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261.親離れ⑬

「いつまで抱き合ってんの?」

と言う兄の声に私とあきちゃんは慌てて距離をとりました。父は私の手を引いて自分の隣に引き寄せると、

「もう起きて大丈夫か?」

と尋ねました。

「はい。大丈夫です。」

と答えると、

「今先生と話をしたんだけど疲労と貧血だって。あとで先生が薬を持ってきてくれるって。とにかく休養をとるようにとのことだったよ。ついでに手の傷の処置もしてもらってるから。順調に治ってるって。ただ、傷口が開くから激しい運動はしないようにって。」

と父が私の診察結果を伝えると、立て続けに

「そのうえで、聞くけれど、社の世界にはナヲは行くのかい?」

とゆっくりとした口調で私に尋ねました。私は

「はい。」

と答えました。するとあきちゃんが

「何で?さっきナヲちゃんは倒れたんだよ。体調が万全ではないでしょ・・・。無理をしなくてもいいんだよ。」

と言いました。



「日本はこの戦争に負ける・・・。僕はお国のために戦うんじゃない。私は愛するナヲさんと子供たちを守るために行くんだ・・・。・・・子供たちを頼んだよ・・・。・・無理をして笑わなくていいよ・・・。ナヲさんはナヲさんらしく思うままに生きて・・・。忘れていた前世の記憶が頭の中に流れ込んできます。・・・私の思うまま。・・・私は誰のために戦いたいの?・・・あの時光明さん((23.始業式の回参照)前世の主人の名前は偶然にもあきちゃんと同じ名前だったんです。)は私たちのために戦ってくれたのよね。・・・今の私も大好きな人たちを守りたい。だから社の世界に行きたい。だから私が戦う理由はそれでいい。


 私は

「行きます。私は私の意志で戦います。だからこれから騎士団の大川さんの工房に連絡を入れてもらえますか?皇太子権限で私と兄の武器と防具を至急で作ってもらえないか交渉してもらえませんか?」

と王定子殿下にお願いすると、

「わかった。」

と言って警備員の方を呼び耳打ちをしました。するとあきちゃんが

「なをちゃん、何で・・・。」

と尋ねます。私は

「私がみんなを守りたいって思ったから行くんです。私は怪我をしていますが、あきちゃんと、一ノ瀬さん、皇太子殿下よりは強い自信はあります。それだけの理由です。質問、反論は受け付けません。」

と力強く答えました。


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