66.文化祭㉙
「ただいま。」
「おかえりなさい、お風呂沸いているから入りなさい。」
「わかりました。お風呂から上がったらすぐに夕飯の手伝いをしますね。」
「今日は疲れたでしょ。今日はエツ子さんが来てくれたからもう夕飯もできてます。だから大丈夫よ。」
(エツ子さんはうちの家政婦さん。昔からお世話になっています。)
私はお風呂に入ったあと、すぐに食事をしました。
「それにしてもナヲは相変わらず機能性重視だな。お面の上から眼鏡をかけようとひょっとこのお面を選ぶなんて。なかなか普通は考えないよ。」
なぜか兄は憐れむような表情で私を見つめてます。
「このひょっとこは愛嬌があって、かわいいと思うけどな。ナヲのセンスはなかなかだよ。」
「そうでしょ。やっぱりお父さんのようにわかる人にはわかるんですよ。」
父にはこのひょっとこは好評でした。
「明日はみんなで行くからよろしくね。たぬきの演技、楽しみだわ!」
「私、リハーサルで噛んでしまって。失敗したんです。実は明日うまくできるか不安なんです。」
「失敗したっていいじゃない。大丈夫。楽しんでらっしゃい。」
私は夕飯の後、すぐに部屋に戻り明日に備えて休むことにしました。
トントン
「はい。」
「いいか?」
「どうしたんですか?」
「さっきも母さんが言っていたけどナヲが楽しんで演技をしたら、それが観客に伝わるからさ。心配すんな。ただそれだけ。おやすみ。」
「ありがとう兄さん。おやすみなさい。」
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。




