352.祠へ⑤
追いつけ!私は幽魔に並走しながらあきちゃんの元へ向かいます。その時、西田さんがあきちゃんの元にやってきました。
「西田さん!あきちゃんをお願いします。」
私が叫ぶと西田さんがあきちゃんの前に立ち、刀を構えます。私は並走している幽魔を三度斬りつけるとその切った幽魔は下に落ちずに3つになってあきちゃんの元に進みます。
「ナヲさん。任せてください!」
西田さんがそう言って3つになった幽魔を斬りました。すると斬られて増えた幽魔はまた真上に上がり球体になり棘が生えてきました。まずい。こんな近距離で棘が飛んで来たら西田さんと私でも防ぎ切れません。私は真上に飛び上がりながら
「西田さん。あきちゃんを連れて逃げて下さい。」
私が叫んだタイミングで兄もやってきて、
「行くぞ!」
と叫びました。私達は棘が飛ぶ前に出来る限り球体を切り刻むと地面に着地しました。足元に落ちた幽魔のかけらは又集まりすかさず1本の槍投げの競技で使う槍のような形になり逃げるあきちゃんの元へ飛んでいきます。兄と私達が追いかけるもの間に合いません。西田さんが刀を構え槍の形になった幽魔を斬りましたがその切った幽魔のが西田さんに襲い掛かり西田さんはその場に倒れました。その時、井沢団長が
「この幽魔を外に出しては危険だ!おそらく、神力を持たない者に襲い掛かるんだ!!光明様は俺たちも守るから戻ってくるんだ!」
「確かに。」
・・・私は神力を体に込めてあきちゃんを抱え上げ今来た道をダッシュで戻ります。
私はみんなの元へ戻ると、騎士団と救援隊のみんなは幽魔の前に立ちはだかり幽魔を切り刻みます。私はあきちゃんを一旦下ろすと、
「あきちゃん、私の背中に。」
「え、何で?」
「早く!!」
私の勢いに押されてあきちゃんは私の背中におんぶされました。
「あきちゃん。私を信じて下さい。絶対に私がいいって言うまで黙っておんぶされててください。」
「わかった。」
幽魔は又球体に棘を出しマシンガンのように辺り一面に棘を飛ばしました。私はそれを刀で切りましたが、両足と腕に棘が刺さりました。私の前で戦っていた井沢団長、秋元さんと長野さんが座り込み特別部隊の方々も3名倒れています。そして大川さんは刀を杖にして肩で息をしています。私は
「私と兄でこの敵を倒します。石川さんと山口さんと宮橋さんは倒れた方々をここから出してください。残った騎士団の方々は北川さんと南さんと一緒に泉の幽魔をお願いします。」
と言うと特別部隊の2人は泉の方へ駆けて行きました。
「ナヲ。どうするつもり?」
「私の背中には幽魔が狙っている獲物があるんです。だから私に向かって来る幽魔を斬って斬って斬りまくります。だから兄さん。もし、私があきちゃんを守れなくなったらあとは頼みます。」
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。現在は特別部隊の隊長代理。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭
井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員
鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事
北見→特別救援部隊隊員
青木→特別救援部隊隊員
長野→特別救援部隊隊員
山口→特別救援部隊隊員
秋元→特別救援部隊隊員
宮橋→特別救援部隊隊員
石川→特別救援部隊隊員
福本→特別救援部隊隊員
加山→特別救援部隊隊員
多加知→特別救援部隊隊員
佐々木→九州騎士団団員
柳井→九州騎士団団員
江口→九州騎士団団員
東→特別部隊中隊長
南→特別部隊班長
北川→特別部隊班長
西田→特別部隊班長




