369.気がついたら15
夕飯前の診察で先生から傷の治りと麻痺の回復も早いから近日中には退院できるだろうと言われ一安心しました。若いと回復も早いそうです。明日の朝、飲み込みの状態を診て問題なければ普通食に戻そうと言うことでした。これが今年1番(まだって1月1日ですが)こ嬉しい出来事になりました。
「はい、あーん。」
「自分れ、食えられます。」(自分で食べられます。)
私があきちゃんにそう抗議すると、
「えー、お願い。なんか、恋人同士って感じでたのしいでしょ。」
「これもリハビリなんれす。手のしいれも回復しましたし、だいぶ動くようになりまひた。らから自分れやります。」
(これもリハビリなんです。手の痺れも回復しましたし、だいぶ動くようになりました。だから自分でやります。)
「お願い。ナヲちゃん、今日まで私に甘えて。私はこの時間がとても幸せなんだ。」
と言って私への食事介助をやめてくれません。自分でやります。いや私が食べさせる。の押し問答をしているうちに食事を完食してしまいました。
その後、歯を磨きに部屋の洗面台に向かうため体を起こそうとすると
「え?」
動きます。スムーズに。私はベッドサイドに座り、座ったまま足踏みをしたり体を捻ったりストレッチをすると、思うように体が動かせるようになっていることに驚きました。
「あきやん。動くよ。からら。」(あきちゃん、動くよ、体。)
「すごいね、ナヲちゃん。おしゃべりもだいぶスムーズになってきたし。退院したら温泉行こうね。楽しみだな。あっ、旅館予約しなきゃね。ってナヲちゃんのご両親に許可もらうのが先か。楽しみだね。」
あきちゃんはニコニコして私の隣に座り私の肩に頭を置きました。
「ナヲちゃん。ありがとう。私はナヲちゃんが隣にいてくれるだけで本当に幸せだよ。幸せだからこそ、道場で私がナヲちゃんの唇を無理矢理に奪ってしまった事、とても後悔してるんだ。私は男として、人として本当に最低な行いをした。本当にごめんなさい。」
「あきやん、もうそのことは、なんろも私に謝ってくれたれしょ。私はもう、気にしていませんよ。」(あきちゃん、もうそのことは、何度も私に謝ってくれたでしょ。私はもう、気にしていませんよ。)
「ナヲちゃんは優しすぎ。そうやっていつも私を甘やかして。私はナヲちゃんのその優しさに漬け込んでもっと酷いことするかもしれないよ。」
「らいしょうぶれす。お互いさまれすよ。わらしだって、あきちゃんを囮にして幽魔と戦ったんれすよ。そのせいれあきちゃんは怪我をしてしまった・・。しょうりき、第二皇子を背負って戦ったなんて。何が罰があるんやないかとビクビクしれます。」(大丈夫です。お互い様ですよ。私だって、あきちゃんを囮にして幽魔と戦ったんですよ。そのせいであきちゃんは怪我をしてしまった・・。正直、第二皇子を背負って戦ったなんて。何か罰があるんじゃないかとビクビクしてます。)
「そんなことでナヲちゃんが罰を受けることになったら私の権力でなんとかするし、そんなことを言う奴がいたら私がそいつを排除するから安心して。」
と言って微笑みました。
・・・あきちゃん、微笑んで話す内容じゃないです・・・。
「それに、ナヲちゃんと正ちゃんは今回の働きで大勲位最高戦士賞を受賞する候補者になっているしね。救援部隊に入ったということは兵部省の管轄下にあって、兵部省に入っていることになってるんだ。本来であれば剣術大会で優勝して大勲位最高戦士賞を受賞した人が士族、すなわち貴族になれるんだけど、今回の功績は大きいとして特例で賞の受賞はありきで剣術大会をしようって流れになっているみたい。でもそうなると、ナヲちゃんと正ちゃんが戦うことになるんだよね・・・。」
「他の候補ヒャの人もいるんれしょ。」(他の候補者の人もいるんでしょ。)
「いても、2人にかなうひとなんていないよ。私はナヲちゃんにも正ちゃんにも勝ってほしいよ。」
「ありがとう。もし、兄さんと戦うことになったらその時は全力れぶつかります。恨みっこなしれす。」(ありがとう。もし、兄さんと戦うことになったらその時は全力でぶつかります。恨みっこなしです。)
「うん。」
後書き
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。現在は特別部隊の隊長代理。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭
井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員
鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事
北見→特別救援部隊隊員
青木→特別救援部隊隊員
長野→特別救援部隊隊員
山口→特別救援部隊隊員
秋元→特別救援部隊隊員
宮橋→特別救援部隊隊員
石川→特別救援部隊隊員
福本→特別救援部隊隊員
加山→特別救援部隊隊員
多加知→特別救援部隊隊員
佐々木→九州騎士団団員
柳井→九州騎士団団員
江口→九州騎士団団員
東→特別部隊中隊長
南→特別部隊班長
北川→特別部隊班長
西田→特別部隊班長
 




