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78.文化祭㊶

「なぜあなたが・・・?」

「私は、茶道部でね。僕の大事な仲間たちや、お客様たちが君たちに迷惑をかけられていると聞いてね。」

「う。うそです。ガセネタです。こいつが急に俺たちに暴力を奮ってきたんです。」

「あなたは何をおっしゃってるの?あなたが私に殴りかかろうとしたからそちらの眼鏡のお嬢さんが私を助けるためにあなたを投げたんでしょう。そしたらそちらの男性が眼鏡のお嬢さんに殴りかかろうとして、ひっくり返されただけでしょ。ごめんなさいね。私、全然お役にたてなくて。」

「いえ、私がもっと早くにこの2人をつまみ出せば良かったんです。怖い思いをさせて申し訳ありませんでした。」

するとお茶会のお客様達が、

「ごめんなさい。私、怖くて何も出来なくて。」

「茶道部の方達も私達を守ろうとこの2人に注意をしてくれたのに。私も何も言えなかったごめんなさい。眼鏡の子は悪くないです。あの男を投げ飛ばさなかったら今頃、あのおばさんが大怪我をしてたわ。だって杖を使っておばさんを殴ろうとしたんだから。」

そうだそうだと、茶室の外からも声がした。


「君たちの愚行はここにいるすべての人達と、この狐さんが証言してくれたよ学内での出来事だけど、君たちはこの学校の生徒ではないしもう成人しているでしょ。君たちの処分は警察に任せるとしよう。」

「光明様はこんな所にいる身分も怪しい奴らの話を信じるのですか?僕は貴族で父は左大臣補佐山之内豊です。」

「だからなんだい?君達のように権利を振りかざし、市井の人々を虐げるような輩がいるから・・・はぁ、君に何を言っても伝わりそうにないし時間の無駄だから、後は警察に任せよう。君の行動は君を管理できていない山之内家の責任でもあるから。査問委員会が何かしらの罰を山之内家に与えると思うから、覚悟しておいた方がいいよ。」

あきちゃんはニヤっと笑うと、そのタイミングで警備員の方たちがやってきて抵抗する二人を連れて行きました。


すると安心して力が抜けたのか、茶道部のみなさんが泣き出してしまいました。

「ごめんなさい。ナヲさん。角様、私怖くて、何も出来なかった。私が不甲斐ないせいでナヲさんやお客様が危険な目に遭ってしまいました。誰かがあの2人に傷つけられていたかもって思うと・・・。」

と富さんは泣きながら震えています。

「私は、先程のような自分に甘く人を傷つけようとする迷惑な輩程度には負けません。あの2人がみなさんにこんな怖い思いをさせていたなんて思っていませんでした。ごめんなさい。私がもっと早くにあの2人をつまみ出していたら、みなさんがこんな思いをしなくてよかったんです。」

「ナヲさん・・・。」

「富さん気を落とさないでくださいよ。私、富さんや茶道部の皆さんが毅然とした態度であの2人に対応されているのを見てとても感心したんですよ。」


そんな話をしていたら、先生や警察の方たちがやってきてお茶会は中止に。私達茶道部員やお茶会のお客様、茶室の外から私達の様子を見ていたお客様達は警察に事情聴取をされました。その最中に文化祭の終わりを告げる放送が流れてきました。私達はお茶会に参加していた方や並んでいらっしゃったお客様に謝罪をし、残っていたお茶菓子をお詫びに渡しました。 

 すると、先程の杖をついたご婦人が、婦人警官に支えられてこちらにやってきました。

「お嬢さんと光明様のお陰で助かりました。ありがとうございました。今日は後夜祭で孫がダンスを踊るから見にきたんです。今日は来てよかったわ。あなたみたいな素敵な子がこの学校にいる事がわかったんだもの。あなた、うちの孫のお嫁さんにならない?」

突然の申し出にあきちゃんは驚いた表情で私の顔で見ました。

すると茶室の入り口から息を切らした九条さんがやってきました。

「お婆様、独りでいらっしゃっていたのですか?執事の島田さんは?襲われそうになったと伺って慌てて飛んできました。」 

あぁ。なんとなくお2人は雰囲気が似ている気がします。

「昨日も今日も善成と若子さんは仕事でしょ。だからあなたが頑張っているダンスと模擬店を見に行こうと思って来たの。模擬店は店じまいって放送が流れたから散歩がてら色々見て回って。そしたら島田さんとはぐれちゃって。ダンスの時間になれば会場に行けば会えるでしょ。だから時間が勿体無いし、このお茶会に参加したのよ。」

「それでなんで襲われそうになるんです?」

「わがままなお客がね、生徒さん達に暴言やわがままばかり言うから注意したら逆上しちゃって。それでその男に襲われそうになったの。そしたら彼女がその男達を投げ飛ばして助けてくれたのよ。それでもその男達はピーピーうるさくて。そしたら光明様が厳しく注意をしてくれて黙らせてくれたのよ。」

「小南さんが男たちを投げ飛ばした?」

「そうよそれは見事だったわ。ところでこのお嬢さんと善高はのお友達だったの?」

「いつも九条さんにはお世話になっています。私は小南ナヲといいます。」

「僕こそお世話になっているんだ。」

「そうなの、だったら話は早いわ。私、小南さんにあなたのお嫁さんになってくれないかお願いしていたところなのよ。」

「な,何言っているんだよ、小南さんに失礼だよ。」

「何赤くなってるの?善高。」

「違うって。」

「九条さんのお婆様。私なんか九条さんには釣り合いませんよ。それに私平民ですし。」

すると九条さんのお婆様は平民が貴族になる方法を話し出され、

「あなた程の達人ならきっとすぐに貴族になれると思うわ。だからどうかしら?」

とおっしゃられました。

「私には貴族の世界は向いていませんよ。私は貴族になることよりも他にやりたい事がたくさんありますから。」

「そうなの。残念だわ。あっ、そしたらうちで、警備の仕事をするなんてどうかしら?」

「お婆様!小南さんをこれ以上困らせないで下さいよ。」

「あぁ。そうね。ごめんなさい。でも。うちの善高はすごく優しくて、いい子なのよ。だからこれからも仲良くしてあげてね。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」


そして九条さんのお婆様は九条さんと一緒にお茶室を出ていかれました。


警察の事情聴取も終わり警察官の方々も帰られたので私達は茶室の片付けをしました。私たちは事情聴取で4時半からのホームルームに参加できなかったので市川先生がお茶室に来て火曜日の連絡事項などを伝えてくれました。あきちゃんはA組のホームルームが始まるからとついさっきクラスメイトの一ノ瀬君が迎えに来て教室に戻りました。

ふと時計を見ると5時4分。すると先輩方が一列に並び、

「今日はお疲れ様でした。文化祭のお茶会がこのような形で終わってしまったのは残念だったけれど、けが人が出ることなく無事に文化祭を終えることができました。私たちは本日引退しますが、たまにお茶を頂戴しに遊びに来たいと思ってます。その時はよろしくね。今までありがとうございました。」

と引退の挨拶をされました、私もかえでさんも、隆くんも実質1週間くらいのお付き合いでしたが先輩の熱い思いに感動して少しウルっとなってしまいました。その隣で富さんはずっと涙を流していました。


富さんと先輩方はかばんをお茶室に持ってきているそうで、これから後夜祭の時間までお茶室で時間をつぶすそうです。

後夜祭に出ない私と狐二匹(かえでさんと隆くん)は教室にカバンを取りに行きました。



登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。

花ちゃん→角光明の姉。

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

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