168.夜の学校④
「面白くなってきたねー。」
「面白いってかえでさん。天文部のみなさん困っていらしゃっるのに。」
「私も不謹慎かもしれませんがちょっとわくわくしています。」
「富さんまで。」
「ごめんなさい。でもナヲさんも気になりませんか?音の正体。」
「かえでさんはともかく富さんまで今日はどうしたんですか?」
と私が訪ねると、
「富は昔から怪談とか妖怪とか都市伝説とか好きだよな。」
「信くんそれ初耳です。」
「私も。」
「そうか?ナヲとかえでは高等教育学校からの付き合いだから知らないか。昔から富はそんな話が好きでさ。富の部屋にはその手の本が山ほどあるぜ、それにお祭りでお化け屋敷が来ると毎回行ってたもんな。文化祭のA組のお化け屋敷は委員の仕事が忙しくて行けなかったって残念がっていたもんな。」
「文化祭のお化け屋敷は行けなくて残念だったけど、それはそれ。学校内で起こっているこの怪奇現象で困っている人たちがいるのよ解決するしかないじゃない!」
富さんは、何かに取りつかれているのでは?と思うほどにいつもとキャラが違います。私は、ふと、かえでさんがお化の類が嫌いであることを思い出し、
「かえでさんはお化け屋敷とか苦手でしょ。さっきからノリノリですけど大丈夫なの?」
と尋ねました。すると、
「だってお化けだったらどこどこで何かがでたー!とか女のすすり泣く声がー!とか学校中の噂になっているはずでしょ。ナヲの茶道部での噂だってあんなことになってるし。だから、今回の件はお化け、幽霊の類ではないとにらんでいるの。お化けとか幽霊でなければ怖くないし。むしろ好奇心の方が勝るかしら。」
と元気いっぱいに答えました。すると中村さんは、
「私は得体が知れない何かの方が怖いですけど・・・。」
と遠い目をしてつぶやきました。私もその意見に賛成です。
「この話、俺は興味あるけど今日の放課後は出版社のバイトがあるからパス。」
「私も怖いから、パスで。すみません。」
と隆くんと中村さんが言うと、
「俺たちも部活が終わって片づけたり着替えたりしてると間に合わないから今回は遠慮するよ。」
「九条さんと佐藤さんも参加されないんですね。残念です。」
と富さんが答えました。そして富さんは
「信くんは?どうします?」
と尋ねると、
「ちょっと遅くなるかもしれないけど参加するよ7時に終わるから急いで着替えたら7時5分から7分くらいには北校舎に行けると思う。」
と信くんは答えました。すると富さんは嬉しそうに
「わかったわ。じゃあ、参加するのは、私と、ナヲさん、かえでさん、信くんね。」
と言いました。
私は富さんが楽しそうなので、天文部からの依頼を受けてよかったとなと思いました。
「なあ、それはそうと早く昼飯食べないと昼休み終わっちまうぜ。」
隆くんにそういわれ、私たちは急いで昼食をとりました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
星野由美子→天文部、部長。




