめの一撃)!」
──Game set.Winner リア!!!──
「ありがとうございました、強かったです、正直リフレクトアウェイク出来てなかったら──」
「や、負けは負けだ、いい試合だった、また機会があったらやろうな」
──2回戦目のマッチングを開始します──
──モリノさんはああ言ってくれたけれども、“火吹鳥の吐息”を舞いあがってアウェイクしちゃったのも、“ダミーコア”の認知忘れも気をつけてれば防げたんだ、次に活かさないとっ!──
対戦後すぐに2回戦のロビーへ転送された。
古めかしい手記帳と言った例えが適切な見た目のコレクトブック(携帯端末)を立ち上げる。
先程までのデュエルも、このコレクトブックからデータのカードを引き、ポケットに加えてゲームを進める。
コレクトブックはこの世界の鍵になっているアクセサリーだ。
そんなコレクトブックに映る次の対戦相手は……、お名前は“ミッシェル”さん。
身長は私より少しばかり小柄で、年齢設定は私と同じくらいかな?
深い水底を彷彿とさせる青ベースの髪は前髪にワンポイントの赤メッシュ入り。
前髪は左目が隠れるくらいほどに長い。
黒を基調とした、ワンサイズ大きめのフード付きローブをゆったりと着ていて、どこかファンタジー作品の魔法使いさんを彷彿とさせる。
魔法使いさんならログカードを多用して来そうかな、インタラプトにも気をつけないと。
次の試合も頑張ろうね、エテルナ!




