175.夜の学校⑪
あきちゃんについていくと少しづつあたりが明るくなってきました。それでも満月の夜程度の明るさしかありません。しばらく歩くと小さな鳥居が現れました。あきちゃんは歩みを止めました。私はあきちゃんを一ノ瀬さんに頼み辺りを確認します。鳥居は下の方が腐って傾いています。その奥に小さな社があります。ん?私は何か嫌な気配を感じました。身体中に鳥肌が・・・。
「一ノ瀬さん何かいます。角様を頼みます。」
「わかった。」
私は目を凝らしてよく見ると社の前に何かもやっとした塊が見えました。大きさは直径2メートル弱くらいでしょうか?その塊は細くなって楕円になったり円になったり、ゆらゆら揺れたりしています。そして一瞬半分位に縮み、こちらにむかって飛んできました。私は、
「角様をお願い。」
と叫びながら、私は家庭科室から持ってきたほうきに神力を込め、塊のもとに飛び出しました。自分の間合いに塊が入った瞬間袈裟斬りで叩き切りました。見た目よりも弾力があります。仕留めたか?!切った半分は消滅しましたが、もう半分は社の方に跳ね返りました。塊は小さくなりましたが、先程の衝撃でほうきが折れてしまったので、このほうきで戦わなくてはなりません。このほうきで私は二人を守り切れるのでしょうか。私は折れて50〜60センチくらいになったほうきを片手に持ち構えます。幸運なことに私の1メートルくらい先に折れたほうきでが落ちています。塊から目を離さぬようにゆっくりほうきに近づくと、ほうき拾いました。これで何とか戦えそうです。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
星野由美子→天文部、部長。




