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72.文化祭㉟

 武道場から教室に戻ろうとするとまたもや人だかりが、え?

「キャー!キャー!素敵。」


今度は何なんでしょうか?10人くらいの女子生徒に誰かが囲まれています。

「おーい。ナヲ。」

すると女子生徒の視線が全てこちらに刺さります。その声は兄さん・・。兄さんがこちらにくると女子生徒たちも付いてきます。まるで金魚のフンみたいです。

「お疲れ様。なを。かわいいたぬきだったよ。」



「せっかくだからC組の模擬店に寄ろうかと思って。母さんと父さんは今、ここ。」

とお化け屋敷をしているA組の教室を指差した。

「忙しいんだろ。引き止めて悪かったな。後で食べに行くから。」

「涼くんとゆずちゃんは?」

「もう帰った。日曜日はお客さんが多いから、おじさんとおばさんだけでは大変だろうからって。」

「そうなんだ。じゃあ、またあとでね。」


C組の模擬店は相変わらず大盛況。

「小南さんお疲れ様。戻って早々悪いのだがウエイトレスをお願いできないか?演劇組の主演達には奥で調理をお願いしているから。」

「わかりました。」


私が接客していると、かえでさんと隆くん以外にも小人や魔女のファンからどこに行けば彼女や彼ら達に会えるかなど尋ねられる事が度々ありました。たぬきの問い合わせは残念ながらありませんでした。


「いらっしゃいませ。」

すると黄色い歓声が。そうです。私の家族が来たんです。相変わらず兄は大人気です。私は3人を席に案内すると、

「騒がせて悪いな。」

と、兄が申し訳なさそうに謝るので、

「気にしないで。慣れてるから。注文が決まったら呼んでくださいね。」



「すみません。」

「はーい。」


「ナヲ、ホットケーキ4つとクッキー持ち帰り用を4つ。アイスティーを4杯と父さんへの愛情を願いします。」

「あなたったらなんです?ふふふ。」

相変わらず両親は仲良しです。

「ホットケーキ4つにアイスティー4杯ですね。って3つじゃないの?」

「もうすぐもう1人来るから。アイスティーはミルクとレモンどちらをおつけしましょうか?」

「俺ミルク。」

と兄が言うと、

「じゃあ、ミルク2つにレモン2つでお願いね。」

「承知いたしました。」


すると、

「おお、九条くん久しぶり!」

「先日はお世話になりました。作っていただいたクッキー型は凄く好評です。ありがとうございました。」

「いいってことよ!また、何かあったら言ってくれ!じゃあ、あっち待たせてるんで。」

注文4つって、竹男おじさんの分だったのね。


「あぁ、ごめんごめん。色々回ってたら遅れちまった。よぉ、ナヲ、いいたぬきだったぜ。」

「ありがとうございます。おじさんの分の注文も聞いてるけど、これでいい?」

「あ、クッキーフジ子の分も追加していいか?今日は留守番してもらってるからさ。」

わかりました、持ち帰りのクッキー5つに変更で。しばらくお待ち下さい。」


「小南さんのご家族やご親戚は賑やかで素敵ですね。」

「ありがとうございます。九条さんのご家族はいらっしゃって無いんですか?」

「残念ながら仕事で来ていないんだよ。」

「そうなんですね。」




「ご馳走様でした。おいしかったわ。」

「ナヲ、おいしかった。クッキーは家に帰ってゆっくり食べるよ。午後からも、頑張って。」

「ありがとうございますお父さんお母さん。」

「美味かった、じゃあな。」

と、竹男おじさん。

「じゃあ。」

と兄。

みんなに楽しんでもらえて良かったです。


「2時の休憩の人、休みに入ってください。」

今日も私は2時にお休みをもらっています。

「ナヲ、今日は私達も2時から休憩なのよ。一緒に回りましょ。」

2匹の狐に話しかけられました。そうです、かえでさんと隆くんです。

「小南さん。吉田さん、長井さん私もご一緒していいですか?」

「もちろんよ。佐藤さん。」

「迷惑でなければ、私も一緒に回ってもいいだろうか?」

「九条さん、もちろん一緒に回りましょ。」


「私、思ったんですけど、長井さんと吉田さんだけお面をつけているのって不自然だと思うんです。だから私たちもお面買いに行きませんか?」

「実は僕もそう思っていたんだ。」

佐藤さんの提案でお面屋さんに行くことになりました。

「又、ひょっとこ選ぶのか?」

と隆くんが言うので、

「いいえ、せっかくですから違う種類を選びます。」



登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。

花ちゃん→角光明の姉。

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

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