84.文化祭㊼
食事を食べ終えたら時計は9時を回っていました。
「はぁ。もうこんな時間か。ナヲちゃん最後に私と踊ってくれないかい?」
「ええ。喜んで。」
私たちは靴を脱ぐと、テラスの中央に来ました。メイドさんがレコードをセットするとワルツがの軽快な曲が聞こえてきます、あきちゃんは私の手の甲にキスをし、ニコッと笑ってダンスを始めました。私はあきちゃんに身を任せると、なんだか空を舞っているような不思議な感覚になりました。曲が終わるとあきちゃんは、
「今日はこれでお開きだね。まだ一緒にいたいけれど。また明日だね。」
「はい。また明日。」
折角ドレスを着せてもらいメイクもしてもらったのでこのまま帰ることにしました。
「ただいま。」
「遅くなり申し訳ありませんでした。」
「あ?あ?カヨ子さん!おかーさん!ナヲが・・お姫様に。とにかく来て。」
「どうしたんですその恰好?ナヲ。あきちゃんも素敵ね。え、お揃いのドレス?」
「このドレス一式あきちゃんにいただいたんです。」
「え?このような高価なものをいただくなんてできません。」」
そんな話をしていると、兄がやってきて
「あきちゃんいらっしゃい。2人とも。お似合いだね。折角あきちゃんがドレスを仕立ててくれたんだからありがたく頂いたら。返されてもあきちゃんが困っちゃうよ。」
と言うので、
「ではありがたく頂戴します。」
と両親は頭を下げました。
「ねえ、明日二人で出かけるんでしょ、夕飯うちで食べていかない?ね。お礼になるかはわからないけれどよかったら。」
と母が提案するとら
「はい。ぜひ。いただきます!」
とあきちゃんは嬉しそうに返事をしました。
「気を付けて、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。ナヲちゃんまた明日ね。」
「俺、あきちゃんを馬車まで送ってくるわ。」
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。




