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222.八咫烏㉔

「ナヲちゃん。おはよう。」

勉強をしていたらいつのまにか夕方になっていました。あきちゃんは、

「ご飯を食べ始めたのが1時半過ぎ、2時になっていたっけ?ご飯食べて今まで熟睡してた。」 

と言って目を擦りながらやってきました。時計を見ると5時。皇太子殿下と浜田さんはまだ仕事をしていらっしゃいます。あきちゃんは私のベッドに腰掛けるとゴロっと横になり又そのまま寝てしまいました。私は先程まであきちゃんが寝ていたソファーに毛布を取りに行くとそつとあきちゃんにかけました。するとあきちゃんは私の手を掴んで引き寄せると

「これからよろしくね。」

と言ってニコリと微笑みました。私は驚いて声を出しそうになりましたがなんとか堪えることができました。そして皇太子殿下の仕事の邪魔にならないように小さな声で

「あきちゃん、誰かに見られたら誤解をされるような行動は取らないで下さい!」

と注意をすると、

「これからしばらく一緒に暮らせるんだよ。嬉しくないの?」

とあきちゃんが私に尋ねます。

「嬉しいですけど・・・。」

「けど何?」

「落ち着きません。」

と言うと、

「なんで?」

「なんでと言われましても・・・。」

と返事に困っていると、

「仕方ない。見逃してあげよう。」

と言って布団に入り寝てしまいました。


 あきちゃんが寝てしまい、勉強もひと段落していたので、あきちゃんに頼まれているセーターを編むことにしました。あきちゃんと商店街デートをした時に買った紺色の毛糸と編み棒を出し、編み始めました。あきちゃんがんが寝ている間に作らないと、編んでいるところを見たらいつできるのか、早く作ってなど催促されそうなので・・・。ただ左手に包帯を巻いていて手を動かすと傷口が引っ張られて痛みます。でも治るまで待っていたら今年の冬には間に合いそうにはありませんからここは根性で編みます。

「ナヲちゃん。ナヲちゃん。ちょっといい?」

皇太子殿下に声をかけられびっくりして振り返ると、

「びっくりさせてごめんね。ナヲちゃん、夕飯の前にお風呂に入りたいんだけど。いいかな?」

時計を見ると6時を少し過ぎていました。私は皇太子殿下についていくと、部屋の端にあるお風呂場に案内されました。

「ここがお風呂場。脱衣所にパーテーションを置いたからここで浜田と待っていてくれるかい?」

「わかりました。」

「じゃあこれから服を脱ぐから。」

「皇太子殿下、実況していただかなくても大丈夫ですよ。」

とお伝えすると

「ナヲちゃんの声が聞こえている方が八咫烏が安心すると思って。それと私のことはなんて呼ぶんだっけ?」

と皇太子殿下がおっしゃったので、

「え?ここには浜田さんがいらっしゃいますよ。」

とお伝えすると、

「私のことは気にしないでください。」

と浜田さんがおっしゃいました。

「承知しました。」

皇太子殿下に伝えますと、

「今日は体調がいいから湯船にゆっくりつかるとしようかな。うわー。気持ちいい。ナヲちゃんも一緒に入るかい?」

と笑いながら冗談をおっしゃいました。久々に湯船につかり嬉しいのでしょうね。私は、

「一緒に入りたいのは山々ですが、ご遠慮いたします。」

と言ってお断りをしました。すると、

「ナヲちゃんは、兄さまと一緒にお風呂に入りたいの?」

あきちゃんが扉を少し開け、部屋から脱衣所を見ていました。あきちゃんはなんだか怒っています。

後書き

登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

皇帝陛下→角高順 光明の父。

皇后様→角優花 光明の母。

皇太子殿下→角光輝 光明の兄。(みっちゃん)

角光枝→角光明の姉。(花ちゃん)

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

星野由美子→天文部、部長。

一ノ瀬雄太郎→類の祖父、八咫神神社神主

一ノ瀬サツキ→類の母

一ノ瀬勇→類の父、神祇省勤務

浜田さん→皇太子殿下角輝光の専属執事

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