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275.親離れ㉗

 皇太子殿下は双剣(二刀流)ではなく竹刀一本で試合をするのは不利じゃないかしら?短い竹刀を使って二刀流で戦えばいいのに。そんなことを思っていたらあきちゃんと皇太子殿下は中央に立つとお互いに礼をしてから構えました。

 審判の井沢団長が

「はじめ!」

と言ったとたん、あきちゃんが飛び出し激しく攻めていきます。その攻撃を皇太子殿下は受け続けています。一見、皇太子殿下が不利な様に見えますが、あきちゃんの攻撃はすべて防がれています。反撃の機会を待っているのか、体力を温存しているのかわかりませんが、あきちゃんは皇太子殿下のペースにはまっているように見えます。3分くらい経過したとき、皇太子殿下はあきちゃんが打ってきた面を避けて胴に1本入れて勝利しました。皇太子殿下は涼しい顔で息一つ切らさずに戻って来ました。

「お見事でした。」

とお伝えすると、皇太子殿下は

「ありがとう。」

と言って私の隣に座りました。あきちゃんも戻って来て

「兄さまは強いな。私は毎日練習をしていたのに久しぶりに練習に参加した兄さんに何で勝てないんだよ。悔しいな。」

と言って皇太子殿下の隣に座りました。その時、私は井沢団長に呼ばれました。

「ナヲちゃん出番だよ。頑張ってね。」

とあきちゃんが言うと、皇太子殿下も

「井沢団長は強いよ。」

と言って送り出してくれました。井沢団長は

「神力を使うと明日の戦いに支障が出るからお互い使わないようにしましょう。」

とおっしゃいました。井沢団長も神力を使われるんですね。 

 

 私と井沢団長は中央に出て一礼をしました。騎士団の方が審判をしてくださるようです。みんなが私たちに注目していることに緊張してきました。

「はじめ!」

 その時、井沢団長が私の間合いに猛スピードで入ってきました。私はそれを紙一重で避け脛に一発打ち込もうと竹刀思いっきり振りましたが井沢団長簡単に避けられてしまいました。井沢団長は

「やりますね。」

とにやりと笑うと今度は小手を打ち込みながら蹴りを出してきました。私はそれを竹刀で受けて、その瞬間回し蹴りをしました。この蹴りは空を切り、井沢団長が体当たりをしてきました。私はその攻撃を壁を蹴って上に飛び上がって避けました。私たちは一進一退の攻防を繰り広げましたが、

「そこまで!」

と言う審判の声に動きを止めお互いに礼をしました。


 井沢団長が私のもとにやって来て

「ありがとうございました。」

と頭を下げます。私は

「こちらこそありがとうございました。」

とお礼を言うと、井沢団長は

「ナヲさんはお強い。しかし、時折捨て身で戦おうとされているように見受けられます。この行為は戦場では命取りになってしまいます。まずは自身の身の安全を守ることが大切なんです。明日はくれぐれも無理をなされないようにしてください。」

とおっしゃいました。

「わかりました。ご助言ありがとうございました。」

登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

三木さん→皇居の女中頭

井沢団長→近衛騎士団団長

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