47.文化祭⑪
「デザートでございます。」
配膳されたデザートは、私の皿にはマスカットのジェラードとフルーツのタルト、あきちゃんの皿には洋ナシのジェラードとフルーツタルト。ジェラードの味が違うのですね。マスカットも、洋ナシもおいしそうですね。
「おいしそう。それにすごく綺麗ですね。」
「溶けないうちにいただこうか。」
「はい!」
「ん~。おいしい。デザートも、メインのお肉に前菜のお魚に・・・・どのお料理もとってもおいしかったです。」
「ナヲちゃんのジェラードと僕のジェラード、味が違うよ。僕の洋ナシのジェラードも食べてみない?」
「大丈夫ですよ。私は自分のお皿の分だけで十分ですよ。ありがとうございます。」
「僕が食べてもらいたいんだ。はい。あーん。」
「あきちゃん。自分で食べられますよ。」
「誰も見てないし。小さい頃みたいに。ね。」
「そこまで言っていただくと断り辛いですね。」
私はあきちゃんにジェラードを食べさせてもらいました。ん。洋ナシのジェラードもとてもおいしいです。
するとあきちゃんは、
「僕もナヲちゃんのジェラードも食べさせて。」
と甘えた雰囲気でおねだりをするので、
「はい。あーん。」
するとあきちゃんはうっとりして
「すごくおいしい。ありがと。」
と私に甘えるように囁きました。
・・・。あきちゃんは、小さいころからご両親と別れずっと我慢をしながら、生きてこられたんですよね。リハビリに公務に勉強に頑張ってきたんですよね。誰かに甘えたくても、立場的に甘えることができなかったんでしょうね。きっと兄弟のように過ごした私に甘えているんですね。手紙にいつも、花ちゃんと支えあって頑張っていることが書いてありました。皇族としての務めも大変なご苦労だと思います。本当に頭が下がります。
「どういたしまして。」
私はあきちゃんの頭をなでながらそう答えました。きっとご両親にこうしてもらいたかったんでしょうね。するとあきちゃんは
「もっと撫でて。」
と私におねだりをするで
「あきちゃんは、いい子ですね。」
と頭を撫でると、
「ナヲちゃん。あーん。」
「しかたないですね。」
あきちゃんは赤ちゃん返りをししたように、甘えん坊さんになってしまいました。私は前世で上の子の赤ちゃん返りを(自分の子や、孫、ひ孫たちで)経験したことがあります。赤ちゃん返りは不安な気持ちや、寂しい気持ちをうまく言葉にできなかったり、気持ちを整理できなかったりすることが行動として現れると産婆さんがおっしゃっていました。今のあきちゃんは不安な気持ちや寂しい気持ちを言葉にすることが立場上許されないのでしょうね。私は、あきちゃんの皇族としての重圧を改めて実感しました。
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部なんですよ
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父




