273.親離れ㉕
その後、ベッドサイド寝巻きのまま食事をしました。あきちゃんはもう少し寝ていようと言いましたが、これ以上あきちゃんとまったりしていたら明日の戦いに支障が出てしまうと思ったのて、それは丁重に断り着替えをしました。(着替えをした時はあきちゃんと別でしたよ。)
私は自分のスペースから出て公務をしている皇太子殿下と浜田さんに挨拶をしました。
「おはようございます。」
すると、皇太子殿下と浜田さんはあいさつを返されました。そして皇太子殿下は、
「ゆっくり休めたかい?」
と言ってニッコリと微笑みました。私は申し訳ない気持ちになって
「申し訳ありませんでした。・・・私、あき」
と言いかけたところで
「ナヲちゃんも光明も何も謝るようなことはしていないよ。謝らないで。ごめんね、急な仕事が入ったから午前中はこの部屋にいてね。それと11時頃までにナヲちゃんの刀が届くから。」
と言って仕事を再開されました。私は自分のスペースに戻り編みかけのセーターを編むことにしました。・・・そしてその隣には本を読んでいるあきちゃんがいます。あきちゃんが私のスペースに来て隣にいることに何の疑問も持たなくなっている私も大概だなと思ってしまいました。
10時半を過ぎた頃浜田さんに大川さんがいらっしゃったと呼ばれた私は皇太子殿下と応接室に向かいました。
応接室で待っていたのは大川さんのお父様でした。
「おはようございます。刀、お待たせしてすみませんでした。」
と頭を下げると、皇太子殿下は
「いや、問題ありません。わざわざこちらにまで来てくださりありがとうございます。」
とお礼を言いました。
大川さんのお父様が刀を取り出しました。
「古くなった柄糸を巻き直して、左手の指がかかり易いように鞘のここに指をかける突起をつけました。昨日中に仕上げてお渡ししたかったのですが、間に合わず申し訳ありませんでした。ナヲさんちょっと構えてくれるかい?」
と言って私に刀を渡しました。私はそれを受け取りました。巻き直していただいた柄糸は赤い糸で篠巻きにしていただいて、黒の鞘にとても似合います。左手の人差し指を突起にかけて抜刀すれば傷口が突っ張ったりもしません。私は中段に構えました。昨日試し切りをした時よりも手になじみます。これがあれば戦えます。
「ありがとうございます。この刀、一生大事にします。」
とお礼を言うと、
「大事に使わなくていいんですよ。この刀で思いっきり戦ってください。刃こぼれをしたり、曲がったりしたらいつでも持ってきてください。刀は使ってなんぼですから。」
とおっしゃいました。
それから、大川さんのお父様は仕事が残っているからと帰られました。私は明日の戦いに向けて体を動かしておきたいと、皇太子殿下に
「明日のために体を動かしておきたいのですが、殿下の御都合の良い時で構いませんので、ご一緒いただけますか?」
と尋ねると、皇太子殿下は
「みっちゃんって呼んでよ。はい、もう一回。」
と言うので私は
「みっちゃん、ご都合の良い時間体を動かしたいので・・・。」
「今からいいよ。」
と私が全部言い終わる前に皇太子殿下は返事を下さいました。
「僕も昨夜久しぶりに刀を握ったんだ。5年ぶり・・・?!だから、ナヲちゃんに怪我をしない程度に鍛えてもらいたいんだよ。」
とおっしゃいました。
「わかりました。よろしくお願いします。」




