24.2.3.4時間目
2、3時間目が体育だったので、私達は体操服を教室に取りに行きそれから体育館にの更衣室に向かいました。
体育館があるのは3号棟です。3号棟の1階が体育館と更衣室、2階が武道場(柔道場と剣道場)、3階が講堂です。教室がある2号棟から体育館に向かっていると、講堂から戻ってくるクラスメイトが、「皇子は1年生でA組に入られる」という情報を教えてくれました。2時間目が始まる時間になっても半分くらいの生徒しか集まっていません。貴族のほとんどがまだ講堂にいるのでしょうか?今日は先生もいらっしゃっていません。体育館に集まっていたクラスメイトだけで準備体操をし、バドミントンやバスケットボール、卓球などをしながら待っていますと、20分遅れで先生や生徒がやってきました。
「今日はこのまま好きな競技をやっていてくれ・・・。」
先生は疲れ果てた顔でそうおっしゃると、椅子に座り体育館に座り遠くを見ていました。
「皇子が転校して来ると、先生方も忙しくなるのかな?」
「さぁ。多分、生徒たちが皇子から離れなかったんじゃないかな。」
信くんと隆くんが話をしているのを聞いて、前世のアイドルを思い出しました。角様のお顔はよく見えなかったけど、すごく美形でいらっしゃるらしいし。始業式の後の講堂でははアイドルの握手会状態になっていたんじゃないかな?などと想像しました。皇子様に何かあったら大変ですからね。いくら警備員の方がいらっしゃっても先生方も何もしないわけにはいかないですもんね。皇子に何かあっては責任問題になりますから。
今日の2.3時間目の体育は自習状態で終わり、着替えて教室に戻ろうとすると、A組の前はまだ人だかりが。先生と警備員の方が生徒を並ばせていました。富さん曰く、順番にあいさつをしてるんだろうとの事でした。暫くの間、皇子の所には業間休みや昼休みの度に生徒が集まるのでしょうね。
そんな事を考えながら4時間目の化学の授業を受けました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。強柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲの幼馴染。