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71.文化祭㉞

「えーーー。白雪姫役の吉田かえでさんと王子様役の長井隆さんがグラウンドで握手会なさるの?」

「そうなのよ。私もさっき聞いたので本当かどうかわからないですけど、このチャンスを逃したらもったいないわ。」


「1年C組の白雪姫と王子様のサイン会があるのか?」

「俺もさっき聞いたからよくわかんないんだけど、校庭でこれからやるらしいぜ。衣装姿の2人を見れるのはこのサイン会だけらしいからな。」

「おれ、今から行ってくるよ!」


「えーーー。かえでさんにお会いできるの?」

「そうなの。体育館のイベントにこれから出演されるらしいわ?」


私たちはかえでさんと隆くんを出待ちしている人たちのまわりで、このような会話をして回りました。

すると二人の出待ちの人たちは、二人が出没するとうわさされる場所にむかって行きました。


「小南さん、うまくいったわね。」

「ええ。こんなにうまくいくとは正直思わなかったけど。」

私たちは、この騒ぎで教室から出ることができなかったお客様たちにクッキーを配り、一人一人に謝罪をしました。そして、改めて並んでいただいていたお客様をご案内し、何とか模擬店の運営を再開させることができました。


模擬店が再開して、狐のお面をした生徒4人が調理スペースに入ってきました。

「ナヲ。ありがとう。」

「ほんと、助かった。」

とお面を外しながらかえでさんと隆くんがほっとした表情で私を見ました。

「小南さんの作戦うまくいったよ。」

「マジ楽しかった。」

「九条さんに、瀬川さん。お疲れさまでした。」


「ところでナヲ、中村さんが探していたわよ。着替えとメイク落としが終わっていないから武道場に来るようにってさ。ナヲはどこでメイク落としたの?」

「家庭科室の前の手洗い場で洗剤で落としたの。」

「はぁ~。あんた女子力どこで落としてきたのよ。とにかくここは私たちが任されるから、武道場で着替えておいでよ。」

「わかったわ。」


私は武道場に戻り、着替えを済ませました。

「小南さん、このクリームでもう一度しっかりメイクを落としてくださいね。はぁ。食器用洗剤でメイク落としをするなんて信じられません。でも、そのおかげでかえでさんや隆くん、そして私たちも助かったんだからまっ。いいとしましょう。」

「ありがとうございます。中村さん。」

「なんで、ナヲ小南さんがお礼を言うの?お礼を言うのはこっちよ。もうここから出られないんじゃないかと思ったもの。こちらこそありがとう。」

「どういたしまして。」


私は、身支度を整えると、模擬店の手伝いに教室に戻りました。




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