160.中間考査⑨
私たちがお茶室に着くとあきちゃんと一ノ瀬さんが待っていました。
「ごめんなさい。今鍵開けますね。」
と、富さんが鍵を開け、みんなが中に入るとあきちゃんが、
「新入部員の一ノ瀬くん。」
と富さんに伝えると、
「えー、入部してくれるんですか?」
と富さんが一ノ瀬さんに尋ねます。
「皆さんの勉強会に参加させてもらってとても楽しかったから。それと、私は幼いころからお茶を習っているから入部しようと。」
「一ノ瀬さん、入部してくださってありがとうございます。」
と富さんは深々と頭を下げます。新しいメンバーも増えてこれから部活がもっと楽しくなりそうです。
「あ。水木さんこれ頂き物なんだけど。よかったらみんなで食べない?」
あのお菓子は商店街デートの時に食料品店のおばさんからいただいたお煎餅です。みんなで食べようと持ってきて下さったんですね。嬉しいです。
「よし、今日は中間試験の打ち上げお茶会だー!!!」
かえでさんがそう言うと、富さんは急須で人数分のお茶を入れてくれました。信くんは、2、3枚一気にお煎餅を取ると、道場に行きました。
「角様と、一ノ瀬さんは試験の出来はどんな感じです?」
と、かえでさんが尋ねると、
「私はまあまあかな。ナヲちゃんに教えてもらった漢文も8割はいけたと思う。そう思いたい。」
「私はいつも通りです。」
とあきちゃんと一ノ瀬さんは答えた。
「よかったー。あきちゃん漢文8割くらいできたんですね。」
「ナヲちゃんが教えてくれたおかげだよ。」
「いいえ、あきちゃんが頑張ったんですよ。」
私とあきちゃんよやりとりを聞いて、隆くんが
「はいはいはい。ここは暑いな〜。」
するとかえでさんが
「本当。仲がよろしくって羨ましいですわね〜。一ノ瀬さん」
「私も、お2人は仲が良くていいなって思います。」
と一ノ瀬さんまで加わって冷やかします。
あきちゃんも負けじと、
「そうだよ。仲いいよねー。」
と私に言うので、私も話を合わせて、
「ねー。」
と言うと、富さんが、
「本当。息ぴったり。」
と言って笑っていました。私たちは部活終了時間までおしゃべりを楽しみました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。




