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310.親離れ(あきちゃん視点⑭)

「角様、診察室へお入りください。」

看護師に呼ばれて私は警備員と共に診察室に入り、丸椅子に座った。医師は書類に目を通すと、

「検査の結果は異常ありません。打ち身が数か所ありますので湿布を出しておきますね。帰りに薬局に寄ってください。」

「わかりました。」

私は診察室から出ると警備員と共に薬局に向かった。窓口に処方箋を出すと、

「しばらくお待ちください。

と言って湿布薬を二袋持ってきた。支払いを済ませ時計を見ると、11時半を少し過ぎていた。この病院はナヲちゃんが入院している。私は警備員と共にナヲちゃんが入院している外科病棟に向かった。病棟の窓口で面会者名簿を書こうとすると、正ちゃん、一ノ瀬君の名前があった。私は名簿に名前を書くとナヲちゃんの病室に向かった。いざナヲちゃんに会おうとすると勇気が出ない。私が扉の前で立ち尽くしていると、警備員は

「どうなさいましたか?」

と尋ねた。私は

「いや、何でもない。申し訳ないがここで待っていてくれないか?」

「承知いたしました。」

警備員はそういうと後ろに下がって廊下の壁を背にしてこちらを見ている。

もう一度勇気を出して(扉を)ノックしようとすると、扉が開いた。看護師が出てきて

「小南さんの面会の方ですか?中にお声掛けしましょうか?」

「あ、いや・・・。」

私は急な出来事に戸惑っていると、又、看護師が

「小南さんにご用ですか?」

と尋ねた。その時

「あきちゃん・・・。」

私が今一番会いたくて、一番会いたくない人が私の名前を呼んだ。すると看護師は

「小南さんのお知り合いだったんですね。面会の方は中にお入りください。小南さんも寝ててください。」

と言いながら、私をベッドサイドの丸椅子へ、ナヲちゃんをベッドに誘導した。ナヲちゃんにひどいことをした私がここにいると(ナヲちゃんは)ゆっくり療養もできないだろう。私は

「私と二人きりになるの嫌でしょ・・・。道場のこともあるし・・・。」

「え?あぁ。」

ナヲちゃんは今思い出したかのような反応をした。そして急にナヲちゃんの表情が戸惑っているような表情に変わった。・・・え?ナヲちゃん、もしかして道場のこと忘れていた?しかし私は自分のしでかしたことに責任をとらなければならない。そしてナヲちゃんのことはきっぱりあきらめて第二皇子として生きていく。これが私なりのけじめのつけ方だ。私は立ち上がると

「ナヲちゃんの顔を見て一言お礼を言いたかっただけなんだ。これまでいろいろありがとう。」

と言って私は頭を下げた。そして

「ゆっくり休んでね。じゃあ。」

と言ってナヲちゃんに背を向けそのまま部屋を出た。ナヲちゃんの病室を出た瞬間涙が流れた。

登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

三木さん→皇居の女中頭

井沢団長→近衛騎士団団長

鶴崎→光枝(花ちゃん)の専属執事

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