51.文化祭⑭
今日も朝から文化祭の準備におわれています。
ピンポンパンポン!
「1年C組のクラス演劇のリハーサルは講堂の機材トラブルにより12時からと変更となりました。繰り返します。1年C組のクラス演劇のリハーサルは講堂の機材トラブルにより12時からと変更になりました。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」
ピンポンパンポン!
「みんな、リハが12時からに変更になったから、昼休憩の時間を11時からに変更します。小道具・大道具はすでに講堂に運搬しています。メイク担当者は11時45分には舞台出演者を講堂に集合できるように準備をお願いします。舞台出演者はメイク担当の中村さんと衣装班の木田さんの指示に従ってください。では、中村さん。木田さんお願いします。」
富さんがみんなに伝えると、中村さんと木田さんが今日のリハーサルのメイクと衣装の説明をしてくださりました。動物役の生徒はメイクに時間がかかるので11時25分までにご飯を食べて用を済まして集合とのことでした。先ほど衣装も見せていただきましたがどの衣装も立派で、素敵です。学生が作ったと思えないくらいの出来栄えです。
「ナヲ、今日はお弁当?」
「ええ。かえでさんは?」
「私もお弁当。富ちゃんと信はこれから文化祭委員の打ち合わせだから後で食べるって。隆は今購買に行ってて。先に食べててって。とりあえず先に中庭に行きましょ。」
今日はいい天気です。私たちのクラスは昼休みがずれたから今日の中庭は貸し切りです。
「いただきます!」
「いただきます!」
「おう、お待たせ!」
「隆くん買えた?」
「周南堂のパンは売り切れだったけどおにぎりは残ってて助かった。」
「隆くん。よかったらおかずどうぞ。 」
「仕方ないわね。私のおかずも恵んであげるわよ。」
食事をしていると、急にかえでさんと隆くんは周りを見回し、かえでさんが小声で、
「で、ナヲ。昨日はあれからどうしたのよ。角様となんかあった?」
「え?何かって。ああ、そういうこと。あったあった。私はてっきりお茶を飲みに喫茶店に行くものだと思っていたのよ。」
「うんうん。それで?」
「二人とも、顔が近いですよ。喫茶店でお茶ではなく、立派なレストランでお食事をいただいたんです。それがとってもおいしかったんですよ。」
「で。ナヲ。それだけ。」
「それだけって?」
「だから、ナヲ。あんたさ!そうじゃないでしょ。私が言ってんのは!」
「まて!かえで。勝手な発言は!」
「わかった。」
「ちょっと。2人とも。いったい何なんですか?」
「い、いや。こっちのことだ。かえでがっちょっと本番前で緊張してて、取り乱しただけだ。」
「そ。そうなのよ。私、主役でしょ。だから本番前にナーバスになっちゃって。・・・で、ナヲ。楽しかった?」
「ええ。とても。だからもっと働いてあの店のディナーを家族にご馳走したいと思って。あ。早く食べないとメイクの時間に間に合いませんよ。」
「そうだな。急いで食べようぜ。」
「かえで、俺角様がかわいそうになってきた。」
「私も。」
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部なんですよ
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父。
中村さん→クラスメイト。文化祭では演劇出演者のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。