254.親離れ⑥
「ごめん。私茶道部の打ち合わせがあるの忘れてた。ごめんなさい九条君。佐藤さんと中村さんと先にお昼食べて。春日君は茶道部に入部したばかりで悪いんだけど会議に参加してね。」
と九条君に伝えると、
「わかった。お疲れ。」
と答えました。そして富さんは私とみっちゃんに
「角様と一ノ瀬君にも茶道室に来るように伝えて。かえでさん、信くん、隆くんは先にお茶室に行ってて。私はカギをとってくる。」
と言って私にウインクをしました。富さん、さっきの星の先輩の話を聞いて色々察してくれたようです。富さんは本当に頼りになります。
私と皇太子殿下がA組によると、皇太子殿下を見たA組の女子たちが
「キャー。」
と悲鳴を上げました。皇太子殿下は女子たちに笑顔で応えています。皇太子殿下はこの状況を楽しんでいるようです。そんなことよりあきちゃん達を呼ばなきゃ。と思ったら、あきちゃんと一ノ瀬さんがやって来ました。美少年(青年も含む)の共演にA組の女子たちに興味深々で、何を話すかこちらを見つめています。私は
「茶道部の打ち合わせがあるから、これからお茶室に来てもらえますか?お弁当も持ってきてください。」
と伝えると、あきちゃんは
「わかった。」
と言って、あきちゃんと一ノ瀬さんはお弁当を取りに行きました。そして私たちは茶道室に向かいました。私たちが通るたびに廊下にいる女子生徒たちの悲鳴が聞こえます。そのたびに皇太子殿下が調子に乗って手を振ったり、ウインクをしたりするので(廊下を歩いているだけなのに)ちょっとした騒ぎになりました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭




