229.八咫烏㉛
「んん~ん。」
私は大きく伸びをすると、時計の針は9時48分を指していました。
「お疲れ様。」
振り返ると私のベッドに又あきちゃんが寝っ転がっていました。
「きゃっ!いつからここにいたんですか?」
びっくりしてしまい少し大きめの声が出てしまいました。すると皇太子殿下と浜田さんがやって来て、
「光明様。ここで何を?」
「光明、ここはナヲちゃんのベッドだよね。」
と浜田さんと皇太子殿下に問い詰められています。
「ここでナヲちゃんが終わるのを本を読みながら待っていただけだよ。」
と答えました。私は
「光明様、何か私に用があったのですか?声をかけていただいても良かったんですけど。」
と伝えると、
「もういいよ。」
と言って私のスペースから出ていきました。
「申し訳ありません。公務をしておりまして光明様がナヲ様のスペースに入られたことに気が付きませんでした。」
「ごめんね。今週の仕事、ここでできるものはすべて終わらせようと思ってね。つい仕事に熱中して。」
「大丈夫ですよ。私こそ驚いたとはいえ夜中に大きな声を出してしまい申し訳ありませんでした。」
と謝罪しました。すると皇太子殿下も
「いや、誰だってびっくりするよ。ごめんね。」
と私に謝罪をされました。
「ナヲ様も私たちも、ちょうどひと段落致しましたしお茶でもお入れしましょう。光明様にもお声掛けをしてきますね。」
と言って浜田さんは私のスペースから出ていきました。私は皇太子殿下に
「あきちゃんとゆっくり話せましたか?」
と伺うと、
「そこそこに話せたよ。」
と楽しそうにおっしゃいました。そして、
「あ、英語の勉強をしていたんだね。見せて。」
「懐かしいな、あ。明日から私も一緒に勉強するんだったね。楽しみだな。あ。そうそう。ちょっと待っててね。」
と言って私のスペースから出ていくと、
「お待たせ。」
と言って浜田さんと戻ってこられました。皇太子殿下は
「これはナヲちゃんの新しい制服。この前汚れてしまったでしょ。これ使って。」
制服を渡しました。
「ありがとうございます。大切に使います。」
とお伝えすると、
「うん。さっお茶にしよ。光明はいらないってさ。」
後書き
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
皇帝陛下→角高順 光明の父。
皇后様→角優花 光明の母。
皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)
角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
星野由美子→天文部、部長。
一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主
一ノ瀬サツキ→類の母
一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務
浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事
三木さん→皇居の女中頭




