帝都に到着
私達の乗った汽車がホームに入ると、騎士団の方々と三条様、兵部大臣の剛田様が出迎えてくれました。離れたところに新聞社の腕章をつけた記者までいます。剛田大臣のが
「この度ご苦労であった。」
と敬礼をすると、私達も敬礼で答えました。
それから私達は救援部隊の隊員はこれから兵部省に行くことになり、私と兄は両親に荷物を預けて兵部省の馬車に乗り込みました。
「皆、ご苦労だった。」
私たちに兵部大臣の剛田様がねぎらいの言葉をかけました。先程帝都に戻った私達だけでなく、先に戻った特別部隊や救援部隊の隊員が集まっています。そこで剛田様は明日の授賞式の説明と特別部隊と救援部隊に隊服(通常用)と式典用の隊服を配布しました。(隊服は明日配布の予定でしたが準備が間に合ったとのこと)明日は式典用の隊服で迎えの馬車に乗って来るよう指示がありました。そして
「皆は、この帝国を守った英雄であるため、国民からの注目も集まっている。一部の雑誌や新聞などの報道機関が皆のことを興味本位で嗅ぎまわったり、政治利用をしようと隊員個人を興信所などを使い嗅ぎまわっている輩もいる。君たちはともに戦った同士でもある。いたずらに隊員たちの個人の私生活に踏み込んだ情報は決して漏らさんように。これらの約束を反故したものは今回の受賞は取り消しになるので十分注意してほしい。」
と念を押した。そしてこの場は解散すると私と兄は三条様に呼ばれた。
「疲れているところ悪いな。実は、先ほど大臣から説明があったと思うんだが・・・。」
「私と光江様、妹と光明様の事でしょうか?」
「話が早くて助かる。実は、君たちの大勲位最高戦士賞受賞と剣術大会に出場することをよく思っておらん面倒な奴がおってな。そのものがどのような動きをするかわからん今、二人には申し訳ないのだが光江と光明に個人的に会うことをやめてもらいたいんじゃ。ナヲさんは光明と学校で会うこともあると思うのだが、どこでだれが君たちの足を引っ張ろうとしているかはわからんからな。剣術大会の3月17日まで我慢をしてくれ。」
と言って三条様は頭を深々と下げた。
確かに私たち平民がしかも兄弟で名誉ある大きな賞を受賞することを面白くないと思う貴族たちはたくさんいるだろう。私は
「わかりました。」
と返事をしました。そして兄も
「それもそうですね。了解しました。」
と言って小さくため息をついていました。
帰りの馬車の中では兄と話をすることもなく、ただぼんやりと景色を眺めていました。
後書き
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。現在は特別部隊の隊長代理。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭
井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員
鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事
北見→特別救援部隊隊員
青木→特別救援部隊隊員
長野→特別救援部隊隊員
山口→特別救援部隊隊員
秋元→特別救援部隊隊員
宮橋→特別救援部隊隊員
石川→特別救援部隊隊員
福本→特別救援部隊隊員
加山→特別救援部隊隊員
多加知→特別救援部隊隊員
佐々木→九州騎士団団員
柳井→九州騎士団団員
江口→九州騎士団団員
東→特別部隊中隊長
南→特別部隊班長
北川→特別部隊班長
西田→特別部隊班長
山之内豊→元左大臣補佐。現在は開拓省役人。
藤原真道→左大臣。華族。息子は光江の婚約者だった。