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23.始業式

 私たちは教室に戻りました。1時間目は始業式。ゆずちゃんが言っていたように講堂にはいつもより多くの警備員さんがいらっしゃいます。

「何事かしらね?」

かえでさんが私に耳打ちをします。

「さっき上級生が今日、お偉いさんの子が転校してくるってトイレで騒いでたぜ。」

「じゃあ、政府の要職のご子息ってとこかしらね?ただの貴族だったらこんなにものものしい警備体制にはならないもの。」

と信くんと富さん。

私たちは式が始まるまで、色々予想をしていると、始業式が始まりました。





「最後に、先日まで海外留学をされていらっしゃいました、日之本帝国第二皇子、かく光明みつあき様が2学期よりこの学校で学ばれることになりました。角様あいさつをお願いします。」


第二皇子の名前は『光明』様っていうのね。前世で私が愛した主人と同じ名前なんですね。前世では『光明』さんって名前の人は私たちと同世代や子供たちの世代にはよくいらっしゃいましたが、孫やひ孫の時にはほとんどいらっしゃらなかったですね。孫の授業参観の時に校内の掲示物に『○○光明』と名前を見つけたことは一度か二度ありましたが。ひ孫の授業参観ではもう『光明』という名前は見なかったですね。ひ孫の幼稚園の参観に行った時に体操服のゼッケンの名前がおしゃれすぎて驚きました。「これがキラキラネームなのね。」と実感しました。この世界に来てからはまだ『光明』さんに会っていませんでしたね。


 そんなことを考えていると、

「角光明です。よろしくお願いします。学校では身分関係なく、皆と切磋琢磨しながら学び、楽しく学園生活を送りたいと思っています。みなさん、よろしくお願いします。」

周りの女生徒たちは

「素敵過ぎる。」

「美しい。」

「もう結婚のお相手はいるのかしら?」

など皇子を讃えるヒソヒソ話が聞こえてきます。(私にこうやって聞こえてるくらいですから女生徒ほぼ全員が同じようなことを話しているんでしょうね。)


「あー。メガネ教室に忘れてきたしまいました。」

「ナヲ!こんな男前を前に何やってんのよ!」

かえでさんは呆れています。

「だって始業式って、いつもは先生方の長い話だけだからメガネは必要ないでしょ。」

「これまで、社交会やダンスパーティーにもいらっしゃったことないのよ。私、初めて拝見したわ。」

と富さん。

「俺も第一皇子や、第一皇女は見かけたことあるけど。俺も初めて拝見したよ。」

と信くん。

「皇族の方がいらっしゃったからこんなにものものしい警備をしてるのね。帰りに周南堂によってゆずちゃんに教えてあげましょ。」 

「私も周南堂寄る!」

「私も部活で使うお菓子の相談に行きたいと思ってたの。」

「俺、今日も部活ー。むーりー。」

「信の分まで俺が食べておくから。」

全校生徒が皇子にざわついている中、私達4人は、帰りに周南堂へ行くことが決まりました。



 式が終わり壇上前には人だかりができています。

「皇子と繋がりができれば、家の立場も良くなると考えてるんだろーな。」

「何かお貴族様って大変ね。家のために動かなきゃいけないなんて。」

「信くんと富ちゃんは行かなくていいの?」

「俺たちはいいよ。王子様の前で粗相をしたらそれこそ大変だろ。特に富はそそっかしいから。」

「失礼ね。でもそれはそう。私の失敗が家族に迷惑をかける可能性があるもの。」

「触らぬ神に祟りなし。ってことかしらね。」

私たちはこんな話をしながらいそいそと教室に戻った。



登場人物

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆く→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

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