343.宮崎に⑬
8時半になりました。いよいよ出発です。しっかり眠り、しっかり朝食も食べました。身だしなみは整っているか何度も部屋でチェックしました。デートに行くんじゃないんだから。これから戦いに行くのに、浮かれてどうするのよ!!と自分自身に喝を入れました。
「これから高千穂まで徒歩で向かいます。途中幽魔が出没する恐れがあるため、周囲の確認を怠らないでください。」
と井沢団長が言うと、私達は「はい!」と気合いの入った返事をしました。ここから祠までは1時間程度かかるそうです。私たちは佐々木さんたち九州騎士団の3人の後に続きます。
「一ノ瀬さん。よく眠れましたか?」
「いえ。あまり・・・。というかこっちに来てからあまり眠れていません。」
「そうなんですね。私はよく眠れました。私たちが祠に行っている間ゆっくり休んで浄化の儀式に備えてください。」
「ありがとうございます。ナヲさんは今日ポニーテールにしているんですね。」
「はい。どうですか?変じゃないですか?それに訓練用の眼鏡をしてるからおさげの方がよかったかなとか。色々迷ったんですけど。」
「かわいいですよ。」
というと、一ノ瀬さんは耳元で
「角様も似合うっておっしゃると思います。」
と言ってくれたのでなんだか嬉しくなりました。でもあきちゃんは私の髪型なんか気にしている余裕はないはずです。その時寒い嫌な空気が漂いました。
「石川さん!一ノ瀬さんをよろしくお願いします。兄さん。」
「はいよ!」
私と兄は飛び出すと3メートルくらいある幽魔を4体切り刻みました。
「ナヲはりきりすぎじゃない?」
「そうかもしれません。早く祠に行きたくて。気持ちが焦っているかもしれません。気を引き締めます。」
「早く祠に行きたい?違うだろ。早くあきちゃんに会いたいだろ。ただ、あの大きさの幽魔が出るって、祠付近はどうなってんだろうな。俺も気を引き締めないとな。」
私たちが列に戻ると井沢団長は
「二人ともお疲れ様。みんな、あの大きさの幽魔がここをうろついているということは、祠の幽魔を食い止めている特別部隊は限界を迎えているのかもしれない。みんな悪いが少し急ごう。」
というと、隊員のみんなも、九州騎士団の3人も一ノ瀬さんもその提案に了解し、私たちは先を急ぎました。
「ここが拠点です。ここから100メートル先に祠の洞窟があります。」
あれから4回ほど幽魔の襲撃に遭いながらも、だれも怪我をすることなく到着することができました。(隊員の方々はブランクを感じない無駄のない動きで戦いを見ているだけでもとても勉強になりました。)
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭
井沢団長→近衛騎士団元団長・現、特別救援部隊隊員
鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事
北見→特別救援部隊隊員
青木→特別救援部隊隊員
長野→特別救援部隊隊員
山口→特別救援部隊隊員
秋元→特別救援部隊隊員
宮橋→特別救援部隊隊員
石川→特別救援部隊隊員
福本→特別救援部隊隊員
加山→特別救援部隊隊員
多加知→特別救援部隊隊員
佐々木→九州騎士団団員
柳井→九州騎士団団員
江口→九州騎士団団員




