381.会議②(あきちゃん視点)
「私が彼を呼んだんですよ。開拓省の役人である彼を呼んだのは今回会場にする闘技場の老朽化の修繕に、開拓省が管理している山口の大理石を使用する予定にしておりますので。」
と左大臣の藤原が言った。そして続けて
「まあ、どちらにしても士族になったからと言って試合に勝った者が貴族としてやっていけるかというのは別の話ですしね。大勲位最高戦士賞受賞も剣術大会開催も、もう発表してしまったので今更きませんしね。私も山之内も平民、それも兄弟で受賞し剣術大会に出場することに人々のやっかみや不満が生じた時のことを心配していただけですので、お気になさらないでください。」
と言って頭を下げた。
「はぁ~。やっと終わった。」
と私は大きく伸びをした。私と姉様は三条のおじさんに呼ばれ(おじさんの)執務室にいる。三条のおじさんは人祓いをして、姉様と私に
「左大臣の藤原と山之内は、今回の彼らの受賞と剣術大会開催に最後まで反対をしておったのだ。2人ののその恋心に関してわしがどうこう言うのはどうかと思うのだが・・・。剣術大会までの間、正二朗くんとナヲさんに個人的に会うのは控えてくれ。光枝も光明も婚約者がいないのだから誰と仲良くしようと別に問題はない。しかし、今、剣術大会に出場する2人に会うことで、剣術大会の参加が彼らの実力ではなく皇女と第二皇子のコネだとケチをつける輩も出てくるかもしれない。そいつらの話が色んな所で曲がって伝わり、剣術大会が中止になってしまったら元も子もないからな。実は、議会の前に小耳に挟んだのだが、山之内の御息女を藤原氏が養女として引き取ったと噂で聞いたのだ。藤原氏の息子と光枝との婚約が流れてしまっただろ。藤原氏のひとり息子が、皇女殿下の怪我を怖がったという理由で、格下の藤原氏が皇女殿下の婚約を破棄したという行為は貴族にあるまじき行為だと、今、藤原氏は社交界でつまはじきにされているようなんだ。その婚約破棄で他の貴族から距離を置かれていた藤原氏だったんだが光江の婚約者だった一人息子は年末に平民の女と駆け落ちして行方不明になっちまったらしいんだ。それで、藤原氏は貴族社会でますます居場所がなくなったようでな。それでその状況を打開しようと藤原氏は、養女にした山之内の御息女を光明に嫁がせようと躍起になっているらしいんだ。
「何でだよ。私はナヲちゃん以外とは結婚しない。もし、藤原の娘と結婚しなければならなくなったら、私は自らの命を・・・。」
「光明、何言ってんの!ナヲちゃんに助けてもらった命を粗末にするようなことは言ってはいけません!」
「でも、私はナヲちゃん以外の女性と結婚するつもりは絶対ないから。」
私たちの言い合いを聞いて三条のおじさんが、
「だからだ。変な噂を立てられないため。行動には十分に気を付けてくれ。」
と私たちにくぎを刺した。
私たちが了承すると、
「宮崎での光枝と正次朗くんの事、光明とナヲさんとのことは兵部署の剛田さんを通して一応箝口令を敷いておくからな。それと正次朗くんとナヲさんにはわしの方から伝えておくよ。」
と私たちに言うと、
「あ、茶も出してなかったな。」
と言ってメイドを呼んだ。
後書き
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。現在は特別部隊の隊長代理。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭
井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員
鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事
北見→特別救援部隊隊員
青木→特別救援部隊隊員
長野→特別救援部隊隊員
山口→特別救援部隊隊員
秋元→特別救援部隊隊員
宮橋→特別救援部隊隊員
石川→特別救援部隊隊員
福本→特別救援部隊隊員
加山→特別救援部隊隊員
多加知→特別救援部隊隊員
佐々木→九州騎士団団員
柳井→九州騎士団団員
江口→九州騎士団団員
東→特別部隊中隊長
南→特別部隊班長
北川→特別部隊班長
西田→特別部隊班長
山之内豊→元左大臣補佐。現在は開拓省役人。
藤原真道→左大臣。華族。息子は光江の婚約者だった。




