166.夜の学校②
「小南さん。私たちを助けてください。」
先輩方5人は私に頭を下げました。
「先輩方、頭を上げてください。どうされたんですか?」
すると先輩の1人が、
「私は天文部の部長をしている星野由美子と言います。私たちは毎日、夜7時に学校で天体観測をしているんですけど、文化祭ごろから時々変な物音が聞こえていたんです。文化祭期間だし置き方が悪いに大道具や荷物が落ちたのかなとか、思ったのですが、幽魔だったらいけないから先生にも伝えて警備員の見回りも強化してもらっていたんです。でも文化祭が終わったあとも音が続いて・・・。試験期間になってもその音が時々聞こえて・・・。うちの部は毎日決まった時間に星の記録をつけなくてはいけないから特例で試験期間でも部活をやってるんです。部活がないから6時には下校の放送があって、先生が見回りもして6時半には生徒は完全下校しているはずなんです。なのに音が聞こえて。警備員や先生の話では異常はなかったって。でも、音は聞こえるんです。先生や警備の方は風の音か何かだろうとおっしゃるのですが。それに、最近になって毎日のように聞こえるんです。でも私たちと天体観測している先生は音が聞こえるたびに警備員の方と見回りに行ってくださるのですがどこにも異常がないって。」
すると別の先輩は
「幽魔だったら被害が出てるはずだし、校内には不審な点はないって。実際に部活の間警備員さんの人数も増やしてもらっているし、先生も一緒にいるから大丈夫だって思うんだけど気持ち悪くて。それで、悪霊、鬼、怪物、幽魔退治のプロである小南さんに音の正体を突き止めてもらい退治してもらえないかと思って伺ったんです。」
と話すとみんな大爆笑。
「いつの間にナヲは退治のプロになったの?」
とかえでさんから質問されましたが、全く心当たりがありません。私は
「知りませんよ。」
と答えると、
「文化祭の時に茶道部に来た迷惑客を投げ飛ばしたって話に尾鰭がついて変な噂になったんじゃないか?」
と隆くんが言うと、星野先輩は、
「え?違うんですか?」
と私に尋ねた。
「ごめんなさい。私は退治のプロではないんです。だからこの件はお力になれそうにはありません。」
私は天文部の先輩方にそうお伝えしました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
星野由美子→天文部、部長。




