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314.いつもの日常に④

「ナヲ、絵本のグッズの試作品できてるわよ。」

と言って環おば様は『ぴっぴタロちゃん』という絵本のお弁当セット(お弁当箱・はし箱・お箸・ランチョンマット)と『ポン助』のTシャツが入った段ボールを私のデスクに置くと、続けて

「悪いわね、敏光から大体のことは聞いているから。怪我のこともあるし無理はしないでね。」

と言って私の頭を撫でました。(環おば様は父の姉で、このセイコウ出版社の社長です。)おば様は私が天照の世界に行ったことを父から聞いたのかしら?どこまで話がしてあるかわからないのでこの件は私から話すのはやめておきましょう。私は早速試作品のチェックを始めました。

「タロちゃんのランチセットは思った以上に出来がいいわね。幼児や児童、大人向けにサイズを変えて販売したら人気が出るんじゃないかしら。」

私は試作品に関して気になったことや、試作品に関する意見を用紙に書きながらサンプルチェックを続けます。

「次はポン助のTシャツか・・・。」

私が皇居にいた時に皇太子殿下とあきちゃんに試作品を渡す約束をしたんですよね・・・。あきちゃんは特別部隊に参加するし今は皇太子殿下もお忙しいだろうな・・・。それに、あきちゃんとは・・・。あんなことがあったし・・・。あんなこと・・・。あきちゃんは私にキスを・・・。これまでのあきちゃんの行動を振り返ってみると、私に友人以上の感情を持っていてくれていたんだと今更ながらに実感をしました。私は恋心、恋愛感情というものをすっかり忘れていました。私は前世で光明さんに出会い恋をしました・・・。私が恋愛をしたのは彼と出会い、彼が亡くなるまでの3年間だけ。彼と出会ったのは戦時中で一緒に過ごした時間もあまりありませんでしたが、私は戦地から届く彼の手紙に胸をときめかせていました。(手紙の内容は身重の私と娘を気遣う内容しか書かれていませんでしたが。)彼が亡くなったのは終戦のひと月前。戦死の知らせが届いてから私は子供を育てるのに必死で働きました。恋や愛だとか考える余裕もありませんでした。(主人が天国から私を見守ってくれていると思うと不思議なことに頑張れました。でもその主人の顔はもう思い出せないんですけどね。)

「はぁ~。」

何で今更気が付いたのでしょうか。・・・でも今更です。私自身、恋愛感情をすっかり忘れていたとはいえ、あきちゃんの行動にドキドキしていたことも思い出しました。これも今更です。それによくよく考えても、100年+16年も生きてきたおばあちゃんが恋愛なんてね・・・。もう忘れましょう。私には前世で出会った光明さんがいるんですもの。こちらの世界の光明さん(あきちゃん)は第二皇子で身分も年齢も違う。(私は116歳ですから。)これまで仲良くしていたこと自体がおかしいんですからね。さっ。頭を切り替えましょう。私は私のやるべきことをしよう。そう自分に言い聞かせながら。私は試作品のチェックを続けました。

登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

平川環→セイコウ出版社の社長。敏光の姉(フジの妹)。ナヲの伯母。

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

三木さん→皇居の女中頭

井沢団長→近衛騎士団団長

鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事

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