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86.デートの準備(あきちゃん)

 今朝は6時前に目が覚めた。

 昨夜は興奮していたのか、なかなか眠れなかった・・・。眠ろうと思っても、ナヲちゃんのドレス姿が脳裏に浮かび、しかもドレスの下はあの下着を身につけていたと考えると・・・。私は駄目だと思いながらも元気になってしまうもう一つの自分を落ちつかせるのに苦労した。

 今朝はまだ気持ちが高ぶっていたのか早く目が覚めてしまった。私は起きたことをメイドに伝え、朝刊を受け取り天気の欄を開いた。帝都は夕方過ぎから天気は下り坂。デートには支障がなさそうで一安心した。


 私は、昨日正ちゃんに馬車まで送ってもらっていた時のことを思い出した。

「あきちゃん奮発したんだね。あのドレス高かったんじゃない?あのドレスを渡したときナヲは「こんな高価なもの受け取れません」とか言ってなかった?」

「よくわかったね。」

「でも、帰ってきたナヲを見て驚いたよ、なんか女の子の顔になってるんだもん。いつもは煩悩を捨てた修行僧みたいな雰囲気なのにさ。」

「ほんと?そう思う?」

「ああ。」

「でも、ナヲちゃん。貴族にはならないって。」

「そうだろうね。あきちゃんはいい意味でも悪い意味でも将来が決まっているでしょ。家業を継ぐ生徒は別として、高等教育学校の生徒たちは、将来何になりたいか何をしたいかそれを探すために勉強している生徒は多いんだ。3年間いろいろ学んで進路を決める。将来はそんなに簡単に決められるものではないよ。」

「そっか。そうだよね。なんかあせちゃって。誰かに取られてしまうんじゃないかって。」

「それはないと思うけど。」

「今日、ナヲちゃん、九条家から結婚の話をされて・・・。」

「ナヲは断ったでしょ。貴族だったら家同士のしがらみとか関係とかあるから断るのに苦労するだろうけど、うちは『天下の平民様』だからね。断っても全然問題ないよ。それに平民と貴族は結婚できないでしょ。」

「うん。」

「僕が小さいころに花ちゃんと結婚するって即決したから、ナヲも同じ様に決めるって思ってない?家同士の政略結婚みたいに周りに相手を決められている人でない限り、色々時間をかけて考えてから結婚する人のほうが多いと思うよ。あきちゃんは皇族だし第一皇子の件もあるから。・・・もしかして結婚を焦らなくてはいけない状況になったとか?それって明後日の夕方の訓練に三条様やあきちゃん、花ちゃんが来ることに何か関係してる?」

「さあ。どうだろうね。送ってくれてありがとう。」


・・・はぁ。色々考えていたら時計は6時半を指していた。私はメイドを呼び今日着ていく服を選ぶことにした、じゃあこれにしよう。ベージュのスラックスに白の長そでシャツ濃い緑色の薄手のカーディガン、そして黒縁の眼鏡。これでいいかな。なるべく平民の人たちが着ているような服が警備上都合が良いだろう。

 ナヲちゃんはどんな服を着てくるんだろ?それにしても昨日のナヲちゃん綺麗だったな。私が選んだものだけを身につけたナヲちゃんは私のものになったそんな気がした。


ふと、昨日ナヲちゃんが話した下着のことをまた思いだしてしまった。あの下着をナヲちゃんが・・・。いけない、又、私は朝から何を考えているんだ。とにかく元気になった自分を落ち着かせてから、食堂に行こう・・・。



食事を済ませ、歯を磨き、風呂に入って、髪をセットしてもらう。財布にハンカチちり紙。準備万端。

・・・まだ8時半か・・・。

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