81.文化祭㊹
あきちゃんにエスコートされてランプに照らされた石畳を歩いて行くと一軒の洋館がありました。
中に入るとメイドさんや執事の方々が出迎えてくださいました。
私はメイドさん4人に連れられ、お風呂に連れていかれました。え?今日は茶道室の件で呼び出されたのではないんですか?何でお風呂に?あ!もしかしたら、たぬきのメイクがとれていなくってあきちゃんのズボンを汚してしまったんでしょうか?とりあえず汚れているからきれいにしなさいってことですか?
私は洗身、洗顔、洗髪は自分ですることを伝えると急いでそれらを終わらせました。
タオルを持ったメイドさんが私をふかふかなタオルで包み顔、全身に化粧水や乳液を塗りこみます。
「すみません何事ですか?私、何も聞いていなくって。」
「大丈夫です。私たちは光明様から指示をいただいておりますから、お任せください。」
そうですね。あきちゃんを待たせているのでお任せして早く戻った方がよさそうです。そう思った私はそのままメイドさんたちの指示に従いました。どこかに行くのでしょうか?私はメイクをしてもらいました。そして私はバスタオルを身体にまかれたまま、隣の部屋に連れていかれ新品の下着(黒のレースの肩紐のないブラジャー、黒のレースのパンツ、ストッキング、留め具がついた何か)を履くように言われました。黒の下着なんて前世でも着たことがありませんし・・・この生地はシルクでしょうか?このような生地の下着を履くのも初めてです。ブラジャーとパンツ、膝上丈のストッキングを履きました。
これは何?留め具がついた何かの身につけ方がさっぱりわかりません。初めて見るものに私が戸惑っていますと、メイドさんが身につけ方を教えてくれました。ちなみにこれはガーターベルトと言うものだそうです。(前世で100年生きてきましたがこのような下着を見たことがありませんでした。)
私が下着を身につけるとメイドさんが黒のレースに金糸が細かく編み込まれたドレスと黒のヒールを持ってこられました。これってあきちゃんとおそろい?
私はドレスを着せてもらい、ヒールを履くとすぐに、鏡の前に連れられ髪をアップに結っていただきました。普段しないお化粧をしてもらいそのうえドレスまで着せてもらってまるでお姫様のようです。なんだか夢を見ている気分です。
「ささ。こちらに。」
と案内されたのは広いテラス。そこにソファーとテーブルがあり、そのソファーにあきちゃんが座っています。
「光明様。支度が整いました。」
あきちゃんは立ち上がりこちらを向くと一瞬驚いた顔をしましたが、にっこり微笑みかけてくれました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。