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64.文化祭㉗

「では、俺から。」

信くんがそういうと、みんなが拍手をしました。文化祭の後だからでしょうね。みなさん疲れて変なテンションです。


「受付の仕事をしていたら、A組の教室から鬼とひよっとこのカップルが手を繋いで出てきて。なんだが妙な2人だなと思って見ていたら、歩き方がナヲに似ててさ。でも髪型がいつもと違うんだよ。頭に団子作ってるから違うかなとも思ったんだけど。耳を澄まして話し声を聞いたらやっぱりナヲなんだよ。それで鬼のお面は誰だろうって耳を澄ましたら角様の声がしてさ。俺、耳と目だけは凄くよくて、よーく見たら角様とナヲなんだよ。俺は2人のお忍びの愛を応援したくて、冷たい紅茶とオレンジジュースを2人に渡したんだ。正面から見たら鬼とひょっとこっていう奇妙な組み合わせだけど、2人の後ろ姿は間違いなく恋人同士だった。なんかいいもん見せてもらったって思ったね。」


「ちょっと待って、お面のセンス!!それはないと思います。なんでひょっとこなんですか?違うでしょ!!まだ文化祭1日目で、お面の種類は色々あったと思うんです!なぜそこでひょっとこを選ぶかな。ひょっとこのお面を選んだのって誰なんですか?」

「わ、私です。」

「信じられない・・・。」


いつも穏やかで優しい富さんが、私がひょっとこのお面を選んだことに凄く怒っています。私、そんなに悪いことをしたのでしょうか?なぜこんなに私は怒られなくてはならないんでしょうか。全くわかりません。

「確かに角様は目立つ存在だからお面デートはよかったと思うぜ。鬼のお面も微妙けど、確かにひょっとこはないわな。」

隆くんまで。

「あ。あの。角様は目立って人目につくとすぐに囲まれてしまうから、顔が隠れればいいんじゃないかと思ってお面を買ったんです。鬼のお面だったら節分にも使えるでしょ。だから角様に喜んでもらえるかなって思ったんです。ひょっとこのお面は、私、目が悪いじゃない。それで、お面の上から眼鏡をかければと思って、一番幅の狭いお面を選んだらひょっとこだったってわけです。でも結局はお面の上から眼鏡をかけれなくて、それで角様が手を引いてくれたんです。」


「なるほどね、ナヲなりに角様に喜んで欲しいと思って選んだのね。ひょっとこを選んだのは仕方ないとして、角様と2人でなにしたの?」

かえでさんが身を乗り出して私に尋ねます。


私は、うどんを一緒に食べたこと、その出汁は角様が作ったこと、角様が女生徒に囲まれて大変そうだったこと、お面を被ってお化け屋敷に入ったこと。お化け屋敷の出口でもらった景品のお菓子と、信くんからもらった飲み物を2人で飲んだ事を伝えました。(流石に皇子であるあきちゃんがお化け屋敷に怖がって甘えん坊さんになったことは、言ってはいけないと思い内緒にしました。) 


「それだけ?手を繋いでラブラブだったんでしょ。」

「ゆずちゃん、さっきも言いましたが、人が多いところで眼鏡がなかったら危ないからって角様が手を引いて下さったんですよ。みなさんよく考えて下さい。角様は皇族、私は平民、身分が違いすぎます。みなさんが盛り上がっていたから言いにくかったのですが、私たちは恋人同士ではなく、ただの幼馴染ですよ。」

私の説明にみなさんにかかっていた文化祭マジックは徐々に解けていくようです。


「それは十分に分かってます。でもナヲさん!角様は・・」

「まて、富!俺たちが皇子の気持ちを勝手想像して口にするのは不敬だぞ。」

「ご、ごめんなさい。」

富さんと信さんは貴族だから私の知らないあきちゃんのこと、色々ご存じなんですね。貴族の世界は色々と大変そうです。


「皆さんの期待に応えられずにごめんなさい。」


登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。

花ちゃん→角光明の姉。

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

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