177.夜の学校⑬
私達はあきちゃんの座り込んでいる場所に行くと、
「角様、角様?!」
「角様!無事ですか?」
2人で声をかけると、ぼんやりしているあきちゃんが、
「ん、ナヲちゃんおはよ。」
と私の頬にキスをしました。
「え?!あきちゃん?」
「な、なななにを!?」
私と一ノ瀬さんが慌てていると、あきちゃんが正気になったようで、
「あれ?ここは?」
と辺りを見回します。一ノ瀬さんは
「角様?気がつきましたか、体に異変はありませんか?」
と尋ねていると急にあきちゃんの顔が真っ青になり、
「ナヲちゃんどうしたの左腕真っ赤だよ?」
と私にすごい勢いで尋ねてきます。
「あぁ、ちょっと怪我をして。それよりあきちゃん無事なんですね?」
と念を押すと、
「ちょっとってブラウスの袖が血だらけじゃないか?何があったの?」
「角様、後できちんと説明します。私達はまず角様の無事が知りたいのです。」
と言う一ノ瀬さん圧に
「ああ。どこも問題はない。痛みも不調もない。大丈夫だ。」
と答えました。
「それで、ナヲちゃんの怪我は?何で血だらけなんだ?どういう状況なんだ?」
と言うあきちゃんの問いに対して、私たちはこれまでのことを説明しました。すると、
「すまない。私のせいでナヲちゃんに怪我を。迷惑をかけないって約束したのに。」
あきちゃん涙目になって震えます。
「角様のせいではないですよ。私が未熟だったからけがをした。ただそれだけです。」
「でも・・・。」
あきちゃんが動揺しているので落ち着かせようと、
「あきちゃん見てください。一発芸をします。せんせーい!わかりませーん。」
と止血をするために上げている手を使って冗談を言ったのですが、ちっともウケません。私まで泣きたくなり落ち込むと、
「小南さんまで何をやっているのですか?!」
と一ノ瀬さんに注意をされてしまいました。
動揺するあきちゃんに一ノ瀬さんは、
「角様もしっかりしてください。小南さんがこの傷のせいで婚姻に支障が出た時は、角様が小南さんを嫁にもらって責任を取ればいいって話なだけでしょ。」
「え?!そうなの?ナヲちゃん、それでいいの?」
「はい。その時はお願いします。だから大丈夫です。」
するとあきちゃんは急に元気になって、
「本当に、僕がもらっていいんだね。」
「一ノ瀬くん聞いたよね!君が証人だからね!」
「はい。その時は、うちの神社できっちり仕切らせていただきます。」




