表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

375/411

375.気がついたら㉑

「ただいま。」

10分くらいたってあきちゃんが暗い声で帰ってきました。

「おかえりなさい。おつかれ様です。」

あきちゃんはよろよろと(ベッドサイドに座っている)私の元にやってきて、

「セーターの形になってきたね。このベストに袖がついたら完成だね。」

「そうです。もう少しで完成しますよ。」

そう答えると、

「完成したセーターを着てナヲちゃんと温泉に行きたかったんだけど、一足先に帝都に戻らなくてはいけなくなったんだ。ごめんね。」

「謝らないで下さい。ご公務ですか。」

「そうなんだ。式典の打ち合わせや会議に参加しなくてはいけなくてね。」

「頑張ってください。」

「ありがとう。」

そういうとあきちゃんは私の隣に座り私の肩に頭を置きました。

「ナヲちゃん、私はこの数日間とても幸せだったよ。ナヲちゃんと二人でこうやって過ごすことができるなんて思ってなかったから。ナヲちゃんは怪我と麻痺で苦しんでいたのに不謹慎なことを言ってごめん。でもこうやってなをちゃんと二人だけの時間を持てたことが嬉しかった。ありがとう。」

「こちらこそ、看病してくださってありがとうございました。」

「どういたしまして。」

そう言ってあきちゃんは私の肩から頭を外すと、

「ナヲちゃんからしてほしい。だめかな・・・。」

と言って唇に指をさして恥ずかしそうに私を見つめます。

「え?私から口づけをするんですか?」

「うん。お願い。」

そう言ってあきちゃんは私を抱き寄せて見つめます。

「じ、じゃあ・・・。目を閉じてもらえますか?」

「うん。」

私は恥ずかしすぎてどうかなってしまいそうでしたが、あきちゃんの唇に私の唇を重ねました。



「じゃあ、帝都で待ってるね。」

「はい。」

あきちゃんは警備の方と迎えに来た執事のような方(あきちゃんは桜田さんと呼んでいました)と一緒に帰っていきました。あきちゃんが帰った後の病室は、とても寂しく、広く感じました。私は寂しさを紛らわせるために病棟内の散歩と、階段の上り下りを(リハビリを)しました。

 夕方の診察の時に

「検査結果も異状ないし、体の麻痺ももうとれているから、明日退院で問題なし!」

と先生から太鼓判をいただきました。夕方両親が泊まっている温泉旅館に電話をし、父に明日退院することを伝えました。両親は明日、温泉から帰る足でそのまま迎えに来てくれることになりました。そしてその足で私も両親と一緒に帝都に帰ることになりました。・・・花ちゃんと温泉で過ごしている兄さんはどうしているんだろ。花ちゃんはもう帝都に帰ったのかな。

 そんなことを考えていたら、

トントン

「はい。」

「ただいま。はぁ。折角花ちゃんとまったりしていたのに。あきちゃんももう帝都に帰ったの?」

「ええ。」

「そっか。」

私は兄に明日退院することが決まった事、明日、温泉から帰る両親と一緒に帝都に帰ることになったことを伝えると、

「そっか。さっき父さんに電話をして、俺も一緒帝都に帰ることになったんだ。切符は九州騎士団の方が手配してくれて、12時半の列車で帰ることになったから。」

「わかりました。特別部隊や救援部隊の皆さんはもう帝都に戻ったんですか?」

「半分くらいは帝都に戻ってるみたい。さっき青木さんに会ったんだけど、青木さんも明日退院だって。」

「松葉杖ついているのに?」

「うん。あとは通院でいいみたいだよ。さっき紹介状を受付でもらっていたから。」

「そうなんですね。」

「ちょうど面会簿に名前を書いていたら紹介状をもらっている青木さんに会って話をしたとこ。」

「じゃあ、帝都に帰る前に青木さん挨拶をしてきます。」

「俺も行く。」

私たちは青木さんの病室に向かいました。

後書き

登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。現在は特別部隊の隊長代理。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

三木さん→皇居の女中頭

井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員

鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事

北見→特別救援部隊隊員

青木→特別救援部隊隊員

長野→特別救援部隊隊員

山口→特別救援部隊隊員

秋元→特別救援部隊隊員

宮橋→特別救援部隊隊員

石川→特別救援部隊隊員

福本→特別救援部隊隊員

加山→特別救援部隊隊員

多加知→特別救援部隊隊員

佐々木→九州騎士団団員

柳井→九州騎士団団員

江口→九州騎士団団員

東→特別部隊中隊長

南→特別部隊班長

北川→特別部隊班長

西田→特別部隊班長


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ