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302.親離れ(あきちゃん視点⑥)

 絶え間なく降り注ぐ幽魔を切り続けてきたナヲちゃんに疲れが出たのかとても苦しそうにしている。ナヲちゃんの動きのキレも先ほどより落ちてきたようだ。その時

「正次朗に兄さーーーーーん。どこにいますかーーーーーー。ナヲはここです!!早く来て下さーーーーい!」

とナヲちゃんが叫んだ。もう、ナヲちゃんは限界だ。体も心も、一ノ瀬君が止めても私は行く。私が刀の鯉口を切り飛び出そうとしたその時、正ちゃんと大川さんがナヲちゃんを助けに来てくれた。よかった、これで助かった。幽魔はまだ降り注いでいて殲滅したわけではないが、私はそう思った。


 私の予想通りナヲちゃんと正ちゃんと大川さんのおかげで幽魔をせん滅することができた。よかった、ナヲちゃん。無事でよかった・・・。私はナヲちゃんのもとへ駆け出したその時、ナヲちゃんは大川さんに抱きしめられた。・・・・え。大川さんはナヲちゃんの頭を撫でている。私はこの瞬間に体から何かが抜け落ちたような感覚になった。


「光明様、行きましょう。」

大川団長をおんぶした一ノ瀬君に促されナヲちゃんたちのもとに向かった。さっきはあれほどナヲちゃんのもとに行きたかったのに、今は足が鉛のように重くなって動かない。

「光明様。みんな待っていますよ。」

私は一ノ瀬君に促されてとぼとぼ歩き始めた。そういえば大川さんは平民だったな。この二人を遮る身分の壁はない。2人が望めば結婚だって・・・。ナヲちゃんは貴族になる気はない。私はナヲちゃんに振り向いてもらえなかった・・。

  

 パシッ!

いたっ!!え!何!?正ちゃんに頭をたたかれ呆気に取られていると

「おいしっかりしろ!!」

正ちゃんに言われて私は我に返った。

「あきちゃんがナヲをここまで連れてきてくれたんだろ。ありがとうな。」

と言って頭を撫でてくれました。正ちゃん。ごめん。目が覚めたよ。私が今やることは、兄様を助けることだ。私は気合を入れなおしみんなと共に満月に向かった

登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

三木さん→皇居の女中頭

井沢団長→近衛騎士団団長

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