ep7 創世神話
むかしむかし、
まだ空も大地もなかった頃、この世界にただ二柱の神が在った。
彼らは――光の神“ガイア”と、闇の神“アルバ”。
世界の始まりを告げた双子の神である。
兄・ガイアは光を、
弟・アルバは闇をそれぞれ司り、
ふたりは共に手を取り合って歩み始めた。
彼らは多くの空虚な世界を旅し、
一つ一つに朝と夜を与え、
朝には光が昇り、夜には闇が包む――
そうして、この世界に“時間”と“調和”が生まれた。
やがて、双子の神は成長し、その力もまた膨らんでいった。
兄・ガイアは光に加え、命=生の力を創造し、
空を翔る鳥、大地を駆ける獣、海に泳ぐ魚、人の姿をした知性を次々と生み出した。
弟・アルバは闇に加え、死=終焉の力を授かり、
生きとし生けるものに“終わり”を与えることで、世界に循環が宿った。
光が昇り、命が生まれ、
闇が満ち、命が帰る。
そうして世界は巡り、数多の生命が輪を描くように広がっていった。
だが、力はさらに拡大していく。
ガイアはやがて幸運と恩恵をも操るようになり、
アルバは不幸と災厄を抱えるようになった。
――それが、運命の分岐点となる。
不幸を背負ったアルバは、
やがて自らの内なる闇と死に呑まれ、
かつての神性を失い、“魔神アバドス”へと変貌してしまった。
魔神アバドスは、
生と死の均衡を破壊し、
命あるものすべてを苦しめ、世界を炎と絶望に染めていった。
光の神ガイアは、かつての弟を止めるため、剣を取り、魔法を唱え、戦いを挑む。
だがその戦いは――あまりにも長く、果てしなかった。
神と魔神の戦いは、数億年にわたり続き、
幾千もの世界を巻き込み、滅ぼし、焦がし、凍らせ、沈めた。
やがてガイアは、悟った。
「もはや、この身ひとつでは止められぬ。」
最後の力を振り絞り、
己の命と神性を代償として、
ガイアは四体の神獣を創造した。
それが、
青龍──蒼の流れと叡智を司る者
白虎──雷の牙と迅速なる正義を象る者
朱雀──炎の翼と情熱の守り手
玄武──大地の盾と再生の理を担う者
四獣たちは天より降り、
魔神アバドスに立ち向かった。
激戦の果て――
魔神はついに封印された。
しかし、アバドスの中にあった“負の力”はなお衰えず、
封印を蝕み、やがてそれを打ち破った。
四獣は、もう一度立ち上がった。
今度は、封印ではなく――滅ぼすことを選んだ。
そして最後の戦いが始まる。
世界を揺るがす神々の叫びと魔神の咆哮。
命を焼き尽くす業火と、大地を引き裂く一閃。
天が割れ、大地が崩れ、すべてが飲まれたその瞬間――
魔神は消えた。
そして四獣もまた、静かに崩れ落ちていった。
彼らの巨大な身体は、やがて大地となり、山となり、海を囲み、風を導いた。
青龍の流れは、東方に海と川を巡らせ、
白虎の力は、西の山脈と雷鳴を生み、
朱雀の炎は、南方の大地に火山と熱砂を遺し、
玄武の殻は、北に広がる森林と大地の核を築いた。
こうして現在の四大国が誕生し、
人々はそれぞれの獣を“祖霊”として祀るようになった。
だが――忘れてはならない。
魔神は完全に滅んだわけではない。
「アバドスの残滓は、世界の陰に、心の闇に、今も微かに宿る。」
そして、いつの日か再びその力が目覚めたとき。
選ばれし者たち――八人の救世主が、
神々の意志を超えて立ち上がることとなるのだ。
──これが、世界のはじまり。すべての“光と闇”の物語である。
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