33.気が付いたら家に帰っていました。
・・・ここは私の部屋ですね。う~~ん。よく寝ました。あら?もう朝?!時計を見たらもう5時です。
たくさん寝たからすっきりしました。
「おはようございます。お母さん手伝うことはないですか?」
「おはよう。大丈夫よ。ところで、体の調子はどう?今日は休んだ方がいいんじゃない?」
「たくさん寝たから大丈夫です。」
「昨日夕飯食べてないからおなかが空いたでしょ。おにぎりと、卵焼きと漬物はテーブルにありますから、豚汁を温めてから先に食べちゃいなさい。」
「ありがとうございます。とってもおなかが空いていたんです。」
朝食を先にいただいていますと、
「昨日は久しぶりに花ちゃんとあきちゃんに会ってうれしかったわ。二人とも大きくなってて、街ですれ違っても気が付かないわね。でも二人と話をしたら、小さいころと変わらず素直で、いい子たちだったわ。いい子たちだなんて失礼な言い方かもしれないけど。そうそう、あきちゃんがナヲを部屋まで運んでくれたのよ。私ったらあきちゃんって女の子だと思っていたから。あきちゃんがあんなに素敵な青年になっていて腰が抜けるかと思ったわ。敏光さんは腰が抜けていましたけどね。」
「え?お父さんは大丈夫なんですか?」
「やーねー。冗談よ!」
「お父さんだから冗談に思えなかったんです。それよりも、昨日はあきちゃんにとても迷惑をかけてしまったからお礼に周南堂のパンをお渡ししようと思うんですが。」
「そうね、パンコーナーはもう空いているだろうからそれがいいわ。」
食事を済ませ、身支度を整え、時間割をして、周南堂に寄るのでいつもより早い時間に家を出ました。
「いらっしゃいませ!」
「おはようございます。涼くん。」
「おはよう!ナヲ!昨日、うちに花ちゃんとあきちゃんが来たぜ。はなちゃんはすんごいきれいになっててさ。それと、あきちゃんは男の子だったなんてナヲは知ってたか?父ちゃんも母ちゃんも、ゆずも驚いてさ。ひっくり返って、その上腰を抜かして大変だったよ。」
「涼くんは相変わらず冗談がお上手ですね。」
「いや、マジで。父ちゃんはあきちゃんに会った時腰抜かして尻もちついてさ、腰を痛めちまったんだよ。だから、今日は母ちゃんがあんこ練ってるよ。」
「だから、今日、アンパンがいつもより少ないのね。」
「・・・で何にする。アンバターはこれだけだからとりあえず買っとけ。」
「・・・あっありがとう。私、昨日体調崩してあきちゃんにお世話になったの。だからお礼にパンをと思って。とりあえず10個くらいいただこうかな。」
「わかった。昨日あきちゃんが来たとき、和菓子もパンも売り切れでがっかりしてたから。パンは喜ぶと思うぜ。」
「そうなんだ。あきちゃんは昨日学校で周南堂のあんぱんとメロンパンと焼きそばパンとカレーパンとドーナツを食べたから違う種類のがいいかなって思うんだけど。」
「じゃあ、俺の言った通りまずはアンバターだろ。それとソーセージパンだろ、チョココロネだろ・・・。」
「涼くん、クリームパンときなこ揚げパンとホイップドーナツと蜂蜜バターパンにジャムも・・・。」
「おいおい。甘いパンばっかりで胸焼けするぜ。俺に任せろ。あきちゃんが食べきれなくても三条様と花ちゃんと分けれるようにおすすめ入れておくから。」
「よろしくお願いします。」
「じゃあ、アンバターにソーセージパン、チョココロネにとうもろこしマヨパン。クリームパンにハム卵パンにきなこ揚げパンにツナマヨパンにホイップドーナツ。・・蜂蜜パンとジャムパンはおまけな。」
「ありがとうございます。そういえばもうゆずちゃんは学校の購買に行ったの?」
「ああ。ナヲが来る5分前くらいに出たよ。」
私は商品の代金を支払い、学校に向かいました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。




