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289.親離れ㊶

「みんな、ご苦労だった。そしてありがとう。心から礼を言わせてもらう。」

皇太子殿下は私たちに頭を下げました。それからあきちゃんと大川さんが皇太子殿下にこれまでのいきさつを説明しました。

「そうか。ではこれからあの光の柱を目指すんだね。わかった。みんなの準備が整い次第向かおう。」


 私は準備を整えようとしますがやはり足に力が入りません。一人でもがいていると、あきちゃんがやって来て

「私が又おんぶするから、無理しないで。」

「あきちゃん。ありがとう。」


「じゃあ、出発しよう。」

皇太子殿下が私たちに声をかけると、私たちは光の柱を目指して歩きはじめました。兄さんと大川さんが周りを警戒しながら進みます。今幽魔が攻めてきたらと不安な気持ちを抱えながら私も周りを警戒します。背中できょろきょろしている私に気が付いたあきちゃんが

「大丈夫。幽魔が攻めてきたときは、一生懸命逃げるから安心して。」

と言います。

「その時は私を置いてあきちゃんだけ逃げて、そうしないと二人とも幽魔にやられてしまうから。」

「そんなことは絶対にしない。ナヲちゃんを置いて逃げるくらいなら一緒に幽魔にやられることを選ぶよ。」

とあきちゃんは言うと、にこりと笑いました。




 10分くらいたった頃、光の柱に到着しました。光の中にある社は壁に穴が開き天井も落ちています。今にも崩れ落ちそうな社の壁際に白鞘が転がっています。私たちは社に振動を与えないように慎重に進みます。皇太子殿下が白鞘を拾ったとたん、辺りは一瞬暗くなり、ぴかーーーーっと光りました。私はこの光を浴びたとたん家庭科室に帰れるとほっとしました。


 

 ドスン!!

あきちゃんはうつ伏せ状態で私の下敷きになっています。

「いたたた。なをちゃん平気。」

その時

「光明さま、ナヲ様ご無事でしたか。」

騎士団の方が駆け付けます。周りを見回すと、ケガをした井沢団長は担架に乗せられて家庭科室を出ていくところでした。よかった。無事に戻って来られた。

「私は大丈夫だ。それより彼女を。」

「承知いたしました。」

わたしも担架に乗せられ、家庭科室を出て階段を降りていきます。私はその時、八咫烏の事を思い出しました。私が皇太子殿下から離れると、(皇太子殿下の体から)八咫烏が出てきてしまいます。八咫烏の事はごく一部の人しか知らないトップシークレットなのに。

「待ってください。戻ってください!」

私の慌てように担架を持った騎士団の方々が驚き急いで家庭科室に戻ってくれました。

「ナヲさん。」

皇太子殿下は、戻って来た私に気がつき、私の元に来ると耳元で

「今まで迷惑をかけたね。あの世界で私と八咫烏は完全に一つになれたんだ。だからナヲちゃんは治療に専念して。後で私も向かうから。」

と言って寝ている私を撫でると、

「彼女を頼んだよ。」

と担架も持った騎士団の方々に声をかけました。


 私は病院へ行き、医師の治療を受け2、3日の入院が決まりました。




登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

三木さん→皇居の女中頭

井沢団長→近衛騎士団団長

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