401.兄の研究の成果②
「正次朗ちょっと電話口に来てちょうだい!」
と母はトランシーバーらしきものを持ってウロウロしている兄を呼びに来ました。兄はトランシーバーを持っている自分の親指を私に見せて、
「この穴を押さえてて。こちらの声が向こうに聞こえるとまずいから。」
と言って(トランシーバーを)私に渡しました。その間もトランシーバーからは声が聞こえてきます。私ははなちゃんのトランシーバーからの電波を受けやすい場所を探しながらウロウロしていると、父も一緒になってウロウロを始めました。
「ジ〜〜〜〜。ここは、海?帝都港ですか?よくわかったな。船で藤原様がお待ちだ。・・そ!また検問ジ〜ってジ回ろうジ〜。」
父と私は顔を見合わせ、電話口の兄達にはなちゃんが帝都港にいること、船に乗せられそうになっていることを伝えました。
橋田さんは兄と電話を代わり電話の相手に、帝都港にはなちゃんがいることを伝えていました。
「帝都港ならここから5キロくらいだ。おそらく検問を避けながら回り道をして時間がかかったんだろうな。橋田さん。俺行きます。」
と電話をしている橋田さんに向かって言うと、家を飛び出そうとしました。私は、
「待って兄さん。私も行きます。父さん、今年になって周南堂オート三輪買ったでしょ。多分この時間涼くんいるから途中まで送ってくれって頼んで来て!」
と言うと
「わかった。」
と言って家を飛び出しました。私は
「急いで救援部隊の制服に着替えましょう。検問に引っ掛かっては時間がかかります。それに何も持たずに行くんですか。武器の一つや二つ持っていかないと!」
と言うと、
「わかった!」
と兄は答えました。私達が着替え終わると、玄関から
「用意できたぞ!」
と父の声がしました。
後書き
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。現在は特別部隊の隊長代理。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭
井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員
鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事
北見→特別救援部隊隊員
青木→特別救援部隊隊員
長野→特別救援部隊隊員
山口→特別救援部隊隊員
秋元→特別救援部隊隊員
宮橋→特別救援部隊隊員
石川→特別救援部隊隊員
福本→特別救援部隊隊員
加山→特別救援部隊隊員
多加知→特別救援部隊隊員
佐々木→九州騎士団団員
柳井→九州騎士団団員
江口→九州騎士団団員
東→特別部隊中隊長
南→特別部隊班長
北川→特別部隊班長
西田→特別部隊班長
山之内豊→元左大臣補佐。現在は開拓省役人。
藤原真道→左大臣。華族。息子は光江の婚約者だった。




