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44.文化祭⑧

「みんな、ありがとう。私の演技に君たちが反応してくれるか不安だったよ。」

とあきちゃんがお礼を言うと、

「俺たち、クラス演劇をするから、エチュードはお手のものなんですよね。」

と信くん。

「私、クラス演劇の主役です。白雪姫とお呼びください。」

とかえでさんはポーズをきめます。

「角様、私達はこれから本当に茶道部のリハーサルに参加するんですけど、どうされますか?」

と私が尋ねると、

「迷惑でなければ、私も参加させてもらっていいかな。」

「もちろんです。部のみんなも喜びます。さっみんな中にどうぞ!」

と、富さんが私たちを案内すると、角様という思いがけないお客様に部員たちは色めきだちましたが、顧問の先生に窘められて、滞りなくリハーサルを終えることができました。


「ナヲさん、お茶のお稽古をされていたの?師範を名乗ってもいいくらいの腕前よ。是非うちの部に入りませんか?」

「母から習った程度ですよ。それに私、放課後は仕事もしていますし。」

と顧問の先生に答えましたが、実は前世で90年くらい嗜んでおりましたとは言えません。実は前世で師範の免許を持っていたんです。90年の経験は、生まれ変わった今も体に染み付いていたんですね。


茶道部のみなさんや顧問の先生に勧誘されましたが、丁寧にお断りし、みんなと一緒に茶室を出ました。すると、富さんが真剣な表情で、

「ナヲさん、完璧なお点前でした。茶道部への入部、本気で考えてくれませんか?本当はお茶のお稽古ずっとやっていらしやるんでしょ。見ればわかります。ナヲさんが忙しいのは充分わかっていますけど、文化祭が終わったら先輩方が引退されてたら、私一人なってしまうんです。顧問の先生もお忙しくて毎日は来ていただけないんです。ナヲさんたまにの参加でも構いません。私に力を貸してくれませんか。おねがいします。」

「私、フルに参加できる日は週に1回か2回になると思うんです。毎日参加するとしたら、15~20分程度しか参加できないと思うんですよね。だからご迷惑をおかけするかもしれません。それでもよければぜひよろしくお願いします。富さんにお願いされたら断るなんてできないですよ。」

「え。ほんと?いいの?ありがとう!」

と富さんは私に抱き着いてありがとう。ありがとう。と繰り返しています。

「ねえ。富ちゃん。私、誘われていないんですけど。」

「俺も、バイトをしてて毎日は無理だけど、抹茶と、和菓子好きだし入部してもいいんだけど。」

「柔道部と掛け持ちであんまり参加できないと思うけど。」

かえでさんも、隆くんも、信くんも入部してくれるみたいです。

「みんな、ありがとう。うれしい。」

「てゆーか、早く言ってよ。富ちゃんみずくさいよ。」

とかえでさんがいうと、富さんは泣き出してしまいました。



この様子を見ていたあきちゃんが、

「毎日行けなくていいんだったら、私も入部してもいいだろうか?ナヲちゃんほどの腕前はありませんが、幼いころからお稽古をしているから、何か役にたてるかも。」


「角様もありがとうございます。」


こうして私たちは茶道部に入部しました。

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。

花ちゃん→角光明の姉。

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

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