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42.文化祭⑥

「ただいま帰りました!」

「お疲れ~。あら。私、こんなに買い物頼んだかしら?」

「いや。これはコロッケだ。小南さんと僕からの差し入れだ。」


ありがとう!!と教室で仕事をしていたクラスメイト達が一斉に集まってきた。

「九条さん。私は家庭科室にいるみんなに持って行きますね。だから教室のみんなに配ってもらえないかしら?」

「わかった。任せてくれ。配り終えたら、家庭科室に行くから。」

「わかりました。よろしくお願いします。」



「ナヲちゃん。卵と砂糖も一緒に家庭科室に持って行ってくれないかしら?」

「了解!」


私はコロッケと金型、買い出しの商品をもって家庭科室に向かいました。コロッケも金型も大好評で、皆さんにとても喜んでいただきました。


コロッケ休憩の後、九条さんも合流し私たちは焼き菓子づくりに励みました。



「かわいい!」

女子生徒たちははしゃいでいます。

「形が増えただけでこんなに見栄えが良くなるんだな。」

男子生徒たちにも好評です。

「ナヲさん、クッキーは、生地を作って冷凍をして、前日に型抜きをして焼いて、ラッピングであっているかしら。」

「そうです。冷凍する生地はできるだけ同じ厚さで平らにお願いしますね。ジュースなどの飲み物類はすでに冷蔵庫に冷やしてありますし、お茶も昨日業者さんが届けてくださったので紙コップと一緒に先生に預けてありますから。」

「じゃあ文化祭の前日に取りに行けばいいですね。」


私たちは、調理班の進捗状況をみんなで確認しあい、ホットケーキは当日、クッキーとマドレーヌとプリンとゼリーは前日の作業のみなので、私たち調理グループは、文化祭の前々日まで、衣装班の手伝いや、大道具班の手伝いなど人手が足りていない班の手伝いをすることになりました。


「じゃあ。みんなお疲れ様。5時になったから片づけを始めてください。」

富さんの号令でみんな一斉に片づけ始めました。


 私は、絵筆を洗いに手洗い場に行きました。

「あっ。角様。」

暗い表情で、筆洗器の水を捨てるあきちゃんは私に気が付くと

「ナヲちゃん・・・。」

と泣きそうな顔で私を見るあきちゃんは、今にも折れてしまいそうなそんな雰囲気です。きっと学業と公務の両立で疲れていらっしゃるんですね。


「ちょっと待っててください。」


私は手を洗い、ハンカチで手を拭きながら教室に急いで戻り、コロッケが入ったビニールと、クッキーの入ったビニールを持って戻りました。


「忙しいのに呼び止めてごめんなさい。」

あきちゃんは手を洗ってハンカチで手をふくと。

「ううん。」

とだけ答えました。やっぱり元気がありません。

「今日、学園祭の買い出しに商店街に行ったんです。ここのコロッケはすごくおいしくて、ぜひ角様にも食べてほしくって。それと、私たちのクラスが学園祭で出すクッキー。よかったら。」

「あ。ありがとう。」

「忙しいのに呼び止めてごめんなさい。私も片づけの途中だから、これで失礼しますね。」


あきちゃんはコロッケとクッキー渡した途端、元気になったように見えました。よかった。さっ。私も片づけがんばらないと!


小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。

花ちゃん→角光明の姉。

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

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