41.醜い感情(あきちゃんの視点)
「角様。足りない分は1階の生徒会室に取りに行っていただけますか?」
「わかった。」
「私も、ぜひご一緒しますわ。」
「いや。一人で大丈夫だ。」
私は文化祭のポスター作りの画用紙をもらいに生徒会室に向かっていると、昇降口に向かう二人の生徒が目に入った。立法省の九条様のご子息・・・。なぜナヲちゃんと楽しそうに歩いているんだ?しかも二人とも笑っている。彼も貴族であるにもかかわらず、ナヲちゃんは私といるときよりも距離感が近いのではないか?確か・・・。九条家の御子息はまだ婚約者がいないはず。・・・もしや、二人は付き合っている・・・?でも、正ちゃんはそんなこと一言も言っていなかったし・・・。それにこんな時間に二人で登校とは・・・。
「あー。」
「坊ちゃま。大丈夫ですか。急に座り込まれて、お加減がお悪いのですか?」
「い。いや・・・。大丈夫だ・・・。」
本当は大丈夫ではないが、警備員にそう告げると、私は生徒会室に向かった。
「はい。画用紙です。角様、お加減が悪いのですか?顔色がお悪いようですが・・・。公務と学業でお疲れなのでは?」
「いや。大丈夫です。心配をおかけしてすみません。」
私はそういうと生徒会室を後にした。階段に差し掛かると階段を上がる二人の姿が。思わず階段の陰に隠れてしまった。・・・嫌だ。嫌だ嫌だ。
その後私はどうやって教室に戻ったか覚えていない。それから友人たちの描いた絵に色を塗る仕事をしたのだが、赤や黄色で塗った絵が、なぜかモノクロにしか見えない。
「角様次はこの文字を赤にお願いします。」
「ああ。」
とにかく、仕事に集中して。忘れよう・・・。




